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「二人でなーに乳繰り合ってんのよ? ほら、とにかく宿に泊まろうよ。HP回復しないと、その子出血多量で死んじゃうよ?」
俺の剣を売った金で課金したんだろ? 顔にそう書いてある。ずかずか一人で宿屋に入っていき、グレンたちは置いてけぼりだ。
(ン、待てよ?)
「よし、なっちゅ。全回復したら、お前は十神魔将の仲間に助けに来てもらえ。そうだ、それがいい」
(一刻も早くコイツを捨てよう。もし今の状態で魔王がなっちゅを迎えに来たら、負ける気しかしない。コイツは魔王の右腕のはずだ。魔王もなっちゅを野放しにするなんて考えづらい)
「無理です。プライドが許しません」
「捨てろよそんなプライドなんかよォォ!」
じゃないと俺が殺されちゃうんだよォォ! と顔に書いてある。
「本当の意味で、あの人たちは私の仲間じゃないんです。だから、今までずっと一人で戦ってきました」
「えっ……?」
「いっつも姫プレイばっかり。……私は着せ替え人形じゃありません」
泣きそうなほどまでに寂しそうに言葉を放ち、宿屋に入っていく。どうやらもう、十神魔将ではいたくないらしい。
とその時、残りHP1だった彼女が、なにもない所で転んで、天に召されようとしている。
(……世話が焼ける)
棺桶を引きずる要領で、少年は首根っこを掴んで引きずり、マリエッタが契約した部屋まで連れていくのだった。
「じゃじゃーん! ほら、見て見てグレン! カメラ買ってきたよ!」
「……」
少年をパシャパシャ撮りまくって、今さら『買ってきたよ』は無いだろう。そういう言葉は撮る前に言う台詞だ。グレンはなっちゅをベッドに放り投げ、無言の半眼でレンズを見つめている。というかこの世界にカメラなどあったのだろうか。
「えへへー。これさ、魂を吸い取るみたいなんだ」
「お前、なにげに恐ろしい事をサラッと言うなよ!」
「まぁまぁ、厳密に言うと、コピーするだけらしいからグレンは死なないよ」
「死んでたまるかっ! ……はぁ。で、そのカメラがどうかしたのか?」
「最近のマイブームがね? 写真に写した物を、『復元の館』に持って行って復元させる事なんだよね。これで食費浮かせられるかも?」
「……! よこせ」
言うが早いか、グレンはマリエッタからカメラを取り上げて撮りまくる。
「え、ぐ、グレン? ちょっ、どうしたの? そんな……私を撮っても」
「まぁお前は黙ってれば可愛いからな。お前を撮りまくって複製体を作りまくって、高値で売り飛ばしまくる! ふはは! どうだ! いいアイディかぷっ」
哄笑している少年の口を閉じさせたかったのか。マリエッタの強烈なアッパーがクリーンヒットした。




