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コイツ最低だ。
「いやー、リアルの世界に三十万円くらい借金あったからさぁ、どうしよっかなぁー? って思ってたけど、アンタのおかげで何とかなったわ! マジ、サンキュー」
「お前本当に教師か」
「生憎、私の教師としての時間は放課後にて閉店してんのよね」
ふふんと、どや顔で言ってくる女に殺意を込めた拳を握るが、口で言われた物は口で言い返すしかない。
「あ、そう。あのー! 運営さーん? 聞こえますー!? この人僕の装備品を勝手にRMTで売り飛ばした犯罪者なんですけど! 警察呼んでくれませんか警察ー!」
「わー! わーっ! わぁぁぁぁぁッ! ごめんなさい! 私が悪かったです! 必ず返します! サインにハンコに……はい、借用書……」
サクサクと借用書を作り、今にも泣きそうな顔してグレンに手渡した。最初からグレン相手にこういうを事やらなければいいものを。そんな時、んっ? と声を漏らして彼女は頭をずらす。
「ところで、その女の子誰なの?」
グレンはマリエッタの指先を辿って脇腹辺りを見つめる。そこには、シャツの裾を掴んで沈黙している少女がいた。マリエッタから隠れるような角度で今まで見えなかったらしい。
「ほぉぉぉぉ!?」
少年の悲鳴にならない悲鳴。瞬時にして顎が外れるくらいまで愕然としている。
「んん? その一つ目目隠し、どこかで見かけた事があるような……」
「ふん、貴様、今頃気付いたのか。我は黒曜の魔術師、なっちゅだ!」
「へぇ? すごいねー! コスプレって出来るんだね! なっちゅって、あの人でしょ? ほら、十神魔将の一番隊隊長!」
「……あっ、あの。えと。……本当だったりするんです」
「うんうん、本当にカッコイイよね! その上美少女って聞くし。どんな子なんだろうね! 一回会ってみたいなぁ」
「あの……」
全然聞いてもらえてない。まぁ、レベル1で十神魔将を名乗るのに無理があるのだろうが。
「まぁ、あれだ。気にするな」
唇を尖らせてそっぽを向く少女。懐かしいなぁ、と声を上げてマリエッタは露天商などに声をかけている。そして時間差でグレンは疑問に思った事を聞いてみる。
「ところでお前、なんでこっちにいるんだよ? 一応魔王軍だろ?」
「ふっ。知れた事。我はラバズを討伐し、ララバスタの村へ行くためのトンネルを再封印したのだ」




