特殊嗜好と地雷と好天
本日は待機時間3hという素晴らしく退屈な催しへの運転手を務めた。ちなみに簡易狙撃手張りの過酷な待機、褒美はハンバーガー半分とポテト3本である。
すまじきは宮仕えかもしれないが、いじましいのは貧乏であることである。これは辛い。
すごく、つらい。いじましいの意味は知らないがツライ。
さて待機時間は当然、暇であるから本を読んでいた。それも終わり、手持ちの絵本まで読み上げてしまってもまだ時間はある。ので、しょうがなく退屈しのぎの妄想をしていた。
脳内で最近読んだ小説のシーンを読み返す。私ならこうしてもいい、ああしても面白い、と、自由気ままに先を想像する。残念ながら一度たりとて当たったことはないのだが、だがそれがいいのだ。
ンなこたぁどうでもいい。
私はあることに気が付いてハッとし、脳内のシーンを2、3ほど浚った。ここ最近読んだものばかりだ。何かってあなた、剃毛ですよ。やべぇR15のタグは今回からつけとくね。下品極まりないから、申し訳ない、下ネタ全開だからのR15ね。
ここ何作かの剃毛プレイは、読んだ限りではハサミでザックリと短くしてから剃刀を出しているのだ。
もにょもにょ、の、ひとつ前段階でのふんわり違和感が、キッチリとした疑問に代わった瞬間だった。
なぜ彼らは刃物を切り替えて剃毛するのか。
洋物翻訳ありがちハウツーでは語れない。私にとって剃毛とは淫靡、特殊プレイに相当する。背徳と羞恥と諦観と敗北。すべてを入り混じらせ煮凝りを作り、ちびちび味わうのだ。どうでもいいがほんのちょっと、私の雑感が一行入っただけで多少の変質者色が出てきた。なにこれ怖い。
いやいやそういうことではない。大股開いて貼り付け固定までしてるのにですよ、刃物持ちかえたらアンタ、作業色が強くなりすぎるのだよ。
必要ないくらいまでシェービングフォーム盛って一筋、また一筋。
生クリームプレイに張るような卑猥さを白と肌色の対比で魅せる。剃毛プレイとは少なくとも背徳を第一に持ってきてほしい。
そんな勝手な期待がですよ。刃物持ちかえただけで『はいはい切りますよ~。キレイキレイしましょうね~』的なニュアンスが出てきちゃうわけですよヤダー。
だいたい、じゃあなんで刃物を持ちかえてるのだと私は思いましたね。人様の作品なんだどうでもいいだろってのは置いてください。私は疑問に思ったんだ。
つまり、陰毛は長くないとダメなんだ!
隠された場所、秘匿するべき粘膜、が、長い毛でおおわれているのは日本人の摂理なんですよ!
作業色の強い剃刀でジョリジョリは、い や な ん だ !!
どうしてこうもヒートアップするのか、それはエロがエロだからである。
本題に戻る。
私はどうして彼らは刃物を持ちかえて剃毛にいそしむのかを考えた。なるほど、剃刀の刃の部分に長毛だと絡まるからであろう。なに?
なんで剃刀で剃るのに『絡まる』が出る?
この時である。私の脳天をガツンと衝撃が襲った。ずっぎゃーーーん! である。
彼らが使用しているのはT字、そう、西洋剃刀ではないのか?!
ショックのあまり真面目に一瞬、思考が停止した。は? 西洋剃刀? T字? 脇とか口髭剃る奴でどうやって剃るの。危ないじゃん。っていうかむしろ、アレで複雑極まりない形状の場所を剃るとか危険すぎる。
うん? ふぅん? と思考が回ったところに衝撃の第二陣は来た。こめかみぶん殴られた。素で息が止まった。
丘上の女性器であれば、先生、確かにT字でイケます!!
ああ、なるほど! そうなんですね?! と私であるところの脳内生徒は教卓の先生に向け、無邪気に発見を告げた。
のち、多大なるダメージで私は吐血するかと思われた。
だってそうであろうよ。剃毛プレイは私の中で対男性のモノとしてしか想定されてなかったのだよ。これは堪える。ずしんと重い。
剃る場所は陰嚢とか肛門、竿の根元とかを考えてたのですよ。そりゃ日本式剃刀一択ですよ。
皮砥石でジャっとやるまではさすがにしなくても、だいたい○印の薄い一枚刃剃刀ピンク色を想定してましたね。一本ラインで五本組100円、刃先がロウ引き紙で保護してあるやつね。
この場合は当然、毛が絡むとかあり得ないわけですよ。なんなら一度も手入れしてない長さの方がイイってなもんですよ。
剃刀の刃先が長く、剃る方も剃られる方も『刃物使ってる』気になる。そんな危ないことしてる、されてる感。ましてや隠匿すべき場所にそんなもの当てられて、恥ずかしい見た目にされてく訳ですよ。萌える。私は犯罪者ではないが萌える。
それがねアァタ。それがですよ。そこですよ。
つまり私は、これまで女性向けだろうが男性向けだろうがBLだろうがナチュラルに『対象を男性として』認識していたわけですな。
私の中の常識は剃毛プレイに日本剃刀を使用していた。
この一行の重さったら、ねぇ。自分が普通ではない、一般的ではないと、まるっきり見当違いのところから指摘されたわけですよ。剃毛って言ったらジヨーシキ、女の子にするもんでしょ? ってのをね。こう、ガツンと思い知らされたって言うかね。
私にとって剃毛が複雑な形状場所に施すものだって思い込みは、縄と言えば綿細縄ってくらいに当たり前だったわけですよ。
荒縄? 痛いじゃん。赤? いいけど他の付属品が映えないでしょ? 蝋燭だとか鞭の痕だとか。
特殊プレイとして一般的に好みを言っただけなので、私の個人的雑感だが、さっきから書いてて素で引きそうで怖い。なんだこれ普通に怖い。
ああいや、声を大きくして言うが、別に私は他作者様の作品についてどうこう言うつもりは毛頭ない。マジでない。素で違う。
何が言いたかったかってね。
諸君、これが地雷というのだね。と。
そうなのだよ。最近目にするようになった「あぁそれ地雷なんだ」って文言。私も使用してきたし、便利な単語だよ。端的に物事を指してる。ただね、私はそれについて今日、ものすごく唐突に腑に落ちたのだ。
【地雷とは】
何気なく歩いていた地面が前触れなく爆ぜ、われとわが身に多大なるダメージを浴びせる。
なにより特筆すべき点は、このトラップを一度でも味わうと臆病になるということなのだ。
以降の道歩きが別物になってしまう。
人は、足をつける先のことまでを心配していたら歩き出せなくなるものではないのか。
それが言いたかった。
ただ歩いているだけの道が、もう一度でも勝手に爆ぜたら。
私は日常全般においてどこにどう身構えていいのかわからん。
諸君よ、同志よ。地雷とは地面の下に埋まってるから恐ろしい物なのですな。来月の献立に載ってるピーマンは、実は親切なのですな。なるほど地雷表示大事。
大事だけれども地雷ってものの性質を考えたら、どう警告していいかわかんねぇ。
すがすがしいほどの好天の下で私が結論付けたのはそれだった。一周回りすぎてヘタレである。いっそ不親切である。
考え過ぎると、だいたいコミュ障は香ばしい結論を出しがちだ。人馴れしてるしてないではない。自分ならどう考えるか、を、元にして対策を練ると大概失敗するという、いつもの結論なのである。ツライ。これはツライ。
とても、ツライ。
大きく回って印象が冒頭に帰ったところで今回の繰り言はここまでです。あのね、私、今日の体験はなかったことにするね!
だって自分の道のどこに地雷があるかとか、考えだしたら歩けなくなるもんね!
雲の似合う青空の下で剃毛プレイの違和感についてはきっと、追求したらアカン奴やってんな!
今日は、いい天気でした。