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ある日のカップル

柚羽とまどかの話

やっぱりこちらもいちゃいちゃするだけです。

「一緒に帰らない?」

クラブが終わり部室の戸締まりをしていると一人の先輩に声をかけられた。

「ごめんなさい。約束があるんです。」

ニッコリ微笑み言った。


「またまたそんなうそつかなくてもいいよ。」

そう言うと人の話を聞こうともせず強引に腕を引っ張った。

「離して下さい。」

感情的にならないように声を押さえた。

しかしさすがに男の力。

どんなに力を入れようとも勝てない。

もぉーやだっ!


「何してるんだ?」

一生懸命逃れようともがいていると後ろから冷たく低い声が聞こえた。

「あっ、キャプテン。すみませんすぐに帰りますので」

悪怯れもなく、掴んでいた私の腕をそのまま引っ張った。

「その手を離してから帰れ」

ガッとその男の手を掴み私の腕から剥がした。


「何するんですか!?」

まるでおもちゃを取り上げられた子供の様に思いっきり睨み付けた。

「何がだ?」

感情を込めていない冷たい声と刺すような視線

「・・・川内帰ろ「お疲れ様です。」

足をドアに向け居心地が悪そうな態度をあからさまにしている先輩の言葉を私は遮るように口を開いた。

「なっ・・にをいってるんだ。」


しつこい・・・

ぎゅっと無意識に私は隣にいる彼の袖を握り締めた。

「約束があるといいましたよね?申し訳ないのですがこれから先も、先輩と一緒に帰ることはありません。」

一度目を伏せ、気持ちを落ち着かせちゃんと視線を合わせ言った。

私の言った意味がわかると隣に視線を向け睨み付けた。

しかし隣にいる彼はそのことにまったく気付いていなかった。


「だから俺が最後に残るといっただろう?」

おもしろくなさそうに私に呟いていたからだ。

「でも、私はマネージャーだもの。戸締まりも仕事の一つです。」

負けじと私は言い返した。

「キャプテンこそなんでここにいるんですか?

校門で待ってるって・・「・・・」

じぃーと表情を崩さず、私を見据える彼


「・・・はい。ごめんなさい、まどかくんは悪くないです・・・」

ふぅ~と諦めたようにそう言うと彼はふっと微笑んだ。

「ほら、柚羽。」

彼の伸ばされた手に素直に持っていた荷物を渡した。

「・・キャプテンと川内って・・・「付き合ってるよ。」

私たちのやり取りを見て呆気にとられていた先輩はやっとの思いで口を開いた。

そしてそれに対しニッコリ微笑みながらも威嚇するまどかくん

「いつ・・「彼女が入部してすぐだよ。それじゃ、悪いが部室の鍵を返しといてくれないか?約束の時間に遅れそうなんだ。」

流れるように私の肩に手を回し独占欲をあらわにした。


「いいのかなぁ~」

急ぎ足で学校から遠退きながら隣にいる彼を眺めた。

「いいに決まってるだろ。勘違いにも程がある。」

まどかくんの言葉を聞いて私は驚いた。

「始めからいたの?」

「あいつが部室に戻るのを見かけたんだよ。」

ふんっと鼻を鳴らすまどかくん。


その態度にクスクス笑い彼の腕に飛び付いた。

「ありがとう。」


◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□◆□


「はっ?お前知らなかったの?」

柚羽たちに仕事を押しつけられた先輩は真っ先に、陸上部の溜り場になりつつあるファミレスに足を向けた。

「みんな知ってるぜ?キャプテンとマネージャーのこと。」

「なぁ。二人とも隠そうともせずにいちゃついてるし。」

同じ陸上部員たちが次々に口を開く。

「あっ、お前。部活中の二人しか見たことないんじゃないの?」

その問いにうなずく

「あーぁ、納得。部活中はかなり真面目だもんなキャプテンもマネージャーも。」

「まぁ、なんだ。キャプテンに殺されたくないならちょっかい出すなよ?

まじでキレると怖いから。」

「そうそう、あれは視線で人が殺せるよ」

部員たちはその場面に遭遇したことがあるらしく身震いしていた。

(・・・いや、それは・・・・もう遅い)

翌日からの部活が恐怖の時間となる瞬間だった。



2007.9.4に自サイトにて掲載したものです。


ひとまず、これで終了です。

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