突拍子的レボリューション
いつものように思いつきで文字を連ねました
駄文誠に申し訳ございません。
「~てなわけで…!!!!!」
暗い喰らい、夜道で一人の少女は泣いていた、か弱き年相応な泣き声で、その少女は何かを叫んでいた。
その叫びは、大きな人には聞こえず小さな子供にしか聞こえない、純粋初心な叫び声。
「て、いやいやw 誤魔化すなよ、そんなわけないでしょ美化しないでくださいよ」
そんな事とは露知らず僕は夜道自分の何気ない一言を無駄すぎるくらいの文才で(それほどじゃない)美化
しようとしている一人の少女に感情衝動全てをぶつける程のツッコミを投げた。
それにしても、近頃の夜道はなんだか近代的である。
どこを見ても、どこかしらを覗いてみても光が在り或る、あまり余っているくらいに。
街頭がキラキラ煌めいて、歩いている人々の液晶端末も煌めいて
眩い目映い、目に映り映る、痛い痛すぎる。
本当に誰もが夢見る近未来の様な風景近景が僕の目には常時恒常的に永久的に広がっている。
どこかに無い物だろうか、街灯などという者、いや灯りが該当しない世界は。
「~てなわけで……」
はぁ…なぜ僕の横にはいつもツッコミ待ち状態の女しか該当していないんだ……!!
おかしい、おかしすぎる。
「あのですねぇ、てなわけでじゃないんですよさっきから……そろそろ仕事しましょうよ」
僕はようやく重い口を重い重い重苦しい口を開いて、隣の少女に突っ込む
隣の少女は、僕の反応に対して歩み足を滞らせることなく、ようやく反応してくれた事に喜色満面をうかびながら滑る口を思い切り滑らしてくる。
「あのなぁ、キロウ、人間働くだけが能じゃないのじゃよ? わかってるわかってないじゃないじゃ、わからなくてもいいじゃ、とりあえず私が私は働きたくないの社会の歯車になんかなりたくないってなわけで、それだけなわけで!!!!」
自分の身丈より倍ほどのビルディングを目に据えながら少女は僕に笑顔で滑らしてきた。
何をそんな熱心にと僕は少女の見据えているビルディングに自身も瞳を重ねつつ少女に対する答えを思案
僕が考えている間にも、少女はルンルンと駆け足気分で光架かる夜道を歩んでいく。
「社会の歯車になりたくないなんか言ってもですねぇ、歯車がないと部品がないと何も動かないんですよ、人間だって臓器がないと血も巡り廻らないでしょ? それくらいチルドレンでもわかりますよ…」
少女の見据えたビルディングを見ている僕は、あぁそうかネオンを見ていたのかとぼんやり想いつつ少女に言葉を返す、お腹空いたなぁ。
「キロウ……貴様、屁理屈しか言葉の糸に紡げないのか? 全く、そんな事だから貴様の発想はいつも常に凡庸的なのだ、呆れる…息すら溜めることが出来ないってわけで……」
ビルディングに向けていた体を右往左往へ旋回させながら少女は僕に苦言を呈してくる、ステップを地面に刻みながら。
そんなによく動くと、こっちが目に追えないじゃないか……君のおよそおそらく全体を僕はいつも把握しておきておきたいのに……作画サボれよ……
「いやいやwカロウ様の言い分はもう数えることを已めるくらいに聞きましたけど……んなこと言ってちゃ今晩の晩御飯も抜きですよ、もはやマネーもロンダリングできない程尽きてるんですから…」
僕は彼女の苦言に世知辛言を返していく、あぁみるみるうちに彼女の鼻が窄んでいくのがわかる。
鼻が窄んでいく彼女を僕は見ると、なんだか幸せな気持ちになってくる、なぜだろう
「Sか貴様は…きもちわる」
あ、心読まれてしまった、彼女は時に不思議な力を発揮してくる、怖い。
でも本当に、そろそろ動きださなければ明日のおまんまも食い上げお手上げだ、両手を上げるしかない、……ていつも思うけど、なんで人はどうしようもない時にお手上げっていうのだろうか。手を上げても仕方ないじゃないか、手を挙げたところで誰も助けてはくれない、一昔ならともかく現代で外でもなかでも手を両手を上げているだけで不審者扱いなくらいなのに。
僕らは相も変わらず、相変わらず街灯ガンガンな暗い昏い夜道を歩いているわけだけど、そもそもなぜ夜道を歩いているかという事を忘れてしまっているので思い出そう。
―そう、アレは多分30分前―
トントン トントン ささやかな、それでいて(早く開けろよ)と言う圧力が込められたノック音が赤さびが回った年季の入ったドアから発声されてきはするけど、ノックを叩いた当の本人はどうせどこか諦念気味で、そんな性の悪いノックをした時点で上着の内ポケットから鍵を取り出そうとしていた。
「んぁ……? 誰じゃ誰じゃ、開けるぞ今開けちゃるぞ、今じゃぞ絶対じゃぞ今にもドアは開かれる…さぁ冒険の準備は済ませておるか? もはやプロローグは過ぎているわけで…んぁ…鍵がないわけで?」
ドアの向こう、ノックをした誰かに応えるべき人間は漏れる息を我慢せず掌で押さえながらソファからその重さ約25gを起こそうとしようと頑張る。
「いやいやw頑張りきろよ…まぁわかってますよハイハイ…自分で開けりゃいいんですよね……」
ドアの向こう、ノックをした誰かは、漏れる息もどこへやらと進めていた行動をそのまま休めることなく進行させて内ポケットからきっかりそのまま鍵を取り出しドアの柱頭部分に挿す、挿入。
ドアを開いた先に待ち受けていた者は、そのままの意味で者、人間、でも少しだらしない人間、具体的に具現させてみれば、ソファで寝そべっている女、である。
ソファで寝そべっている女はブツブツ ブツブツとまだ何か呟いている、こっちがはっきり聴覚できるくらいの音声で、声でかいですよお嬢さん…しかも端整な唇から何か白いモノまで垂れてますよ…。
「ふぅあ? だから誰かは知らぬが今開けるぞて…てかもう開いてるぞて……わしが開けると思うた辞典で其れはもう開いてるも同然なのじゃから何をそう墳ぞっておるか……むにゃぁ…? んぁ…てなわけで」
女のぼやきを男は漠然と聞きながら、疲れ切った体を休めようと使い古された茶色の椅子に座る。
男と女が鎮している場所は、【角輪ビル 4F『笑う角にも覆水還らず』事務所】ビル名以外を略すと
『角水帰らず じむ』と略す、というか長いのでそう呼ばれている。
まぁ…事務所ってのは、外向きの名前なだけで、要するに何でも屋なんだけどな……電話帳にはそう記載してある、と男は一つ、地面に息を落としながら両手を首に回し組なつつ想う。
「そもそも、もうちょい事務所らしい名前いっぱいあるだろぉに…はぁ、言いにくいなぁ諺って」
男は憂いながら、ソファでまだ虚空へと言葉を放じている女に目を向ける。
いつ身体起こすのだろうか…この人は、もう夜の9時だぞ…。
女は、昨日の夜10時にソファに身を預けて以来、ソファから離れていないのだ。
昼12時ごろ男がふと目を向けた時にも先ほどの唸り声をあげるばかりで、その瞳を擦ろうともしていなかった、ちなみにビルは経費削減の為に明かりは点けない主義なので、というか蛍光灯を買うお金がないのでそもそも点けることが出来ない、そしてビルは景観法をことごとく掻い潜った仕様で一切太陽からのメグを得ることが出来ない位置に沈しているので光が一切入ってこないので女が外交的影響で目を擦ろうとする状況になるとは思えない、いやそれでも普通の人間ならある程度の睡眠時間という概念が存在しているのだが…男は女に常識を問うことを数年前に放棄しているのでもはや思考の網にすら引っ掛かる事はない。
「にしても、もう9時か…晩飯、でも買いに行くかな…」
男がボンヤリと腹の虫の声を背に感じながら唯一この部屋に存在する電気機器、電波時計を確認するとなにやら下の階で何かが轟いた。
ドドド ドドド
その音は、一拍間を開ける度に男と女が鎮している階に近づいてくる、立体音声の様に、現実だから当たり前だが。
と、激しく音が数十秒ほど戦慄いたのちふと、途切れた。
男は、なにやら嫌な気配を感じて、音が途切れた地点を考え、あぁ僕らが存在している階の扉の前だ、という事に気づき咄嗟に身を女が就寝しているソファの下に潜らせる。
ドンドンドンドン ドンドンドンドン
下の階の喧騒をそのままにしたくらいの轟音がドアからノック音として変貌を遂げ部屋に鳴り響く。
「おい、さっき帰ってきたんだろうが、キロウかカロウか知らねえが今月の家賃、まだなんだよ、ていうかだなァッ!!! 先月も先々月も払ってもらってないんだよッ!!! 女がいる手前、こっちも2か月ほどは黙っておいてやったが、こちとら親じゃねーんだいつまでも待てると思うな!!! 今月分だけでもいいから、さっさと頂戴しやがれ!!!!」
態度とは裏腹に多少人情が含まれている事にいいしれぬ安心感を感じながら男は内心汗を掻く。
(あぁ…来ると思った、そういえば今月ももう終わりだったなぁ……どうしよーか、今月も依頼一件も来なかったから実質収入ゼロなんだよなぁ…)
「んぁ…だからわしが開けたて……煩いのぉ…わかったて…今開けるけぇ…むにゃぁ…」
内心大慌てな男は裏腹に眠り姫状態の女はようやくのんびりと体躯を起こし、吐息を掌で受ける。
「いるんだろっ!! おい、出てこいよ、いい加減にしとけよこっちはとうに緒は切れてるんだ!!! 出てこないってんならドア開けてもらうぞっ!!! 潰すわけねーだろ修繕費かかるのに」
気持ちや行動よりどこか人情を優先してくれてそうな昔気質の声を女は耳に受けながら、部屋内部にいる男に首を向ける。
「なんじゃ朝っぱらからうるさいのぉ寝起きはことりの囀りとしゃれこみたいというのに…むさくるしい暑苦しい男の声とは、なんじゃあれは、キロウ貴様の趣味か、それじゃとちと引くってなわけで?」
男は怒りを表情に染めて女に対する返答に混じらせる。
「カロウ様…なにをいっているんですか? 貴方の想う朝は不思議ですねぇ僕が先ほど観測してきた所やけに暗かった印象ですねぇおっかしいなぁ…それとあの煩わしい男の嘆きはきっと、この部屋にある本来の意味を全うしていないすることが出来ない道具『金庫』によるモノだと思いますよ…」
皮肉という皮肉を露骨に魅せる怒りに交えさせながら男は女に言葉を返す。
返している間にも部屋の外の轟音は鳴り止む事を知らない、どうやら今回は本当に目的を果たす迄はあの近所迷惑な騒音をなかったことにしてくれることは無いようだ。
女、カロウ様に男は諦念気味に言い放つ
「カロウ様…ソファの下のロープ、取ってください、この腐りきった世界から独立を宣言する為に必要なんです」
適当な法螺を男は真実に織り交ぜて女に唱える、女はこの手の中学生が聴くと反応しそうなフレーズがお好みらしい。
「お、うぅお? キロウ、この下のロープか? これでいいんじゃな? これじゃな? これでわしらはこの腐りきった世界に革命をもたらすことが出来るんじゃな? この1本のロープでわしはようやくこの手にアースを掴むことが出来るんじゃな…アースなんてちょろいってなわけでっ」
女がソファ下、半ばゆるみ気味千切れ気味のロープを持ち簡単に感嘆に染まっている中、男はせっせとビル4F、日光の一切当たる事のないビルの窓の施錠を解き開きとうに足を投げ出しながら女に命からがらといった勢いで手を差し出す。
「そう、そうです、カロウ様、さぁそのロープでとりあえずこの緊迫とした状況から解放されましょう、早くロープをこの私の手に握らせください、キロウ様の手と共に」
男は4Fのビルの窓から女に必死に声を上げる
「わかったぞ!!! ほれ、こうも簡単にれぼりゅーしょんできるとは、世も落ちぶれたものじゃってなわけで・・・・・・っ!?!?」
女がロープを男に放り投げた途端、男は女の手がロープにつかまれている事を確認し思い切り力強くそのどこか弱弱しいロープを力の限り奮い引っ張った、窓と外の間の冊子に腰を置いていた男は当然ながら身体ごと思い切り宙に投げられる、宙に投げられた状態で男は女を両手にお姫様抱っこの様な恰好で抱え、ロープを頭上、ビルの換気扇に掛ける、その時間、秒にしておよそ2秒。
―そして今に至る―
そうして二人して地に身を落とし1時間経過した訳だけだが。
これからどうするか、なんて皆目見当もついていない。
まぁ前略通り街灯はどこにも点いているからお先真っ暗ということにはならないが…とにかく何かを身に溜めこまなければ、二人して飢え死んでしまうことだろう。
カロウ様は、今も国の税金対策により整備されたコンクリートを睡眠充分といった清々とした表情で今が晴れだといわんばかりにリズムを刻みスキップで駆けている、とてもうれしそうだ。
「キロウ、ところでこうあの5か月ほど居住していた拠点を離れ1時間は立つのじゃが、革命はいつ始まるのじゃ? 革命より先にわしのお腹の中を幸福で満たしたいわけで」
カロウ様が天真爛漫に明かりを満面に浴びながら僕に欲求を果せと命じてくる。
僕はおもむろに上着の鍵が入っていなかった方の内ポケットに手を差し入れ財布を取り出して中身を確認する、貧相な親が無償の愛で育成させた子供に最初に持たせるマジックテープ式の財布の中身は、ファミリーレストランにおける最安メニュ―二人分程の金額しか残存していなかった、いやこういう時は、前向きに考えるべきだ、むしろ最安メニュー二人分ほどの金額が残っていた、という感じに、微妙だな…。
「そぉーですね、カロウ様、じゃあ餃子でもハヴィングしに行きますか、そこで革命をスタートさせましょーう」
僕は思いついたことを無責任にもはや投げやりな気分でカロウ様に叫ぶ。
「おぉー革命か? 革命で、ぎょーざが食べれるのじゃな? よかろう、一石二鳥はこの世で2番目に愛することなわけで」
カロウ様は、どこか呆けたような顔で、数メートル先に見えるコンビニに上の空を向けながら本心なのかそうでないのかよくわからない声音で僕に返答を返してきた。
「えぇーそうです、皿洗いから全てが始まるんです、なんだか庶民的で、最高ですねっ!!」
カロウ様の気持ちがコンビニに逝っている事を良いことに僕は僕の想いを多少聞き取れるような声量でカロウ様に伝えた、一度言っておけば取り返しはつかせない…。
「カロウ様ー、今、幸せですかー?」
なんだか僕のテンションが夜に紛れ狂ってしまった気がしてでもそれも一興かと感じながら今の狂った気持ちなら聞けそうな言葉を彼女に聞いた。
カロウ様は、一瞬だけ我に返ったように、でもすぐにコンビニに意識を飛ばしながら僕ではなく街灯に向かって、小さな声で呟いた。
「わしは…幸せ…じゃ、よ、其れは別に今に始まったことじゃないのじゃ…永久的に…そ…てなわけで」
街灯に向けられ紛れ塗れてしまったカロウ様のなんだか少しほんのりと赤みが架かった表情を僕は拝むことが出来なくて、そこから生まれた声も発端しか聞こえなかったけれど、なんだか僕には無性に充分だった
たった2文字、そう、たった2文字聞ければ僕は満足だったのだ。
僕は、街灯が煌めく夜道にまた一つ、声を投げた、ロープのように拙い声を
「カロウ様ー」
そのロープを、僕は握ってくれるかどうかと刹那戸惑っていたけどなぜだか反面、握ってくれるという確信があったのだ、安堵や安心なんかでは言い表すことのできないけれど、確かにあった。
「なんじゃー、意味がないなどというのは辞めるのじゃよ? 人を呼ぶ時は例え理由がなくとも理由を創り出すモノなわけで」
ほら、届いた、いつだってどんな時だって僕の声は彼女に届く。
そういえばあのビルの持ち主さんは今頃僕らを探し回っているのだろうか、いつかお金、返せたら返さないとなー…。
取り留めもなくふと脳裏によぎった思いを共にしながら僕はカロウ様に返事を返す
「僕にとっての革命は、もう始まってますよー」
後味が多少スッキリしない感じもありますが、またこの人達の話を描くかもしれません、まぁこの人たち次第ですが。
駄文誠にすいません、ここまでありがとうございました。