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Valche《ヴァルチェ》  作者: 神城 奏翔
序章 学院転入編
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第5話 Explanation of rally



「……で、なんでこうなるわけ?」

俺こと柊隼人は目の前の光景を見て呟く。

「だーかーら、言ったじゃないの。

あなたじゃ絶対に隼人君には勝てないって」

「うるさいな、勝てるかもしれなかっただろ!!」

さっきまで決闘をしていたバカと彩葉が姉弟のように言い合っているのだ。

ってか、二人とも。なんで俺の話で言い合ってるんだよ。



「それはあなたが一番強いからじゃないですか?」

俺の席の隣に座っていた金髪の男子生徒が、いつの間にか俺の隣まで来て言ってくる。

まぁ、俺の疑問に答えてくれたのは良いんだけどさ。

「……俺、口に出してたか?」

これはかなり切実に思う疑問。

俺的には口には出してなかったと思うんだけどな。





「いえ、口には出してませんでしたけど、顔には出てましたよ」

「……さいですか」

どんだけ顔に出やすいんだよ。と、心の中で落ち込む。

でも、まあ、仕方ないっちゃあ仕方ないかな?

ここ約5年間ぐらい人と話してたことなんてなかったし。



「柊君?」

「ん……ああ、悪い。ちょっとぼうっとしてた」

「いえ、それは別に良いんですけど。

……辛くなったら相談してくださいね。いつでものりますから」

もしかして過去のことを思い出してたとき、少しでも暗い表情になっていたのか。

で、それが気になって俺のこと心配してくれたのかな。





「ああ、サンキュー。

これから辛くなったら相談させてもらうことにするよ」

「ええ」

満面の笑みを浮かべながら言ってくる金髪男子。

……俺が女だったら絶対にこの笑顔で堕ちてたな。

まっ、女子だったらっていう仮定の話だから、俺が堕ちることはないけどね。




「……っと、失礼しました。自己紹介がまだでしたね。

僕は【霧島(きりしま) 修史(しゅうじ)】、そこで喧嘩している姉弟の幼馴染です。よろしくお願いします」

右手を差し出してきたので、俺も右手を差し出し握手をする。

「ああ、よろしく。ーー俺は……」

「あなたは別に良いですよ。さっき名前は聞きましたし」

あぁ、そういえばそうだったな。なんか色々あったせいで忘れてたよ。

特に誰かさんとの勝負のせいで。と皮肉を込めながら彩葉弟を睨む。

が、あいにくと睨まれている本人は、まだ姉と喧嘩中なのでこっちに気づいてはいない。




「ん、じゃあ自己紹介はしないけどこれだけは言っておく。

これから俺のことは隼人と、名前で呼んでくれ」

「ええ、わかりました。では、これから隼人と呼ばせていただきます」

別にそんな堅苦しくしなくても良いんだけどな。

と、思いつつも気にしないようにする。もしかしたらクセなのかも知れないしな。



「ではさっそく、隼人……僕のことも修史と呼んでください。

名前呼びのほうが落ち着くので」

「ああ、これからよろしくな。修史」








     ◇





「……ええっと、色々あって話を続けることができなかったが」

そこまで言って俺を睨んでくる先生。

えーっ!!アレ、俺の責任になるんですか?

どっちかっていうと、喧嘩うってきたあっちのせいじゃんか。

と、恨みを込めて水城弟を睨む。(本日2度目)




「まぁ、それは置いておいて。今月の末に、【学年混合チーム対抗戦】がある」

黒板に学年混合チーム対抗戦。と書きながら言ってくる。

字の通りに予測すると、学年入り乱れてのトーナメント戦ってところかな?

「最低でもクラス代表の1組は出さないといけないんだ。その他は参加自由だけどな」

……なるほどね。絶対に1組は参加しないといけないってことか。そして優勝を目指す、と。



「でも、先生。学年混合だったら、上級生に当たる可能性が……」

そういえばそうだな。俺らは1年生なのに、3年生を当たったりしたら確実に負けるしな。

「ああ、それなら問題はない。

非常事態を除いて、手加減をしてくれるように設定してるんだ」

ふーん、なら上級生と当たっても心配はしなくても良いってわけか。





「なるほど。それなら大丈夫ですね」

質問した生徒はそれで納得したのか、それから話すことはなかった。

「それでだ。本当なら皆で決めるところ、今回は特例で俺が独断で決めた」

先生の言葉を聞き、全員が『『えーーーーっ!!』』と言う。



「うるさい。では、発表するぞ。

選手は全員で5人だ。順番に言っていくぞ」

さぁ、先生が推薦する5人は誰だ?

水城(みずき) 彩葉(いろは)水城(みずき) 悠里(ゆうり)霧島(きりしま) 修史(しゅうじ)・アイリス・スカーレット」

へぇ、やっぱり水城姉弟と修史は入ってるんだ。というか、アイリスって誰だ?

俺はまだ知らないよな。聞いたことないし。




「そして最後の一人は………柊 隼人。お前だ」

「……ですよね~。わかってましたよ」

予想してた理由は、俺が“欠陥魔導士(ディヴァルチェ)”っていうかなり珍しいモノだからな。



ディヴァルチェについて詳しく説明すると、よくわからないモノらしい。

魔法の素質はあるが、魔導器を使うことはできない。

これは噂で聞いた話なのだが、ディヴァルチェのための魔導器もあるらしい。

が、俺には関係ないことだ。ーーいや、ディヴァルチェだから関係はあるのかな。

まっ、これらを纏めて一つだけ言えることがある。

それはーーーディヴァルチェはかなり珍しいということだ。





過去にいたディヴァルチェ全員を合わせても10名前後。

そして30年前以上も前に生きていた、

【ゼファー・ミレニアム】以降、ディヴァルチェの姿を見ることはなくなった。

その30年後にディヴァルチェが生まれてきた。勿論、そのディヴァルチェが俺だ。

だから、30年ぶりのディヴァルチェということで注目される。




(まぁ、俺はディヴァルチェってこと、政府には言ってないけどな)

「と、言うわけでこの5人には絶対に出場してもらうが、他の人はフリーだ。

出場して自分の力を試すもよし、見学して強い生徒の戦いかたをパクるも良しだ」

そういった後、タイミング良くチャイムが教室中に鳴り響く。



「ああ、チャイムが鳴ったからこれまでにするが、さっき呼ばれた5人は作戦会議しておけよ」

チャイムを聞いた先生はそれだけ言って、急いで教室を出ていく。

ーーあの人、絶対にさっさと終わらせたかったよな。

チャイムがなった瞬間、かなり嬉しそうな顔をしていたし。



(作戦会議か……。確かに作戦は必要かもな。

全員、どんな武器かも知らないし)




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