第3話 Settlement
おはようございます。加那 翔です。
今回で序章は最終回になりますが、
どうぞ、よろしくお願いします。
P.S 今回、後書きに今までに出てきたキャラの特徴を
纏めますので気になる方は是非、見ていってください。
「……はぁ、疲れた」
犯人達を捕まえた直後、俺は息を深く吐きながら床に倒れる。
そして制服のボタンを全て外して傷口を見る。
(やばいな。この傷は深すぎるだろ……)
「隼人君!!大丈夫!?」
体育館二階から飛び降りて俺の傍まで走ってきた少女がいた。
おいおい、そっから飛び降りて怪我したりしねぇのかよ。
「ああ、一応、大丈夫だぜ。だから心配すんなって」
ちなみにその少女は、さっき助けていた少女だ。
なぜ、彼女が俺の名前を知っているか?
その理由を話すには時間を犯人と戦う前まで遡る。
~~1時間ぐらい前~~
「ーーで、君には体育館の2階から銃を使って敵を倒してほしいんだよ」
「2階からですか!?そこから拳銃を撃ってもめったにあたりませんよ」
ああ、そっか。そこからだと拳銃を使ってもあたらないよな。
「拳銃とかなら無理でも、スナイパーライフルとか使ったらどうだ?」
「ライフルですか……?」
俺が出した提案ならいけるかも知れないのか、悩む少女。
「それなら出来るかも知れませんが、肝心のライフルがありませんよ」
「そう、それが問題なんだよな……」
どこかに置いていたりしてないかな。
そんなことを思っていたときだった。
突然、少女が思い出したかのように、「あっ」という声をあげた。
「どうした?」
「いえ、実はこの学院には
もしものときのために武器庫があるんですけど」
武器庫か……。
でもそれがあるってことは、もしかしたらスナイパーライフルもあるかもな。
「でも、先生しかロックを解けないんですよ」
「じゃあ、君は武器庫にいってくれ。
もしかしたら先生が遠隔で解除してくれてるかもしれないし。
まぁ、ロックされててもどうにかして解除してくれ」
「私がそんな難しいことをしないといけないんですか!!」
学院の廊下、物陰に隠れながら俺達は作戦を考えていた。
そしてアイデアは出たのだが、それはかなり難しい作戦だった。
俺的にも……、彼女的にも。
「ああ、それしか全員を無傷で助ける方法がない」
「で、できませんよ。私にそんな作業……」
「無理を承知で頼む。これしかないんだ」
彼女に向かって、必死に頼む。
「……もう、この作戦しかないんですよね」
「ああ、そうだ。これしかない」
「わかりました。……ですが、学院に誰もいないとはいえ、
この作業には時間がかかるので、35分ぐらいください」
肯定すると、彼女も覚悟が決まったのか首を縦にふる。
「35分か……。それ以上、縮まったりしないか?」
「無理です、この学院はセキュリティーが厳しいので」
「……わかった。なら、そっちは頼むぞ」
そういって俺は彼女から離れて体育館を目指そうと立ち上がる。
「了解です。……あっ、そうでした」
「ん、どうしたんだ?」
「私のことはこれから【彩葉】って呼んでください。
仮にもこれから一緒に作戦をすることになった仲間なんですから」
少女……彩葉はまるで天使のような笑みを浮かべながらいう。
俺はそれに思わず、見とれてしまっていた。
「……わかった///なら俺のことも隼人でいいよ」
彼女が名前を教えてくれたので、俺も教えることにする。
「はい、わかりました。隼人君」
「ああ、作戦開始だ」
◆
そういうわけで、俺達は名前を教えあっていたのだ。
まぁ、今となってはどうでもいい話だが。
で、もう一つだけ言っておくと、ボスの拳銃を撃ち落としたのも彼女だ。
「でも、こんなに血が……」
「大丈夫、大丈夫。
俺はこんくらいじゃなんともねぇよ」
彼女にそれだけ言って立ち上がろうとする。
「…………」
「ふぐっぅぅ!?」
が、いきなりの激痛に思わず悶え苦しむ。
若干、涙目になりながら痛みを感じた場所を見てみると、
彩葉が俺の傷口に手を当てていた。
「ほら、やっぱり無茶してるんじゃない!!」
俺みたいに傷が痛むわけでもないのに、目から大粒の涙を流す彩葉。
そして耐え切れなくなったのか、俺に抱きついてくる。
「っ……ごめん。彩葉」
それに痛みを感じつつもあまり顔には出さないようにする。
ーー顔に出したら、またこの子は自分のせいにするからな。
でも、1つだけ言いたいことがある。
それはーーーー、
「でもさ、ここで抱きついてくるのはやめてくれない?
ほら、他の生徒達が見てるし」
俺がそう言うと彩葉は今いる場所を思い出したのか、
周りを見た後、顔を真っ赤にしていく。
「……っ/////」
「なっ?」
そして茹でタコのように顔を真っ赤にした後、
彼女は真っ赤に染まっている自分の顔を見られたくないのか俯く。
「……し…」
「し?」
し、から始まる言葉ってなんだろう?
そうして考えていると、彩葉は何を思ったのかライフルを持つ。
ちょっと待て、武器を持って……、
し、から始まる言葉ってあれしか思い浮かばないんですがっ!?
「死んでくださいっ!!////」
ほら、やっぱりな!!
「って、ちょっと待った。俺、怪我人なんですけど!!」
傷を見せびらかすように言ってみる。
「そんなの知りません!!
女の子に恥をかかせたんですから、責任とってもらいます!!」
おいおい、お前が心配してた傷だろ?
そしてなんで傷を増やそうとするのかな、訳がわからないんですが。Why?
「お前のいうその責任は、確実に死ねってことだよな!!
断固、拒否する。そしてお前ら全員笑ってないで、止めてくれ!!」
こうして史上最悪な始まり方で、俺の学園生活は始まったのだ。
( )の中の言葉は作者の裏話です。
キャラクターファイル 1
柊 隼人
主人公。短い茶髪と深い蒼色の瞳が特徴的。
(ぶっちゃけ『生徒会の一存の杉崎健』を
思い浮かべながら書いてた)
水城 彩葉
主人公が助けた少女。
背中にかかるぐらい長い黒髪を
ツーサイドアップに結っている。
(これまた外見だけモデルにしたキャラがいまして、
『緋弾のアリアの峰理子』です。髪の色や性格は違いすぎますけどね)