第12話 Conclusion
「はぁぁぁぁぁぁぁぁーーーっ!!」
試合開始のサインと同時に俺は藤原に銃弾を放ちながら突っ込む。
「……ふっ、開始早々から突っ込んでくるのか。
最強と言っているが、ただの猪だったようだな」
その銃弾をかわし、時に長剣で弾き返される。
「っ!?」
弾き返された弾が俺に向かって飛んでくる。
それを危機一髪の場所で避ける。
あっぶねぇ、まさか跳ね返されるとは思わなかった。
「……さすがは学院2番、強いな。
どうやってその強さを手にいれたんだ?藤原さん」
無理な横っ飛びをしてよけたせいか、少しだけ隙が出来る。
その隙を埋めようと、藤原に話しかけたのだが、
「隙ありだっ!!」
無視され攻められる。
「おいおい、少しは俺の言葉も聞いてください……よっ!!」
拳銃で長剣を受け止める。
「ふんっ、中々やるな」
受け止めた俺を凄いと思ったのか、自身が思った感想を言ってくる。
「だが、甘い」
急に力の入れ方を変えられたため、俺が持っていた拳銃を弾かれてしまう。
そして俺はその懐に入られた剣を咄嗟によけるため、
後ろに飛んで引こうとしたのだが、
たまたま足元に落ちていた拳銃に躓き尻餅をついてしまう。
「しまっ……」
カランッ、拳銃が地面に落ちた音が響くと同時に俺の喉元に剣を突き立てられる。
「中々に良かったが、勝負ありだ」
勝った。
心からそう思ったからか、藤原の顔に余裕の笑みが生まれる。
「……それはどうかな」
さっき躓いた拳銃を足で蹴りあげ、落ちてきた拳銃をうまいこと手に持つ。
そして藤原目がけて構える。
「しまった!!」
のだが、最悪な事実を知ってしまう。
この拳銃……魔導器じゃねぇか!俺、使えねぇじゃん。
ってか、なんでこんなところにヴェルジュが落ちてるんだよ。
ああ、もしかして悠里と戦ってるやつの武器か。
「どうした?撃たねぇのか」
「…………」
「そういえば、ソレは千穂の武器か。
……なるほどな。撃ちたくても撃てないってわけか。
さすがは魔導士の欠陥品だな」
「……………」
「一度は焦ったが、これで終わりだな」
余裕の表情を再度、浮かべながら藤原は剣を構える。
「だーーかーーら、まだ終わってねぇっつってんだろ!!」
「ふんっ、負け犬の遠吠えか」
ぜってぇ、後で殺す。
ムカつくような言い方で負け犬と言われ、そう心に誓う俺。
「隼人っ!!」
「ったく、遅いんだよ。お前は」
俺の名前を叫びながら、
ダッシュでこちらに向かってきたのは悠里だった。
「すまん、ちょっと相手が強かったからさ」
ふーん、あいつって意外と強かったんだ。
「……千穂はどうした?」
「ああ、あいつならあっちで倒れてるぞ。ま、気絶してるだけだけど」
ふと悠里が指さした方向を見てみると、地面に倒れてる女がいた。
「さて、これで形勢逆転だな。
どうする?棄権するか?それとも一か八かで二人相手に挑むか」
悠里から拳銃を受け取り、銃口を向けながら問う。
挑むと言った場合、すぐに撃てるようにするためだ。
「……まったく、だから気をつけろと言ったのに」
ため息をつきながら藤原はそう呟く。
「この勝負、俺達の負けだ」
そういった後、藤原が持っていた武器が光の粒子になって消えていく。
「よっしゃあーーーー!!」
「……ホントに勝っちゃったよ。オレ達」
対戦相手の藤原が武器を放棄し、棄権したことによって俺達の勝利が決まる。
それを頭の中で認識したのち、俺達は勝利の喜びをわかちあっていた。
「悠里」
手をグーにし、黙って手を悠里に向かって突き出す。
それだけで意味はわかったのか、悠里は俺の手に自分の手を当て言った。
「ああ、やったな」と。
口ではあまり喜んでいなかったが、実をいうとかなり喜んでいる。
その証拠に俺達の口角が上がりっぱなしだ。
『なんということでしょう!!奇跡が起こりました。
優勝候補の一つであった藤原智也・永瀬千穂ペアを破ったのは、
水城悠里・柊隼人ペアだ!!』