第5話 止めて!!見捨てないで~。
7月14日朝
俺は朝に弱い。
それも当たり前だろう。
11時から大体2時半まで走り回って、寝るのなんて大体3時くらいだ。
朝はゆっくりと寝ていたいものだが、社会の中での俺という立場がそうさせてくれない。
学校など滅べばいいのに・・・
朝からテンション下がりまくりで少し鬱。
だが、俺は本能の赴くままに生きたい!!せめて今だけは!!
「という訳でお休み」
「何がと言うわけでだゴラ!!」
いきなり戸が開けられる。
やはり来ていたか。
こんな展開は予想済み(いつものパターン)。
だが今日の俺は違う!!今日こそは2度寝を決め込んでやる!!
「何時まで寝てんだコノヤロウ!!」
「ぐふばっふぁっっ!!」
み・・鳩尾を蹴るとか・・もう・邪道ですよ。
前言撤回。今日はもう無理。戦う気力根こそぎ取られました。鳩尾はマジ無しっすよ祝詞さん。
明日からなら出来る限りの努力は出来るかも。
と思いつつ余りの痛さに悶絶する俺。
え?この前は不可視の速度で走ったり出来てたのに痛いのかって?
そりゃ痛いよ。不意打ちだよ?それに、あの力は式の力だよ?普段は一般の男子高校生ですよ?
鳩尾だよ?痛くないってんなら今から蹴りに言ってあげようか?
「何時まで寝てんだ!さっさと起きろ」
「鳩尾蹴っといて何を言うか!!しかも不意打ちで!お前の蹴りを受けて俺がすぐ立ち上がれ
ると思うなよ!」
「何よその言い草は!まるで私が怪力みたいじゃないの!!」
「ぐっっ・・・い、いえ。そうではなく俺が半端なく弱いってだけですよ。勘違いさせたなら
申し訳ありませんでした。あは・・あははは」
なにやら祝詞の周りに黒い邪気が出始めたのでここら辺で俺が折れとく。
ん?おれがおれとくって新しいしゃれを発見だ!!
使う場面ないし使う気無いけどヒャッホーイ。
「では改めて、祝詞おはよう」
挨拶はこの家に住む者たちのルール。破れば貼り付け獄門に値すると言う。
「おはよう。それはいいけど、時間大丈夫なの?7時45分そろそろ過ぎるけど」
家から学校までは歩いて大体40分かかる。飯を5分で食えるはずも無く、着替えもせねばな
らんことを考えると・・・
「ヤバイ!!ギリギリだ!と言うか間に合わない!!」
「じゃあ私はそろそろ出ますんで。あとは精々頑張りな」
「止めて!!見捨てないで~。祝詞カンバァァァァック!!!!」
無情にも家の玄関のしまる音がする。
嗚呼世界はなんて残酷で無情なんだろうか・・・
「なんか悟りを開いてそうな雰囲気の中悪いけど遅刻するぞ」
この一言で朝食もとらずに学校へダッシュ。ほんの少し陰陽師の力を使ってしまったのは内緒
だ。
今日も遅刻ぎりぎりでの登校。
あの時間でよく間に合ったなと祝詞に感心される。
その話題を聞きつけてやって来た拓也と太郎がやってくる。
拓也は祝詞目当てだし、太郎は行きも絶え絶えの俺を心配もせずに話し始めるし。
少しは心配もして欲しいものだ。
まあ。何時ものことだけど。




