第16話 雰囲気の問題だ
8月24日夜8時
「では、訓練を始める」
訓練は皆夜からなんです。だって人目に付かないし。
結界張っても中に人がいたら意味無いので夜にやるんです。
え、昼は何してたかって?別荘の書物をあさってました。
「前から思ってたんだけどさ。その教官口調意味あんのか?」
「雰囲気の問題だ」
「で、今日は何をやるの?」
「今日は式の構成の訓練を行う」
「分かったぜ。それなら少しは自信ありだぜ」
「じゃあ薫は何式の何番まで使える?」
「赤式は七番、青式は三番、緑式は五番までだぜ」
「十一番は使えるんだったよな?」
「ああ、赤式ならな」
「赤式が得意なんだっけ。じゃあ赤式の七番ここでやってくれ」
「分かった。じゃあ行くぞ」
薫は手を広げて上に向ける。
俺は万が一に備えて青式の準備をする。
「赤式零番」
薫がボソッと呟くと手のひらから炎があふれ出る。
「赤式二番」
炎が大量に出たあと、またボソッと呟く。すると、燃え盛り落ちていくだけの炎は薫の周囲
で螺旋状に回転し始めた。
すると、薫は手のひらに霊力球を作り、言い放った。
「われ生み出しし浄化の炎よ。強く強さを求めるならわが力を喰らえ。わが力を喰らいたければわが僕となりて思うが侭に動け」
すると、その炎は回転をぴたりと止める。指示を待っているようにも見える。
薫も先ほどの宣告どおりに炎に霊力を与えている。
「赤式七番!!」
そう叫ぶと、手のひらに炎が収束し、薫はそれを圧縮する。
「はぁぁぁぁあああああ!!」
薫はそう叫びながら、炎を一気に発射する。
高温高圧のソレは森に向かって飛んでいく。
(ま、まずい!!)
「青零!青二!青九!!」
水を生み出しソレを任意の場所・・・上空へと瞬時に持って行き、九番で大粒の(一粒直径一メートル)雨として降らせる。
ふう。
式の詠唱と言うか番号名というか。短縮すると一定の威力を生み出すのに霊力相当喰うんだよな。
「薫!!何故森にやった!地形変わったらどうすんだ!」
「す、すまない!」
「今度からは俺を狙え。受け止めるなり壊すなりするから」
「ごめんなさい」
「もう、いいよ。それより、威力結構あったな。これは八番、九番一気にいけるぞ」
「そうか!?」
「おう。嘘じゃねえよ」
「マジか!?なら早速教えてくれ!!」
今日。薫は八番と九番を覚えた。
全く、成長の早い奴だ。
その頃、花戸井家では・・・
「祝詞どうしたんじゃ?昨日からそわそわして」
「い・・いやなんでも・・・」
ないと言おうとしたところを他の声に阻まれる。
『祝詞は勇の事が心配なんだよね~』
じいちゃんの指輪のあたりから声が聞こえる。
祝詞は何処が音源だか気付かない
「ちっが~う!!てか今の声誰!?」
「話をそらそうとするところがますます怪しいぞ」
「あんたも話をそらすな!!」
平和でした。




