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『白い朝の旅立ち 〜65歳からの再出発。元技術部長が信州の町工場を救う物語〜』第7話:揺れる心、沙織の言葉

理想だけでは進めない現実。重なり続ける重責に、真一の心と体は静かに悲鳴を上げ始めていました。

 プロジェクトは順調に見えたが、壁に突き当たった。  大手メーカーへの納入には、厳しい材料試験とコストの壁が立ちはだかったのだ。

「精度を出そうとすれば加工賃が三倍になる。これでは商売になりません」

 部品会社の社長が苦渋の決断を迫る。  さらに、陽燦社の内情も複雑だった。経営陣の意見がまとまらず、真一一人が矢面に立つ場面が増えていた。

「いつも高木さん任せで、会社としての意見が見えない。あなたが手を引いたら、この計画は終わりだ」

 その言葉が胸に重く響く。  週一回の予定が、気づけば週三日も通い詰めていた。

 ある夜、沙織と食事をした際、彼女が真面目な顔で言った。 「真一さん、あなたは無理をしすぎる。もっと肩の力を抜いていいんです。陽燦社は今、後継ぎ問題で揺れているんですよ……」

 夜風に吹かれながら、真一は岐路に立たされていた。  このまま重責を背負い続けるべきか。それとも、穏やかな隠居生活に戻るべきか。


沙織さんの言葉は、読者の気持ちを代弁してくれているようです。人生の秋に、これほどの重荷を背負うべきなのか……真一の葛藤が痛いほど伝わります。

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