もし、某作品が普通のファンタジーだったら。
読んでいただければ、どの作品なのかはすぐに分かると思います。
8月31日 アクエリアスから、アクエリアに変更いたしました。
韻を踏んでいないため、ゴロが悪いと本人より訂正希望が入ったためです。
「本当に行くのか? 相手は七つの大罪の一人、ベルゼビュートですぞ!」
「大丈夫さ。俺たちなら、やれる」
俺の名はセンマ。
この世界で英雄もどきをやっている。
今回はかなりの難題であるが、俺たちのパーティならば絶対に勝てるという確信がある。
依頼人に指定されたところに近づくと、瘴気に満ちていた。
「アクエリア、まずは浄化からだ。相手のフィールドから引き出してやれ!」
「わかったわよ! 神遣いが荒いんだから!」
こいつは、水の女神アクエリア。
この世界に転生するときに、俺が選んだ女神だ。
「ヤミは周囲の警戒を頼む。小物がいるかもしれないからな」
「分かりました~! 小物の攻撃くらいならば、気持ちいいとしか思えません~!」
ヤミは、クルセイダーという職業についている。
守りに特化している職業であるため、攻撃力は低いものの、雑魚の攻撃くらいならば文字通りご褒美でしかないだろう。
それほどまでの鉄壁を誇るのが、こいつなのだから。
「ケイは魔法の準備を。大物相手だからな。お前が切り札だ」
「ふっ。わが極大魔法の力、存分に味合わせてやろう」
ケイは魔法使いだ。
一日に一回だけ、極大魔法を使うことができる。
その力は文字通りの「切り札」足りうるものだ。
「ピュリフィケーション……そろそろ、相手が気づくころだと思うわよ」
「だな。とりあえずヤミを前に出して、俺が遊撃。ケイは限界まで魔力を貯めておけ」
現れた化け物は……想像を絶するほどの巨体であった。
醜いカエルのような姿をしており、すべてを飲みつくそうという欲望が感じられる。
滴るよだれは、地面をシューシューと溶かしていく。
「ヤミ、来るぞ!」
相手の初撃は、よだれを吐き出す攻撃であった。
並みの人間であれば、一瞬で溶かしつくされるだろう。
「ガード……こんなものですか? あまり気持ちよくありません」
だが、ヤミにとっては別だ。
彼女の防御力の前では、この程度の攻撃は無意味でしかない。
「黒鉛と、風を吹かせる魔法、そして……着火!」
こちらも攻撃を開始する。
まずは小手調べで、俺が粉塵爆発を使ってみる。
相手の表皮は削られるものの、すぐに回復してしまった。
「回復力が高い相手のようね。どうするの?」
アクエリアが尋ねる。
「だったら、お前の出番だろう? 回復を逆転させてやればいい」
回復魔法の使い手であるアクエリアは、当然その力を反転させることもできる。
回復力が高ければ高いほど、致命的になる力の使い方だ。
相手は次の攻撃に移った。
体中にあるいぼから、毒煙が噴き出す。
「ピュリフィケーション、そしてリバースヒーリング!」
毒煙を浄化した後に、回復を逆転する魔法を発動させる。
アクエリアにとってこの連続魔法は、お手のものであろう。
「こっちも、ナイフを投げて……っと」
相手に向けて、清められたナイフを投げる。
突き刺さったら当然、スティールを使って回収するのも忘れない。
これにより、疑似的に無限ループの攻撃が可能になるのだ。
「ぐっ」
ヤミが悲鳴を上げる。
相手は舌を突き出し、鞭のように振るってきた。
「ヒーリング! 大丈夫?」
「まだまだ。気持ちいい範疇です!」
……相変わらず、ヤミの鉄壁ぶりには感心させられる。
だからこそ、安心して楯として使うことが出来るのだが。
「そろそろ、限界まで魔力がたまるぞ。どうする?」
「限界なんてレベルでは不安だ。そのさらに先を目指せ!」
ケイの極大魔法は、確かに最強の切り札である。
だが逆にそれで相手を倒すことが出来なければ、こちら側が一気に不利になる諸刃の剣なのだ。
「ああ!」
アクエリアの悲鳴が聞こえる。
どうやら相手は、ヤミを丸のみする方向に切り替えたようだ。
口元から足がのぞいており、相当まずい状態であることが分かる。
「いや、逆にチャンスだ。ヤミに遅延タイプの回復魔法をかけておけ」
「分かった!」
俺が転生した人間であることは、仲間たちに伝えてある。
その中には当然、日本の物語も含まれる。
「ヤミ、一寸法師だ!」
だから、これだけで伝わる。
あえて自ら飲み込まれたうえで、中で大暴れ。
遅延回復魔法により、溶かされることなく攻撃が続けられる。
いくら攻撃力が低いとはいえ、内臓を直接攻撃され、さらに回復力を逆転されているのであれば、当然効果は極めて高いものとなる。
「ヤミが中にいるのだが、どうする?」
「当然、全力でぶっ放せ!」
ケイに対して、俺が指示を出す。
そろそろ、ケイの極大魔法がとどめになるくらい、相手は消耗しているだろう。
「それでは……極大魔法、発動!」
轟音とともに、とんでもない大きさの爆発が引き起こされる。
当然地面にはクレーターができるのだが……最低でも直径50メートルは下らないだろう。
当然その上に存在する爆発の大きさは、言うまでもない。
残っていたのは、黒焦げになったベルゼビュートだけだ。
焼き尽くされており、辛うじて原形をとどめているという有様。
命の火が消えているのは、間違いないだろう。
「ヤミ、大丈夫?!」
中から、ボロボロになったヤミが出てきた。
「なかなかに気持ちいい体験でした。最後の一撃で、危うく昇天しかけました~!」
……深くはツッコまない。
結果として優秀な守り手であるのならば、問題はないのだから。
「ふっ。わが魔力をもってすれば、造作もないことだ」
地面に横たわる、ケイが満面の笑みを浮かべながら口にする。
彼女はこの魔法しか使うことが出来ず、しかも一度使うとすべての力を失い、立っていることすら困難になるのだ。
一見使いにくいように思えるだろうが、その分ジャイアントキリングを行うにはうってつけの力である。
「ありがとう、ケイ」
いつものように、俺がケイをおんぶする。
これだけの働きをしたのだから、こうやってサポートするのは当然のことだ。
そして今、冒険者ギルドにて。
「ベルゼビュートの討伐成功、おめでとうございます!」
普通の冒険者では見たことがないほどの報酬を、俺たちは手にする。
アクエリアは既に、両手に酒瓶を持っており……このまま宴会に突入するのは間違いないだろう。
これだけ働いたのだから、多少羽目を外しても許そうと思う。
「センマも、飲みなさいよ~!」
「やめろって! 俺は下戸なんだから!」
抵抗したものの、アクエリアに無理矢理酒瓶を口に突っ込まれる。
明日はおそらく、二日酔い確定であろう。
暁なつめ様、申し訳ありませんでした。




