プロローグ
世の女たちよ、立ち上がれ。
我々は男たちの糧ではない。
我々は女として生を受けたことを誇りにし、今ここに自由の旗を掲げる。
一つの国があった。そこには男と女が暮らしていた。ヴォルフはヴィーネを奴隷のごとく虐げた。ヴォルフには力があった。支配力があった。ヴィーネは、ただ彼らの思うように扱われ、彼らの欲望を満たすだけの存在であった。
それは、太陽がやけに熱く燦々と輝く日のことだった。一人の少女が、拳を高々と振り上げ立ち上がった。彼女の名はロゼ。まだ十七歳だった。
彼女は全てのヴィーネに語りかけた。
「私たちはこのままでいいのでしょうか。このような辱めをいつまで受け続ければよいのでしょうか。女として生を受けたことを、いつまで恥じねばならないのでしょうか」
全てのヴィーネが、彼女の語りに耳を傾けた。
「私たちは戦わねばなりません。全ての自由を手にするために。力に屈してはなりません。私たちの身体は誰のものでもないのですから」
全てのヴィーネは、彼女の言葉に奮起した。
ヴォルフとヴィーネの戦争が始まった。ヴィーネはヴォルフを次々に闇へと葬った。静かに闇へと誘う術を、彼女たちは知っていたのである。だがヴォルフは、ヴィーネの恐ろしい毒を知らなかった。知らずに抱き寄せたのだ。それはすでに死を意味していたのに。
ヴィーネの反乱は、ヴォルフの勢力を凌駕していた。しかし、それでも多くのヴィーネたちが生命の灯を奪われた。殺されたもの、自ら命を絶ったもの、それは多くの犠牲を払った革命だった。
けれども、全てのヴィーネはこの革命を後悔しなかった。革命は彼女たちに、新たな未来を築かせたからである。
革命の指導者であった少女は、戦いの女神と謳われた。ついに彼女は、ヴォルフの首である王宮を占拠した。そして、全てのヴィーネに宣言した。
「私たちは、全てのヴォルフの追放を願い、勝利と共に自由をここに誓いましょう」
十七歳の少女の導きのもと、未来の扉は開かれた。扉の奥には、希望に満ちた全てがあった。
こうして、一つの国からヴォルフの姿が消えた。城壁は硬く閉じられ、ヴォルフが足を踏み入れることを許さなかった。それゆえに、ここに新たな平和と自由が生まれた。そして、城には新たな旗が掲げられたのである。そこには、紅く美しい薔薇が咲き誇っていた。
全てのヴィーネは、掲げられた旗に歓喜の声を上げた。彼女たちは、この国の新たな名を知っていた。「ローゼンシュトルツ」という名を。
数年前に書き始めて、いったん寝かせていました。……というか、お蔵入りさせようかと思ったんですが、知人の勧めで掲載するに至りました。
下手の横好きですが、読んでいただけたら幸いです。よろしくお願いします。