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魔王

「魔王ってあの魔王ですか?」

「はい。」

「私が?」

「はい。」

「魔王に?」

「はい。」

「ガチ?」

「ガチです」

「えーっと、詳しく説明していただいてもよろしいでしょうか?」

「はい。しっかり説明させていただきます。」


リリちゃんは再びこほんとわざとらしく咳払いをして、話し始めた。


「魔王と言っても、悪役になれとは言っていません。魔獣の森という場所に住む魔物たちの管理をして欲しいのです。」

「魔獣の森、、、ですか?」

「はい、かつて絶滅しかけた魔物たちを保護するために私たちが作りました。いま現存している魔物のほとんどがそこで生活しています。」

「なるほど、、、それで、管理というのは何をすればいいのでしょうか?」

「特に何もしなくても、魔獣の森で生きてくれれば大丈夫です。」

「はい?」

「どうかしましたか?」

「聞き間違いじゃなければですけれど、今何もしなくてもいいと言いました?」

「はい、そう言いましたよ。」


もう意味がわからなかった。


「、、、どういうことですか?」

「現在、魔獣たちが凶暴化しているのが魔素が少なくなってきているからと説明したことは覚えていますか?」

「はい、覚えてます。」

「ということは空気中の魔素の量を増やせば魔物たちは落ちつかせることができ、私たちも落ち着いて問題解決のための調査ができるようになる。こう言って仕舞えば簡単に聞こえてしまいますが、問題はその方法です。ここで先ほどの魔族の話が関係してくるのですが、魔族は魔獣と比べて、何倍もの魔素を生み出していると説明したことも、もちろん覚えていますよね?」

「は、はい、もちろんですとも、、、」


質問した瞬間のリリちゃんの笑顔に今まで感じたことのない圧を感じた。


「では、それが魔王になると、その数はどうなると思いますか?」

「えっと、さらに倍、、とかですか?」

「残念、正解はさらに二千倍です。」

「ほえぇ」


結構馬鹿げた数字を言われて、何だか間抜けな声が出てしまった。


「まぁ数字を言ってもピンとこないと思いますので、いまはとりあえず魔獣を落ち着かせるために魔王になる、ということだけ頭に入れておいてください。」

「あ、魔王になるのはもう決定事項なんですね。」

「こんな話聞かせて今更断ろうものなら魂ごと消させていただくことになりますがよろしいでしょうか?」

「い、いえ!謹んでお受けさせていただきます。」


リリちゃんの可愛いお顔がこの時だけ何故か般若のように見えた。





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