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生きることが仕事

「人間と魔族は対立関係にありました。人間側は魔族の異形な見た目から魔物だと勝手に決めつけ、一方的に迫害し、果ては見つけ次第殺していきました。対して魔族は人間から同胞や魔獣を守るために強力な結界を作り出し、すでに残り少なかった魔族たちが暮らしていた集落の周りにその結界を何重にも貼りました。しかし人間はその結界を相殺する魔法を生み出し、徹底的に魔族を殺していきました。」


酷い話をリリちゃんはたんたんとしていたが、その顔はとても辛そうだった。


「魔族は人間にやり返したりしなかったんですか?」

「はい、あくまで平和的に解決したかったみたいです。でも人間は魔族のことを害獣と同様にみていたみたいなので最初から不可能だったのでしょうね。」

「人間はそんなに強い力を持っているのですか」

「いいえ、数が大きだけで個々の力は微々たるものです。でも、特別な力を持った人間が生まれることがあります。」

「特別な力?」

「はい、その力を授かった者を勇者と聖女というのですが、このことについても詳しく説明できない決まりになっています。ごめんなさい。」

「そ、そうですか。」


勇者と聖女、、、ますますゲームっぽくなってきたなぁ。


「魔族がいなくなったことで魔法の世界に発生した問題が二つあります。そして、この問題の改善の糸口を探すためにゆいさんには魔法の世界に転生して欲しいのです。」

「二つの問題を、私一人でですか?」

「はい、とは言っても、そこまで難しいことをお願いするわけではないので安心してください。」


いや、全く安心できないが。


「まず一つ目の問題が、人間が好き勝手していることです。これはあくまで神目線での話になるのですが、魔法の世界ではあくまで全生物が平等に暮らせるように調整を重ねてきました。しかし野蛮な人間は歴史の中で何度も戦争をし、その中でたくさんの生物や植物、魔族までもが死滅していきました。そのおかげで今世界のバランスがめちゃくちゃになっただけではなく、数々の種の生物が絶滅してしまい、魔素の量が極端に少ない状況になってしまいました。そのせいでいまも魔物の凶暴化が治らないのです。」


私の住んでいた世界で言うところの環境破壊みたいな感じなのかな。でもそんなの私一人でどうにかなるようなことには思えないけれど、、、


「では二つ目です。」


なんてことを考えていたらリリちゃんが二つ目の説明を始めた。どうやら質問する隙を与えないつもりだ。


「二つ目は、人間が魔獣や魔族のことをただの害獣だと誤解していることです。」

「それは。先ほどの魔獣が魔素を生み出している話と関係がありますか?」

「はい、魔法の世界の魔物や植物たちはみんな魔素を生み出しています。科学の世界で言うところの光合成みたいな感じでしょうか?それは魔族も同様なのです。」

「魔族も、魔物と同じように魔素を生み出すことができるんですか?」

「ええ、それも魔族が一人いるだけで魔物五十匹以上分の魔素を生み出してくれます。しかし、人間は魔族を絶滅させてしてしまいました。」

「えぇ、やばくないですか?」

「やばいなんてレベルじゃないですよ、、、まったくどっちが害獣なのか。」


リリちゃんはそう言って深いため息を吐いた。


「あの、私はその二つの問題を一人で解決しないといけないんですか?」

「え?あぁ、別に解決とまで行かなくていいわ、そのための糸口を探すのに協力して欲しいのよ。」

「えっと。そのためには何をすれば?」

「魔法の世界で、魔王として生きてください。」

「へ?」

「生きてさえいてくれれば、それで大丈夫です。」


はい?

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