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姫様の友達

★勇者視点


日が高く上る頃、俺は今日も役目を果たすべく森へと赴くために準備をしていた。

害獣どもをまたこの手で駆除するのだ。本当はこんな汚れ仕事なんかしたくはないのだがこれが勇者としての役目なのだ、仕方ない。


するとまためんどくさいやつに絡まれてしまった。


「また森に行くのですか?」

「、、、なんだ、聖女か。」

「何だとは何ですか。もう行かないでって何度言えばわかるんですか。」

「どうして貴様の言うことを俺が聞く必要かある。俺は勇者だぞ?何様のつもりだ?」

「勇者という肩書きに甘んじて偉そうな態度をとり、あまつさえその役目を果たそうとせず魔獣狩りばかりをしている考えなしのバカに払う敬意などありません。」

「勇者であるこの俺を侮辱したな?万死に値するぞ?」

「私も聖女なのでこのくらいではそんなことにはなりません。もういいです。私は自分の役目をしっかり果たしてきます。」


聖女はそう言ってどこかに行ってしまった。




準備を終えた俺は国王に魔獣の森に害獣狩りに行く報告をしに謁見室きていた


「今日も害獣退治に行ってくれるのか。」

「はい、この国のため、、、いや、人類のためにこの世から害獣どもを一匹残らず殲滅させる、その第一歩として魔獣の森の害獣どもを一匹残らず退治するべく、これから命懸けで戦って参ります。」

「あぁ、勇者ならあの森の小物ども程度なら何も心配ないだろうが万が一のことがないように。」

「はっ!」


そうして深く礼をし、部屋から出ようとすると。


「だめです!魔獣たちを殺したらだめなんです!!」


と、幼い少女の声が部屋に響いた。



★姫視点


私はアンスボロス王国の王様と妃様の間に長女として生まれて以来、ずっと勉強ばかりをしてきました。

本当は友達とお茶を飲んでお話ししたり、好きな本をたくさん呼んだり、たくさんお絵描きをしたかったのですが、それは物心ついた時から許されてはいませんでした。

マナーの先生に怒られながら飲むお茶はどんな味なのか全く覚えていません。本は歴史や計算の仕方、あとは魔獣についての本ばかり読まされました。面白くはあったのですが、流行りの本などは一切目を通したことがありません。

一度お父さんとお母さんの似顔絵を描いてみせたことがあります。

紙が勿体無いと怒られてしまいました。


でもそんな私にも、一度だけ友達ができたことがあります。


今から五年ほど前のこと、まだ十歳の頃でした。

中庭を散歩していた時に、彼女に出会いました。


「お嬢さん、そんなところで何してるっすか?」


お話ができる不思議なリスさんでした。


「リスが、、、喋ってる、、、?」

「喋ってるっすよー。」

「、、、どうして?」

「どうしてって言われても、、、話せるから話してるとしか。」

「どーやって言葉を覚えたの?あなたの名前は?どこからきたの?それからそれから、、、」

「あーちょっと落ち着くっすよ。質問ならいつでも受け付けるっすから、まずうちの質問に答えて欲しいっす。」

「わかった。なーに?」

「こんなところで一人で何してたっすか?」

「お散歩。今丁度休憩時間だったの。」

「休憩?何かしてたっすか?」

「うん。さっきまでマナーのお勉強だった。これから計算のお勉強。」

「まなー?けいさん?それは何なんすか?」

「マナーは相手に失礼のないようにするための所作や言葉遣い。計算は生きていく上で最低限必要な知識だって言ってた。」

「よくわかんないっすね。」

「うん、私もわかんない。」


なんてお話ししていると、鐘の音が聞こえてきました。


「あ、もう行かないと。」

「そうなんすか?」

「うん、鐘の音が鳴ったら休憩時間は終わりなの。」

「次の休憩はいつっすか?」

「今日は寝るまでずっとお勉強なの。」

「それはつまんないっすね。」

「つまんないの。」

「逃げ出したりはしないっすか?」

「逃げても私一人じゃどうしようもできないの。」

「そっか、人間の子供も大変っすね。」

「そうなの。」


なんて話している間にも、先生を待たせているから早く行かなくてはいけませんでした。でもその時の私はもっとリスさんとお話ししたくて仕方がありませんでした。


初めてお城以外の人と話できたから、どうしても友達になりたかったのです。


すると、リスさんがこう言ってくれました。


「また明日、大体同じ時間に来るっすよ。」

「、、、え?」

「だってまだうちは質問一つも答えてないっすからね。また来るっす。」

「、、、うん、わかった。」

「じゃ、また明日!頑張るっすよ!」

「うん!ありがとう。」


私に初めて友達ができた瞬間でした。


そのリスさんが先生が言っていた害獣なのだと知るのは、その翌日でした。

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