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裸の勇者と生意気な聖女

★勇者視点

俺はアンスボロス王国のメライロアス侯爵家の一人息子として生まれて以来、確実に勝ち組の人生を歩んできた。

幼少期は欲しいものがあれば何でも買ってもらえた。

七歳になったら貴族の子供が全員受ける鑑定の儀式では勇者の力を受け継いでいたことがわかった。

そうなると両親だけでなく、他の貴族や王家の人間までもが俺にひざまづき、欲しいと言ったものを全て手に入れることができた。

さらにこの力を利用し、魔獣の森にすむ害獣どもを目に付く限り虐殺した。いいストレス発散になった。

すると俺の功績を讃える人がより増えた。だからほぼ毎日害獣どもを殺していた。

するとさすがにやり過ぎたのか魔獣の数が少なくなってきた。正直このまま皆殺しにしてやっても構わなかったのだがそうすると俺のストレス発散の場所も無くなるし功績を上げ続けることもできなくなってしまう。

だからわざと日にちの間隔をあけて森の害獣どもを殺して回った。

そうしているうちに俺は17になった。

誰もが俺のことを尊敬し、逆らわない。女だって俺が何もしなくても勝手によってくる。

何もしなくても全ては俺のものになる、この世界は俺のためにあるのだ。


そのはずなのに、一人だけ俺の言うことを全く聞かない女がいる


今目の前に座っている聖女だ。


「どうかしましたか?こんな夜更けに。」


せっかくこの俺が呼んでやったと言うのに、心底嫌そうな顔をしながらそう言ってきやがった。


「なにって、決まってるじゃないか。今日こそお前のことを食ってやる。」

「、、、はぁ、まだそんなこと言ってるんですか?あなたもう何歳ですか?17でしょ?もう十分大人なんだからいつまでもそんなこと言ってないでちゃんと勇者としての責務を果たしてくださいよ。」

「それならやっている。」

「魔獣の森ですか?確かに魔獣の森に住む魔獣たちは人間にとっては危険ですが世界全体で見たらなくてはならない存在だって習わなかったんですか?」

「魔獣は害獣も同然だろ?」

「それはこの国に攻めてきた時だけです。異常な繁殖や暴走化でもしない限りは魔獣を狩る必要はないんです。あなたのその軽率な行動のせいでこの世界から魔法がなくなったらどうするおつもりですか?」

「そんなことあるわけないだろう。」


まただ、この女はこの世界から魔法がなくなるだとかそんなあり得ない話をする。やはり聖女は頭のおかしいものなのだ。


★聖女視点

またこの変態勇者に呼び出された私はもううんさりとしていた。

毎日毎日夜中に呼び出して何を言い出すかと思えば食ってやるとか魔獣を狩っただとか俺は勇者だから偉いだとかそんな幼稚なことばかり言ってくる。


私は毎朝この国を守る結界の整備のためにメンテナンスをしたり協会を掃除したり王子とお話ししたり魔法の訓練をしたりと忙しい日々を送っているのにこの男は何の気遣いもなく夜中に無駄話をしてくるのだ。


勇者の自分勝手な行動は私に対してだけでなく、貴族や騎士、国王にまで迷惑をかけているらしい。


彼自身は勇者として周りから支持されていると思っているらしいが、実際は勇者の務めを全く果たさないばかりか自分勝手な行動ばかりをするため誰からも信用されていない。


自分の地位に溺れ周りからどう見られているのか全く気づいていない、まさしく裸の勇者だ。



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