森の中心部
話し合いを終えた私たちは暗闇の森の中をくまさんの背中に乗って移動していた。
「そういえばみんなは暗いのにちゃんと見えてるの?私は吸血鬼だから夜目が効くってのはわかるんだけど。」
「あぁ、わしと兎は暗視っていう魔法を使えるから問題ないぞ。」
「おらは元々夜行性だし、そもそもずっと地中で生活してるから問題ないだべ。」
「なるほど。」
「むしろ私からしたら魔王様が暗闇の中でもちゃんと見えてる方が驚きだったんですが、、、確かに吸血鬼なら見えて当然ですね。」
「それと今私たち普通に話してるけど、魔獣たちってみんなこんなふうに話したりできるの?」
「残念ながらそれはできないだべ。おらたちは種族の長だから普通の魔獣よりも少しだけ多く魔力を持ってるからこうやって魔王様とも意思疎通することが出来るけど、普通の魔獣たちはそんなに頭良くないからそれは難しいだべよ。」
「でも集合命令を使えばちゃんと集まって来るし、命令はちゃんと聞いてくれると思いますので安心してください。」
なんて雑談をしていたら、目的地に着いたようだ。
「おいちびっ子ども、ついたぞ。」
私もちびっ子の中に入れられた。
「なるほど、ここだべか。」
「確かにここならみんな集まれそうですね。」
「、、、すごい。」
一向がたどり着いた場所は、森の中だと思えない程の広大な平原が広がっていた。
「ここも森の中なの?」
「そうですよ。この森はいろいろな魔物が暮らしやすいように場所によって環境が全然違うんです。この平原は森の中心部で、かつて龍がここを根城にしていたと聞いています。」
「かつていたっていうことは、もういないの?」
「はい、人間によって滅ぼされたと聞いています。」
「人間に、、、か。」
「はい、人間によって絶滅させられた種族は数多く存在します。私たちは今こうして生き残れているだけでも運がいいのです。」
「とはいえ、あまり悲観しなくてもいいと思うぞ。もう過ぎたことだしな。それよりいまできることをやろう。」
「そうだべ、おらは最近生まれたばかりだからその辺の話はまだ詳しくねぇけど、色々問題を抱えながらもみんな懸命に今を生きているんだべ。だったら前を向いて歩いて行った方がいいとおらは思うんだべ。」
悲しい空気になりそうだったところを、くまさんともぐらさんが断ち切ってくれた。うさぎさんも頷いていたからきっとこの森の魔獣たちはみんな同じ考えなのだろう。だったら私はそのみんなの意思を尊重したいなっておもった。
「そだね。まずは夜明けまでに人間が来た時にそなえてしっかり準備しよう。」
「作戦開始ですね。」
「おらもがんばるだべよ。」
「この感じ久々だな、年甲斐もなくワクワクしてきた。」
私は早速、集合命令を使って森中の魔獣たちを集めた
「無詠唱だべよ、やっぱり魔王様は化け物だべ。」
「聞こえたらまた怒られちゃいますよ。」
全部聞こえていた。