魔王で勇者で聖女かもしれないの?
「ちょっと待って、今聞き捨てならないことを言ってたような気がしたんだけど。」
私は慌ててうさぎさんともぐらさんの話を遮った。
「どうしましたか魔王様?私たち何かおかしなことでも言いましたでしょうか?」
「いや、そうじゃなくてね、魔王が生まれたら決まって人間が攻めてくるってどういうこと?」
「あぁ、その話でしたか。人間は名を上げるために必ず魔王様のことを狩りにきます、大抵の人間はそこまで強くはないので返り討ちにできると思いますが、歴代の魔王様はみんな勇者と聖女殺されています。」
「勇者と聖女に?そんなに強いの?」
「いいえ、強くはありません。ただ勇者には神の加護、聖女には完治の魔法という世界でたった一人しか使うことの出来ない魔法を使うことが出来ます。」
、、、ん?
「その魔法は神様によって授けられるものようで、どんな強大な力を持っていてもその魔法によって全て無効化されてしまうみたいなんです。それさえなければ今までの魔王だって負けることはなかったのですが。」
「ねぇ、うさぎさん?」
「はい、何でしょうか。」
「もし、私がこの二つの魔法を使えたら、勇者と聖女に勝てると思う?」
「、、、え?」
うさぎさんと話を聞いていたもぐらさんは呆けた顔をし、それをみてくまさんが大笑いしていた。
「ど、どいうことですか!?私こう見えてくまさんの次に長生きしていますけど勇者と聖女の魔法が使える魔王なんて聞いたことないですよ!?っていうことは、まさか魔王でありながら魔獣たちを根絶やしにするつもりですか!?」
「そんなわけないでしょう、、、」
「なら、その力を使って人間どもを屈服させるんですね!!!さすが魔王様だ!」
「いや、そんな酷いことできないし、、、」
「じゃぁ「おちつけ!!!!!」」
うさぎさんが混乱して訳のわからないことを言っていたのをもぐらさんが止めた。
「よく考えてみろ、おらが思うに、魔王様は、、、」
「魔王様は、、、?」
「この世の全ての生物を傘下に置くつもりだと思うんだべ。」
「なるほど!!!!さすが魔王様だ!ただ屈服させるのではなく、あくまで傘下に迎えることによってより魔獣の森の恐ろしさを認知させようというのですね!!!」
「そんな訳ねぇだろ。」
くまさんは爆笑していた。
もう次期夜明けだ。