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ナナケトマクロ  作者: Mattuo
9/16

日常

あれから数日が経ち、生活は一変した。


俺はマリの所属している隊に入隊させてもらい、日々鍛錬を重ねることにした。


基本的には鍛錬をするのみなので暇だ。


マリ隊は合計12名その中でも




この前までは町の周辺だけは見回りをしていたが前回のリリアの件でやり方が少し変わった。


ウェルカ内の外周に8名ほどが少し高い位置から周辺を見渡す形になった。前回は死傷者はでなかったが念には念をということだ。


この町にはバリアが張られており基本的にはマクロはウェルカに侵入することが出来ないが、やはり人間はいざというときに頼れる存在がないと怖いのだろう。


そしてそのリリアは意外にも畑仕事や動物の飼育をせかせかと手伝っている。


あの日以外は、相変わらずしゃべらない……


なぜみんなとは話さないだろうか……


そんなことを考えながらトレーニングをしていると先輩のハンゾさんに声をかけられる。


スキンヘッドに色黒がとても似合っている近所のおじさんって感じだ


「おい、ダヴ

 お前記憶がないんだよな?なんで名前だけはおぼえてるんだ?」


「それが自分でもわからないんですよ。ただ記憶のなかに「私は人間である。そしてマカイ=ダヴという名である。」っていう言葉だけは覚えていたんですよ」


「ふーん。その言葉もなんか変だよな。私はマカイ=ダヴという名である。とかならわかるけどよ

 なんでわざわざ私は人間である。って言ってんだ?そんなの当たり前じゃないか」


「言われてみればそうですね…もしかして俺は人間じゃなかったとか?」


「ワハハハハ 

 なんだ、お前はもともとマクロだったとでもいいたいのか?」


「あくまで可能性の話ですよ!」


思わぬ発想が出てしまいあまりの恥ずかしさにトレーニングを中断してしまった。


「お前がマクロだったとしたらマクロにもそれぞれ名前があるってことになっちまうな〜

 おっとトレーニングは続けろ〜」


「あ、すいません…この話はもうやめましょう…さっき言ったことは忘れてください。」


「ごめんごめん、それに実際に考えてみたらなんかありそうな気がしてきたわ。

 マクロが人間ではないなんて誰も言い切れるわけがないもんな」


「そうですよ!誰にもわからないんです!」


俺って本当にマクロかもしれないのかな…


なにも覚えてないって怖い……


しばらくしてトレーニングも終わり解散となった。


家に帰るとリリアは先に帰ってきていて、窓から外を眺めていた。


「ただいま」


「……」


リリアは黙る。


リリアとの生活ではほぼなにかをするわけでもなく、ただ隣で寝ているくらいだ。


食事もラーラーと呼ばれるものをそのまま食べるだけだ。


洗濯をお互いが時間があるときにやるくらいだろうか。


一つ気づいたことがある。俺が寝るタイミングでこっそりリリアは外に行きなにかをこそこそしている。


それまで長い時間外にいるわけでもないので何をしているのかも聞いたことない。どうやら毎日のようだ。


今日もいつものように独り言風の「おやすみ」を言って一日がエンドする。


朝になるといつものように独り言風の「おはよう」を言って一日がスタートする。


畑を手伝いに家を出るリリアに向かって独り言風に「いってらっしゃい」と言う。


たまに頷いてくれる。


リリアはしゃべらないがそれも周りの人から当たり前のように受け入れられ今では可愛がってもらえている。


ウェルカの住人は本当に優しい人ばかりだ。


ウェルカの南門付近にマリ班の訓練場がある。


俺もそろそろ向かうとしよう。


少しずつここの生活にも慣れてきた。


記憶を思い出そうとすることも減ってしまった。


マクロに出会う日なんてほとんどなくて今はとても充実している……



「私は人間だ。そしてマカイ=ダヴという名である。」



ぽつりと口にしたセリフは虚しく壮大な空に吸われていった。


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