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ナナケトマクロ  作者: Mattuo
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夢の足跡


「夢だったのか……」


あまりの驚きにしばらく沈黙しているとマリは立ち上がる。


「まあ慣れない環境で悪い夢でも見たのだろう。

 外の空気でも吸いにいかないか?」


「あぁそうするよ……」


鮮明に覚えている夢は忘れたくても記憶にしっかりと刻まれていた。


Mattuo


外に出るととても気持ちいいそよ風に吹かれて気分をリセットすることができた。


「あんたたちはなぜそんなに親切なんだ?どこの誰かも分からないような俺にそこまでに親切にできることに俺はとても尊敬している」


「私は時々考えるんだ。いわゆるしあわせってやつをね。

 私は少し前まで人類の発展のために失われた町を取り戻すために外の世界を探検していた。

 その果てに思ったことは、幸せと思えることが幸せなのだと。昔は失わられた町を取り戻すために隊を結成して奪還作戦なども行なっていたがその度に多くの仲間が死んでいった。

 何の成果も得られず死んでいく民、いつしか私は攻めることよりも守るべきものを守ることがこの町にとっての幸せだと気付いたよ。」


「私は今でも外を調査して未知数を解明していくべきだとも思っている。

 だがそう思っているのはこの町ではおそらく私とメタルくらいだろう。私たちは民のためと思ってやってきていても民はそう思っていなかったらただの自己満足なんじゃぬいかと思えてきてな。それ以来は町を守ることにこの身を捧げている」


「マリは強いんだな」


「武の神を宿しているからな」


「そういう意味じゃない」


「分かっている」


マリは微笑み、わざとボケてみせる。その顔はとても悲しい笑顔に見えた。


「3年前のことだ…」


マリは過去を語る。


-------------------


「今回の調査では南東の森林を調査する。作戦を説明しよう。南東の森林はとても大きく未開の地だ。今回の調査で、まずは情報収集や地図を作りたい。今回はとても深い森林のためいつものように空を飛ぶことのできるワワタを上空に飛ばしつつ状況を整理することが出来ないためマクロに出会った班はすぐにテレパシーの使えるアギのもとに知らせてくれ。アギの位置は定期的に知らせるからマクロに出会った班は早馬で伝えに行ってくれ。そして、アギからマクロの出現位置を全員で共有しつつ、作戦はアギを通して臨機応変に対応していくつもりだ。いつも言っているが調査は我々人類の発展には必要不可欠だ。だが、焦る必要はない。あんたらの命の方がよっぽどか大事だからね。マクロがどれだけいるかもわからないし人類にとって脅威となるものや希望となるものがあるかも知れない。」


「さぁ行こうか」


「は!!」


-------------------

数時間後


「あねさん!B班の隊員誰とも連絡が取れません!どうされますか?」


「B班は確か森林の中央あたりを調査しているはず……

 何かあったのかもしれん。場所はあまり遠くないから一度我々の班で確認してこよう」


「わかりました!」


「A班の全員ついてこい!」


「は!!」


-------------------


「あねさん、このあたりのはずです……」


「……………………」


「あねさん?どうされたんですか?あ………………」


「今回の作戦は中止だ。即刻ウェルカに戻る。アギに伝えてくれ」


「…………あ、わかりました」


-------------------


「その時の惨事は今でもしっかりと覚えている。 B班は16名だ。あたり一面に血が飛び散り、16名の首が地面に転がっていた。誰かが生きていると信じて全員の顔をしっかり確認した

 あんたには伝えてなかったが本来マクロは、頭を食べようとしてくるはずなのに頭はすべて残っていた。どのような殺され方をしたのか、本当にマクロに殺されたのかもわからない。

 ウェルカについてB班の家族や友人に彼らは立派に勤めを果たしました。と言えないことがとても悔しくて恥ずかしかった。16名も死者を出すのはいつもに比べて多いし、原因も分からないときた。

 そして、本当に外の調査は必要なのかを問われて私はこう答えたんだ「外の調査は必要ないのかもしれない」とね。」


「大変なことがあったんだな。ただマリの言う外を知るべきだっていうのはみんなと一緒で反対だな。やはりここには生きたいと思っている人がいて実際に生きている人々がいるわけだからな。それは最も尊ぶべきだと思う。」


「だがその先に人類が滅んでしまうとしたら?」


「その質問はずるい……」


「ずるくなどない。わたしはこの世界に先はないと思っている。今は繁栄してきて人口も増えてきたがこの先もそうなるとは言いきれない。だからこそ分からないものには蓋をしておくことは唐突な終焉を意味している。我々が現在危機的状況に陥っているかどうか知るよしもないのだからな」


「それは可能性の話だろ…」


「そうだ。あくまで可能性だ。だが可能性がある以上誰かが考えねばならない。だがこの町と町の王はそれを良しとしない。

 だから私は今の仲間を助けることを選びこの人類を捨てる選択をした。正しいかどうかはわからない。だが後悔はないと思っている。」


「俺は自分が誰かもわかっていないような人間だ。なにも俺にはわからない……」


「そうやって答えを先延ばしにしようとしているやつは何も救えない。

 マカイ。あんたも変わるんだ。何かを。誰かを救うため」


どこかで見たことあるような景色だ…


こんな風に…


何かを。誰かのために。


成し遂げようとしてたんだっけ…


俺って…




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