1-8:活動開始
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8話:活動開始
「ただいま帰りました」
ドタバタ...
家に帰ると、奥から走ってくる両親が見えた。
「「アレン!」」
《アレン!かえってきたー》
「アレン、契約はできたようですね。それで?あなたの精霊は何処に?」
母がオレの魔力が安定していることに気づいたようだ。しかし、オレの精霊には気づいていないようだ。
「かあさま、とうさま、紹介します。この子たちが僕の契約精霊です。ムギ、ソラおいで!」
コン!
にゃー!
オレはムギとソラに姿を現すように命じた。するとオレの足元に2匹が現れた。
母も父も驚いているようだ。それも仕方ないか。動物精霊なんて存在を知っているわけでもないしな。
「か・・・・」
「か?」
「かわいいーー!!」
母が2匹を抱き寄せて頬ずりしている。そして父は、
「な?どうして俺にも精霊が見えるのだ?!」
父はさらに驚いていた。そりゃあ、精霊術師でもないのに姿が見えたら驚くよね。
それを聞いた母も驚いている。オレは精霊王に会った時の話を二人にした。もちろん神様云々の話はしていない。
言ったところで、信じられないだろうから。
「...ということです」
オレが話を終えると、二人は驚きすぎたのか沈黙の時間が訪れる。
ちなみにマリンはムギとソラと一緒に遊んでいる。
癒される~。
そんな中、母がため息交じりに話を切り出してきた。
「精霊に愛されているのだろうとは思いましたが、まさか精霊王様の祝福まで頂けているなんて」
「まさか、うちの息子が...もう驚き疲れたよ」
父がより一層疲れた顔をしている。まぁそれは置いておいて、魔力も安定したから精錬術師としてこれから活動をしていくつもりだ。
「とうさま、かあさま、これから僕は【精錬術師】として動こうと思います。精霊と契約したことで魔力も安定していますし、やりたいことがたくさんありますから」
「そうですね。魔力が安定するまで、あなたは本でいろいろな知識を持ったでしょうし」
「そうだな。オレが何を言うまでもなく、お前は自ら知識を得ようと勉強していたな。精霊王様の祝福もあるのだろう、なら自由に動いてみよ。何かわからないことは遠慮なく私とエレンに聞くのだぞ」
二人とも特に反対することもなかった。日頃の行いって大事だね。
「ありがとうございます。それなら早速一つお願いが...専用の工房が欲しいです」
オレは専用の工房をお願いしてみた。すると今は倉庫として使っている離れがあるということだ。
そこに置いてあるものも特に使っていないということで、自由に使っていいらしい。
オレは早速、離れに行くことにした。
倉庫として使っているということだが、大きさは30畳ぐらいだ。2LDKぐらいの部屋の大きさだと思えばいいか。
とりあえず一部屋はムギとソラの遊び場にする。部屋はうちの者たちが掃除していたのか何処もキレイなままだ。
「ムギ、ソラ!この部屋、自由に使っていいよ」
そういうと2匹はそのまま部屋に入っていって部屋を駆けたり、2匹でじゃれあったりしている。
和むわ~
少し二匹と遊んでから、次はリビングで早速、錬成陣を書く。これからはこの時代にある物を使って、いろいろ便利なものを作っていこう。
まずは簡単なものからだな。材料は木材と鉄と火だな。
「ムギ、この鉄を溶かす火を出せるかい?」
コン!
ボッ!!
よし!それなら木材と鉄をここに置いて錬成陣に魔力を流しながら形・大きさ・作業工程と完成形をイメージする。
すると錬成陣が光り包まれる。
錬成陣の光が消えると、錬成陣があった場所に、鉄の鍬が現れた。完成だ!
簡単!マジ便利!魔力も全く問題ない。これなら大量生産も可能だし、うちの領地で必要なものを作ることも可能だ。
さて、なら今やるべきは素材集めだ。今まではろくな力もなかったから一人歩きとかはできなかったけど、今はムギとソラがいるから大丈夫だろう。なにせ1匹で都市を破壊できるほどの力を持ってるんだ。それが2匹いれば、怖い物なんてほぼないでしょ。
そして今オレがもっとも欲しいのは【収納袋】だ。
これは荷物を持ち運ぶときに収納ができる魔法の袋だ。ラノベ的にアイテムボックスとか言われているあれだな。
この世界では【収納袋】と呼ばれている。
この収納袋は錬金術で作られているのだ。材料自体は布と紐があればよくて、それを袋にして、そこに魔力を注ぎ込めばできるらしい。
作成者が錬成するときに使用した魔力量によって収納量の大きさが変わるファンタジー世界必須アイテムだ。
でも、その収納袋を作るために使用する魔力量はかなり多いようだ。
人類の魔力平均で考えると、多めに入ると言われている収納袋でも、1メートル四方ぐらいしか入れられないらしい。
冒険者なら量で言うと自分1人の数日分の食糧や武具、野営道具を入れたら終わってしまう量だ。
オレは精霊王のお墨付きで魔力量が多いから、もしかしたらかなり大きい【収納袋】が作れるかもしれない。
材料はすでにここにあるし、試しの鍬は問題なかった。
それじゃあ、いざ!錬成だ!袋状にして、錬成陣に置いてっと。
オレは今持ってる全ての魔力を注ぎ込んでいく。
グッ!!
一気に魔力を袋に持っていかれる感覚を覚える。
かなり辛い。魔力欠乏症になると数日魔力が使えなくなるらしいから、ギリギリのラインで魔力を注ぐのを止める。
ハァ...ハァ...
パァン!
出来た!収納袋!容量の最大値は10メートル四方か。王様の祝福があって、魔力量が常人以上でもこの大きさが限界なのか。まだ魔力量は増えてるようだから、今度また折を見て作ってみよう。
でも魔力を注ぐだけでこんなに疲れるのか...今日はもう動く気になれない。
とりあえず今日はムギとソラと戯れよう
それから数か月後
領内で手に入る素材は粗方手に入って、さぁこれからいろいろ作ろうと思った矢先に、王都から召喚状が届いたみたいだ。
その召喚状の内容は、オレを連れて王城に来いということだった。
3歳の時にもその者を連れてくるように言われていたようなのだが、まだ3歳で王都までの旅程は厳しいということで先延ばしにさせてもらっていたようだ。
だが、先月の5歳に精錬術師として、精霊と契約ができたことを王城へ報告をしたのだという。
余計な混乱を招く恐れもあったため、さすがに精霊王の祝福については伏せたようだ。
その返信が王城に来いということだ。5歳であれば王都までこれるだろうということで。
さすがに2度目を断ることはできないので、とうさま、かあさまと一緒に王城へ行くことが決まった。
王都まで1週間の道のりだ。
出発は明日らしい。
まずい!非常にまずい!何がまずいって、あの馬車で1週間の旅路はオレの尻が持たない!
どうする?って、今から作ればいいんだ!揺れない馬車を、尻にやさしい馬車を。
馬車の完成イメージを練る。タイヤはゴム製にしたかったけど、ゴムの木なんてなかったし石油もないから合成ゴムは無理だ。となると、タイヤは木製にするしかないけど、木製だけだと振動がダイレクトに来る。それならサスペンションをどうにかする必要があるか...
えーっと、サスペンションに必要な素材というと...スプリングか。
確かスプリングの素材は...鋼だ!でも、肝心の鋼がないな。
たしか、鋼を作るには...鉄と炭素があればよかったんだっけ?
それで、炭素を作るにはその成分が入っていないといけなんだけど、その成分は...木材を燃やしてる作る炭から採れるはずだったな。
であれば、鋼は問題ない。あとはスプリングのイメージさえあれば作れる。
これでタイヤも作れるなら振動問題はオールクリアなのに...イメージがあっても素材がないと作れないのは辛いよなぁ。
ならあとは車内の座る場所の下にもスプリングを入れれば、衝撃は結構緩くなるかな。椅子の部分には布袋に砂を入れればクッションの代わりになるか。
ということは必要な材料は木材と鉄、革、砂、布か。今の手持ちで問題なさそうだ。イメージもできたし、馬車の形は今うちにあるものを参考にすればいいや。
ちょっと大きいからさすがに外で作るか。
錬成陣を大きく書いてっと。材料を中にいれて。
「ムギ!火をここに出してくれ」
コン!
ボッ!
「よし、錬成だ!」
バリバリバリ・・・パァァァン!
ドドン!
「馬車の出来上がり!」
あとは乗り心地は実際に試してみないとな。
ニーナにお願いして馬をこの車に繋げてもらってオレを乗せてそこらへんの道を通ってもらった。
予想以上にスプリングがうまくいったようで、振動はかなり抑えられてる。これならオレの尻のダメージも最小限に抑えられそうだ。
あとは装飾は前の馬車からこっちの馬車に取り付ければ問題なさそうだ。
今回大きな物を作ってみたけど、多少疲れはあるものの、まだ魔力は問題ないな。
さて、父と母にもこの馬車をみてもらうか。
オレは完成した馬車を連れて邸まで戻った。
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