1-7:精霊契約
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7話:精霊契約
《おっ!やっぱ見えてるらしいな》
《そのようね》
《まぁ、王様が祝福するぐらいじゃからな》
寝て起きたら、いろんなのに囲まれてるこの状況、誰か説明してほしい。
「えっと...」
喋ろうとしたその時、後ろから今までに感じたことのない威圧というのか魔力というのかわからないけど圧力を感じた。
ゾクッ!バッ!
《おっ!我の存在を感じたかな?》
《さすが王の祝福を受けた子ですね》
《おうさまだー!》
《ホントだ!おうさまだー》
《下級精霊たち、少し静かにしていなさい》
《《《はーい!》》》」
王?精霊の?この偉丈夫な人が?
「あの精霊王様でしょうか?」
《いかにも、我が精霊王だ》ババンッ
「精霊王様、初めまして。私はハーレンブルグ王国ハイデルブルグ領、アルリード男爵並びにエレン男爵夫人が子、アレンと申します」
《知っておるぞ、あとその堅苦しい言い方は好かんし、我ら精霊に人間の肩書など不要じゃ》
それもそうですね。人間社会と精霊社会は全く違う理というし。
「わかりました。なら普通に話させてもらいます。それで、この状況はなんなんでしょう?」
オレは辺りを見回す。妖精がすごい数いる。
それもマリンみたいな小っちゃい子から大人みたいな人まで、ずらりと。
なんか犬とか猫までいるし。
《それはお主の膨大な魔力に誘われてきておるのだ。それにお主は精霊との親和性も高いときてるからな。それにしても大きくなったな。我はお主が誕生したときに傍にいたのだぞ》
「えっ?いたのですか?」
《そうだ。厳密には2回だな。1回はそなたの母がお主を身籠った時。2回目は、お主が生まれたときだ》
なんと2回も精霊王がオレのところに来ていたようだ。
「でもなんで来てくれたんですか?」
《それは、さっきも言ったがお主の魔力量の多さと精霊との親和性が高いからだ》
ボソッ《それとな、ミネルバ様から、よろしくと伝えられていてな》
!?ミネルバ様?世界に直接関与できないんじゃなかったでしたっけ?
ボソッ《神託ってやつだよ。直接関与はしてない。あくまでもオレ個人へのな。それにオレもお前に頼みごとがあってな》
なるほど、神託であれば問題ないってことか。それでもギリギリな部分はありそうだけど。
《それで、ここに来たのは精霊と契約するためであっているな?》
「はい。なんでもこのままだとオレが死んでしまうと、うちの母と契約している下級精霊のマリンが言ってたので。精霊なら何か知っているのかもしれないとも」
《うん?どれどれ...あぁ、確かにこのままだとまずいな》
やはり何か問題があるのか。朧気だけど寝ている時も精霊たちが何か言っていたものな。
「あの、何がまずいのでしょうか?」
《あー、アレンの魔力量が桁外れでな。人間の器に入りきれていないんだよ。オレが祝福を与えていたから耐えきれてる状態だな。アレン、生まれてからこれまで、ずっと眠気に襲われていただろ?》
精霊王様から指摘されたが、確かに3歳から意識があるけど眠気は常にあった。
寝る子は育つというけど、そういうわけではなかったんだな。
その通りだとオレが返答すると、王様はやっぱりなという顔で教えてくれた。
《それはな、なんとか魔力を器に納めようと身体が無意識に頑張っていたから、常に眠気が襲っていたんだよ。だが、溢れる魔力に身体が遂に耐え切れなくなったんだ。だからその下級精霊は、アレンがこのままだと死ぬといったんだ》
そうだったのか。神様さすがにやりすぎたんじゃないか。
見返す前に死ぬところなんですけど。
ボソッ《思ってることが顔に出てるぞ。それはミネルバ様の所為ではない。いくらミネルバ様でも人の魔力量を生まれる前にどうにかすること如何に神とてできない。これは単なる偶然ってことだ》
確かに、神様がオレに与えたのは職業の【精錬術師】と精霊との親和性だけだったはずだし。
「ちなみに精霊との親和性が高いと魔力量も多くなるなんてことは?」
《関係なくはないが、そこまでのことはないぞ》
ですよね。そうなるとホントに偶然、魔力量が高い人間として生まれたのか。
「精霊王様のおかげで、今まで生きれたんですね。ありがとうございます!」
《うむうむ。感謝するがよい...(バシィィィッン!)ぞっ!痛ぇー!》
後ろに控えていた金髪のセミロングでキレイな女性の精霊が王様を思いっきりハリセンで叩いた。
めっちゃいい音がなったぞ。ってかこの世界にもハリセンってあるんだ。
すると、その女性が呆れたように話始めた。
《何言ってるんですか、あなたは。確かに精霊王の祝福で、アレンさんの命を繋ぎ止めていたのは事実かもしれませんが、もともと魔力量が高いアレンさんに精霊王の祝福を与えたことで、もっと魔力量が上がってしまって危険になってしまったのではないですか?》
《うっ?!その可能性はある》
女性の精霊が教えてくれた。【精霊王の祝福】を得た者は魔力量が増大する効果があるらしい。
要するに、オレが死にかけているのは精霊王の所為でもあり、おかげでもあるということだ。
で、オレはどうすれば死ななくなるのかを聞いてみたが、精霊と契約をすれば、その精霊がオレから溢れてる魔力を、うまく処理してくれるらしい。
《そこでアレンにはお願いがあってな!》
お願い?そういえばさっきオレに頼みごとがあるって言ってたな。
その頼みを聞いてみると、なんでも進化する精霊の数が少なくなっていて困ってるらしい。
困ると言っても、なにも絶滅するとかレベルの話ではないらしい。
下級精霊は幼児。中級精霊が子供。上級精霊が大人という枠組みであるらしく、幼児の数に対して子供や大人の数が少ないらしい。要するに幼児の世話をする精霊が足りてないようだ。
近年、精霊と契約をしている人間が少なくなってきていることから、精霊も進化しづらくなっているのだとか。
精霊が上位の存在へ進化するためには人間の魔力が必要らしい。
ただ、いくら精霊側も契約したいと言っても、親和性の問題で姿は見えない、声が聞こえないでは意思疎通もできないし、精霊の力を私利私欲のために使おうと考えている連中とは、そもそも契約したがらないのが現状らしい。
その中で今、動物精霊に王様は着目しているとのことだ。
動物精霊は元々は普通の動物だったのが、亡くなった後に進化して精霊になった存在のようだ。
その動物精霊なら、契約さえすれば親和性が無くても姿を見ることができるようになるんだと。声に関しては元は動物だから喋ることはできないけど、言ってることは理解するから問題ないとのことだ。
動物精霊なら、今まで親和性の問題で契約できなかった者たちも契約できるようになる。そのための試験運用に協力してほしいということだ。
今まで試さなかったのは、精霊術は非常に強力なため、おいそれと試せなかったということだ。
その点、神様からお墨付きをもらってるオレなら安心できるらしい。
オレは王様の提案に承諾した。
それとオレの魔力量だと1匹じゃ処理しきれないらしいから2匹持っていけと言われた。
オレはいろんな動物精霊を見てフィーリングが合う子を選ぶことにした。ここにいる精霊たちは、オレと契約してもいいと思ってくれているからいるらしい。
オレはその中から、狐と猫を選んだ。
前世で猫を飼いたいと思っていたのと、こういう場合、狐は定番かなって思ったのは内緒だ。それに2匹とも小さくて可愛いと思った。
契約はあっさりだった。
①自分の魔力を放出する
②精霊が、その魔力を食べる
③気に入れば契約
この3点だった。精霊曰く、魔力にも味が合って、その人間の本質が味に出るらしい。精霊も個体ごとに好みの味があるんだと。
契約を結んだら、今度は名前をつけろと言われた。なんでも、契約した精霊に名前を与え、それを精霊が気に入ることで、精霊との結びつきが深くなるらしい。
だから、母がマリンに名前を与えたらマリンを見聞きできるようになったのか。
名前かぁ、オレは狐と猫を見る。2匹も待ちわびて、じーっとオレを見てる。責任重大だ。
・・・きつね・・・小麦色・・・・
・・ねこ・・青色・・・水色・・・
「よし、お前は今日から『ムギ』だ。どうだ?」
コンッ!コンッ!
「で、お前は『ソラ』だ。どうだ?」
ニャア!ニャア!
おっ、いつもの眠気がなくなった気がする。それにさっきよりも鮮明にこの子たちの気持ちがわかる気がする。ってことは二匹とも名前を気に入ってくれたってことだな。あぁ、よかった!
《これで契約は終わりだ。っと、さっそくアレンの魔力をもらって力をつけてるみたいだな。
今の段階で中級精霊になってやがる。これなら思ってる以上に早く、上級までいくかもな。あと最後に2つ。【精霊術師】は戦闘職と言われているが、元来、精霊は争いごとを嫌う。もちろん自衛の為とかなら問題ないし、精霊が契約者の為ならということであれば全く問題ない。ただ、常に争いの渦中にいて、精霊を道具扱いした結果、嫌になった精霊は契約を切ることも多くあるからな。まぁ、アレンなら問題ないとは思うけど一応気をつけろよ。それと、お前から見て良さそうな精霊術師がいたら一緒に連れてこい。気に入るかは、その時の精霊次第だけどな》
オレは最後に王様とその場にいた精霊たちにお礼を言い、帰路についた。
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