1-6:精霊の森
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6話:精霊の森
あれからまた月日が流れ、5歳の誕生日を迎えた。
変わらず、魔力は安定していない。だから、まだ精錬術師として活動はしてない。
ただわかったこともある。
一つは国家について
この大陸にはハーレンブルグ王国とシルフィード帝国の2大国家が存在する。
その他に中立のサンリース神聖国というミネルバ様(この世界ではミネバ様)を祀っていると言われている宗教国家が存在している。
もちろんその他にも国家は存在するが、そのほとんどが、王国もしくは帝国の属国になっている。
二つ目は、このハイデルブルグ領は貧乏男爵領だということだ。
この土地は、そもそも初代の精霊術師が王家より貰い受けた土地ではあるが、王都からここまでは馬車でも1週間は掛かる僻地にある。
ちなみに暦は前世と同じ1年は365日、1日24時間、7日で1週間だった。
またこの僻地は自然豊かではあるものの、それ以外に特出するものがない土地だ。
もちろん領民が食べていける分の開墾は出来ているから餓死などはしないが。
またこの地には《精霊の森》と呼ばれている地があることから、【精霊術師】がこの地へと移り住むこともある。
最後に、この国の文字の読み書きは完璧だ。
この2年で邸にある本は全て読み切った。前世でもこんなには読まなかったんじゃなかろうか。
何せ、やれることが本を読むことだけだったからな。無駄に知識だけは増えた。まぁ知識は無駄にはならないからいいけどね。
ただ本をたくさん読んでいたからなのか両親からも、オレがちょっと子供らしからぬ発言をしたところで、気にしないようになっていた。
これで、いざ【精錬術師】として動く際も、とやかく言われない可能性が大だ。これは思わぬ副産物だった。
さて話は戻るが、オレはいつになったら魔力が安定するんだ?早くこの不便生活から脱却したいんだけど。
あと、オレの睡魔はいつも通り襲ってくる。寝たばっかなのに、また眠くなってきた。
そんなことを思っていた時だった...
《アレン!アレン!》
母の契約精霊のマリンが突然オレに向かって飛んできた。
「どうした?マリン?」
《アレン!しんじゃう!》
「誰が?!」
《アレン!アレン!しんじゃう》
「オレが?!なんで?」
カツカツカツ...
ドタドタドタ...
なんか部屋の外が騒がしいな。なんか近づいてきてる気が。
ガチャッ!
「「アレン!」」
父と母が突然部屋に入ってきた。なんだ、いきなりどうした?
「無事か?」
「身体は何ともない?」
身体?特に何もない、いつもと変わらない。
「えっと、とうさま、かあさま、どうしたのですか?」
状況がよくわからない。
「マリンが急にアレンが死んでしまうと騒ぎだしたのよ。それで急いでこっちにきたの」
「そういえば、マリンもオレ、僕が死んでしまうと言ってましたね」
まだマリンは部屋中を飛び回ってる。母がマリンに対して落ち着くように宥めてる。
「マリン、落ち着いて。ゆっくりでいいから私たちにわかるよう教えてくれる?」
マリンは片言というか短い言葉しか話せない。でもその言葉同士をつなぎ合わせれば理解できる。
《アレン!しんじゃう!まりょく!おおい!》
ふむ、オレの魔力が多くて死ぬってことか?
「かあさま、魔力が多いと死んでしまうのですか?」
「いえ、そんな話は聞いたことがないわ」
だよな。本にも魔力が多いと扱える術が多くなるとか使用できる回数が増えるとか書いてあったぐらいだし。
「マリンが嘘をついているとは信じられないし、精霊だから何か知っているのかもしれないわね。それにアレンの魔力が未だに安定していないのは確かに気がかりではあったのよね」
「そうだな。本来であれば3歳の洗礼の儀で魔力は安定するはずが、アレンは今も安定していないからな」
えっ?そうだったの?!教えといてよ!
「マリン、どうすればアレンは死なずに済みますか?」
《せいれい!せいれい!》
精霊がいれば大丈夫ってことか?その言葉を聞いた母が父に話しかける。
「魔力が安定していないから少し心配ですが、精霊と契約させてみましょう。アレンなら精霊と契約できると思いますし」
「エレンが言うならオレは反対しない。精霊もそういっているのだろう?」
「ええ」
ということで、急遽、オレは代々伝わっている精霊と契約を結ぶべく、精霊が集うと言われている、《精霊の森》を目指すことになった。
母は着いてこないらしい。なんでも先祖代々、契約の儀は一人で行わないといけないらしい。
精霊術師であれば精霊が自分を、その場所まで導いていくれるということらしい。
逆にそうでない者が、その森に入っても迷うだけだとか。
とりあえず向かうことにした。
一人なら確実に迷子になるだろう場所だったけど、奥に歩いている最中、途中から精霊の気配がたくさんあったり、マリンのような精霊もたくさんいて、その子たちが道案内してくれた。
母も昔、契約するときにこの場所へ来る途中、精霊の気配を辿っていったと言っていた。
だからオレは精霊が導くままに歩いていく。1時間ぐらい歩いただろうか?不思議と疲れはしなかった。
ようやく開けた場所についた。そこはキレイな景色だった。
木に囲まれているけど中央に湖があり、太陽の光が木漏れ日となって湖を照らしている。
初代の【精霊術師】がこの土地を貰った理由がわかる気がする。
さて、どこで祈ればいいんだろう。母からは自然とわかるって言ってたけど。
まぁとにかく今は、少し寝ようかな。何せここは良い陽気だ。しかも地面は草で柔らかいし、昼寝スポットにはいいだろう。それに眠いし...zzz
《にんげん!ねてる!》
《まりょく!たかい!》
《ねてる!ぼくも!》
《ねてる!わたしも!》
《なんだ?下級精霊たちが随分と今日は騒いでいるな。人間が契約をしに来たのか?》
《それにしても騒ぎすぎでしょ。ここに来れたということは契約できる可能性は高いんだろうけど、どうせ下級精霊だろ?あいつらなら姿や声が聞こえなくても契約はできるからな。オレらには関係な...》
《《《って、凄い魔力高くないか?!》》》
《どうした?下級精霊ならともかく中級精霊のお前たちも騒ぐなんて》
《なになに?何か面白いのでも見つけたのかしら?》
《《って、なにこの魔力の高さ?!》》
いろんな精霊がアレンが寝ている場所に集まってくる。そうとは知らず、アレンは寝息を立てながら寝入っている。その中の一人?の精霊が何かに気づいたようだ。
《あら?この魔力の感じどこかで?......あらっ、5年ぐらい前に、生まれた赤ん坊の魔力じゃないかしら?》
《5年前って、あの精霊大量進化事件があった日か!》
《確かあの日は、たくさんの精霊が下級精霊に進化したのじゃったな》
《あの子は確か、この地を治めてる人間の子孫だったはずよ》
《じゃあ、この子が、王様の祝福を受けた子ということかしら?》
《というかこいつ、魔力が高すぎて危なくないか?》
《《《確かに》》》
《とりあえず、王様に伝えてくるわ》
《《《よろしく!》》》
う・・・ん・・・何か声が聞こえる・・・夢か・・・瞼が重くて目が開かないや。
《にしても、良く寝てるなぁ、こいつ》
《魔力が不安定だからじゃろう》
《めちゃくちゃ漏れ出てるもんな、見ろよ、下級精霊たちがめっちゃ群がってるぜ》
《傍から見たらホラーじゃな》
《それにしても、よくこの地にきて寝るよな。ここに来る人間は精霊と契約したくて無我夢中で祈るだろ》
《ああ、そのほとんどが欲にまみれた汚い感じゃがな》
《昔はまだそういった人間は少なかったんだけどな》
《最近は汚れた魔力を持つやつしか来ないからのぉ。誰も契約したがらない》
《たまに下級精霊が契約するけど、大抵はすぐ帰ってくるもんな》
誰かが喋ってるのか・・・
《最近だと、帰ってきてないのは【水】の下級精霊じゃな》
《あぁ、あの子か。確かこの子の一族に付いていったんじゃなかったか?》
《覚えてるぜ!確かそいつはここ最近じゃ、一番素質があったやつじゃないか?》
《そうよ。でも下級精霊の姿も見えず、声も聞こえずだったのよね。あの子なら名前を付けてあげれば見聞きできると思うんだけど》
《そいつならオレ、この前見たぜ。【水】の下級精霊と楽しそうに話してたぜ》
《...ということは名づけができたのね》
うちの母とマリンのことかな...おっ!眼が開きそうだ。
「う...ん」
《おっ!起きるぞ!》
《《ホントだ!》》
パチッ!
「なにこの状況?」
起きたら、たくさんのマリンみたいな精霊?がオレに群がっていた。
それだけじゃない、その精霊?のなかに、大人の人や、動物もたくさんいるし。
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