1-5:職業について
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1-5:職業について
お尻にダメージを受けたオレは帰宅して、そのままベッドに入った。
邸から教会までは、そんなに離れてはいないが、それでも十分なダメージだ。
王都に行くには、これが数日単位で必要というのだから困ったものだ。
王国へ【職業】のことで報告に行くと言っていたが、オレは行かなくていいそうだ。
まだ3歳のオレに王都への旅路は辛いだろうと父が言ってくれたからだ。
父よ、助かります。もし行くようであれば、オレのお尻は2つ以上に割れるとこでした。
そして【精錬術師】としての活動は、当分しないということだ。
なんでも、どんな【職業】でも魔力は必要だってことで、まずは魔力を感じることが肝心らしい。
でなければ、精霊との契約もできないし、錬金術に関しても錬成もおぼつかないらしい。
確かに教会でもらったカードにも魔力を使うって書いてあったな。
なので、まずは【精霊術】と【錬金術】の座学と魔力の流れを感じることからスタートらしい。
ただ、これを教えられるのは我が家では父と母のみというのと、その二人は領の仕事もあるということから、仕事の合間を縫って教えるらしい。
それに、オレはまだ3歳ということもあり、長くは活動できないだろうということで数年単位でゆっくり教えていくらしい。
正直助かる。異世界にきても勉強だらけは勘弁してほしかったし、まだ体力がないからだろう・・・正直、今もかなり眠い。なので今日のところは寝ることにした。
それから数週間は、朝起きたらご飯を食べて、本で文字の読み書きを覚え、魔力の流れとやらを瞑想しながら感じることに集中し、気づいたら寝ていてを繰り返していた。
父の仕事の手伝いは執事のジョルズが、母の仕事の手伝いはメイド長のジーナが、オレの世話をメイドのニーナが見ているようだ。
ニーナの【職業】はジーナと一緒で【家政婦】らしい。オレは素直に思ったことをニーナに聞いてみた。
「ニーナ、【職業】で自分の将来の仕事が決まるのは嫌ではない?」
「いえ、自分がやれること、得意としてることが分かっていて、それを仕事としてやれることは幸せだなって思います。それに私、人の役に立てることをするのが好きなんです。世の中には【職業】があっても仕事が満足にできない人もいますし」
ニーナの人の役に立てることが好きっていうのが、【家政婦】という【職業】になったってことなのかな。
「満足に仕事ができないってどういうこと?」
「え?えっとそれは...」
ニーナが言い渋っている。あぁ、きっと欠陥職・不遇職と言われているやつのことだな。
世間一般的にどう言われているのかを聞くにはちょうどいい。
「ニーナ、このことは誰にも言わないから教えて」
「え?でも...」
「お願い!」くらえ幼児必殺上目遣い!
「ウッ!...わかりました。これはあくまでも世間のイメージです。もちろん例外があったりしますから一様には言えませんけど」
「わかった」
ニーナから聞いたことを纏めると。
欠陥職=【精霊術師】
精霊術を十全に扱うためには精霊と契約する必要があるが、精霊術師であっても精霊との契約は容易ではなく全国でも数えるほどしか精霊との契約は成功していないとされている。そのため、多くの精霊術師は精霊と契約できていない。そのため不完全な精霊術となり、力は半減する。精霊術師は戦闘職に入るが、その実力は戦闘職最弱と言われている。
不遇職=【錬金術師】
形・大きさ・材質・工程を全てイメージし、それにあった素材である材料を用意することで、違う物質を作ることができるとあって、最初は便利職と言われていた。しかし作り出す物の大きさによって、発動に必要な魔力量も多くなる。さらに一つの錬成で作れる物質は一つだけということで、大量生産することが出来ず、すぐに魔力が枯渇してしまう。生産職の中で唯一、魔力量が無ければ生産が覚束ない職業のため不遇職と言われている。
既に世に出ている物を錬金術で作るのはできるが、新しい物を錬金術で作り出すことは難しい。何故なら知識がないからイメージができないのだ。錬金術は何よりもイメージが大切なのだ。
このイメージに関しては、現代文明の知識を持っているオレなら問題なさそうだ。
すぐさまいろんなモノを作ったり行動したりしたいが、さすがに3歳児がモノを作ったり、街を歩いたりなどはできないからな。
なんでこんなことを知っている?なんて言われたら言い訳が難しいしな。
子供だから何となく、でイケる気がしないでもないけど、今は変に注目されるより、情報収集に努めるべきだろう。この世界のことをもっと知らなくてはいけないからな。
とりあえず今は寝よう。実はさっきから眠いのだ。おやすみ。
そして月日は流れ、今日は両親ともに時間が出来たということで、それぞれの職業について説明を受けた。
まず【精霊術師】は精霊術を使うだけなら、難しいことはない。精霊はいろんなところに存在しているため、その精霊にお願いして力を貸してもらうのだ。しかしその力は不安定で弱い。
安定して術を行使するためには、ある程度の格を持つ精霊と契約を結ぶ必要がある。
精霊にも格というものがあり、下級・中級・上級と分けることができる。
しかし、長い歴史の中で上級精霊と契約できたと言われているのは、初代国王に付き従っていたと言われていた初代ハイデルブルグ男爵だけで、それ以降はどの国も上級精霊と契約できた者はいない。
精霊と契約を結ぶには魔力を使って祈る。そこで精霊が力を貸してもいいという人間とだけ契約を結ぶらしい。
精霊と契約を結べた【精霊術師】は国が抱えることが多くあるらしい。精霊術の力は強力で、軍としても非常に心強いらしい。
ただ、契約を結んだ後でも、精霊との契約が切れたという事例もあるらしい。原因は不明だ。
母は【精霊術師】として精霊と契約をするために、ハイデルブルグ家が管理している《精霊の森》と呼ばれている場所に行ったようだ。なんでも代々、そこで契約を試みているとのことだ。
そこで、《マリン》と契約したようだ。
オレはまだ契約しないのか聞いてみたけど、まだ魔力が安定していないということで当分お預けらしい。
母からみても、オレの魔力は高いらしいが、それに伴って安定していないらしい。ただ【職業】関係なく魔力が高い人は総じて安定していないらしいので、まずは魔力が安定するのを待つみたいだ。
次は【錬金術師】だ。
錬金術で出来ないことの代表は生物に関してだ。
生きた物を錬成することはできないということだ。
合成獣とかなくてよかった。生物はありのままが一番いい。まぁそういうことができないようミネルバ様はしたんだろうけど。
錬金術は物に対する知識、作るための工程、完成イメージ、そして素材となる材料が必須だ。
そのため、レシピと言われるものが存在する。
レシピとは調理法や設計図といわれている類のものだ。
例えば、ガラスを作るとしよう。
ガラスは珪砂と炭酸ナトリウムと石灰石を約1,500℃の高温で溶かして作ることができる。
この場合、必要になるのは珪砂と炭酸ナトリウムと石灰石の3つの素材だ。
これに火を用意して工程から完成までをイメージすることで作ることが出来る。
これがレシピだ。このレシピがあれば、錬金術師が該当の物を作ることできる。
もちろん、レシピが分かっても、魔力量が足りなければ作ることはできないが。
物を開発するには研究する時間と素材を揃えるための金がどうしても必要になる。
錬金術はレシピがあって初めて価値を見出すと言われている。
だが、レシピはタダではない。錬金術師はレシピを売ることで生計を立てているといっても過言ではない。一部の者たちからは金の亡者とも言われることもあるらしい。
ちなみにレシピの金額は開発した人間もしくは、その権利を買った商会などが決めることができる。
基本的にそのレシピは高額になるそうだ。
そのレシピを開発したときの費用が高くなれば、その傾向は強くなる。
元を取るためには高額にせざるを得ないという面もあるからだろう。
ちなみに【精霊術師】と【錬金術師】が【神職】であることは知らないらしい。
まぁ、知ってたら欠陥職・不遇職とは言われてないか。
そして例のごとく魔力が安定しないと何もできないらしいので安定するまではお預けとのことだ。いつになったら安定するのか。
とりあえず引き続き情報収集と一般常識の勉強だ。
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