2-7:文明発展のアンバランス
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30話:文明発展のアンバランス
途中休憩を挟みながら2時間後、やっとこさハウゼン領へと着いた。
さて、この領について、今の目的とこれからの開発について説明していく。そのあと軽く自己紹介をしていき、それぞれの役目に沿って動いてもらう。
小隊長レクサス、副隊長のミリアリア、ロイド、エイス、ラック。ミリアリア以外は全員【戦士】系の職業だ。細かく言うとレクサスが剣士、ロイドが槍士、エイスが弓士、ラックが盾士だ
5人共20代前半で、前衛・中衛・後衛の編成バランスがいいな。さすがは軍の小隊といったところか。元軍人たちには領地内の警備と開拓・護衛などをが仕事だ。
とりあえず、代表はレクサスだが、村の生き残りの中で最年長のナナという女性を副代表として動いてもらうことにした。最年長と言っても18歳だが。そこはまぁ慣れてもらうしかない。
来年成人になる男たちがシュウとショウの兄弟で、この二人は【建築士】だ。
村にいた時は既に親元で仕事の手伝いをしていて、小型であれば家も作れるということだ。ならこの兄弟には最初にビニールハウスの建設をやってもらう。その後、家と工房などの建築だ。
とりあえず、子供たち含めほとんど村人の職業は【農業士】ということなので、彼女らには果樹園と薬草の栽培をお願いすることにした。
ちなみに他の子どもはオレと同い年ぐらいで、男子3人と女子3人だ。女子の1人は、職業が【飼育士】ということなのでスライムの世話をそのまま頼んでおく。
その中で、【商人】が1人だけいる。盗賊に親を殺されてしまった女子だ。
この子にはエボルヴ商会ハウゼン領の商会員として働いてもらう。ちなみに名前はフレイと言い、レオと同い年だ。
ガラガラ...
「「アレン様!」」
一通り役目を振ったところで、レオとサラ達が到着したようだ。とりあえず、服と食事を配り今日はゆっくりして、明日から作業を開始してもらうことにしよう。
「急にすまない。この人たちに食糧と服を渡してあげてくれ」
「「はい!!」」
彼らが着替えと食事をしている間にオレは大浴場と簡易型ロッジを作ることにする。家が建つまでの仮住まいは用意しておかないとな。
以前に作った寝泊まり用の家は1軒で2人が寝れるスペースで5軒しかない。ここの人数は18人。子供は三人で1軒で大丈夫そうだからあと3軒は必要だ。家ができたら、このロッジは倉庫にすればいいから無駄にはならないし。
ということで早速、作業開始だ。
すると、その様子を見ていた【建築士】のシュウとショウが職業の血が疼いたのか、手伝うといってきたので、固定作業をやってもらうことにした。そのおかげで思った以上に早く3軒が完成した。
その次は大浴場だ。オレがいなくてもミリアリアがいれば風呂は沸かせるからな。さすがに屋内は無理だから露店風呂になるけど。
今度はその場で壊すようなことはしないので、きちんとした風呂にする。
材料は石灰石と粘土、珪石、酸化鉄、石膏だ。これに火と水を加え、乾燥し細かく粉砕し、粉状にし、錬成すればセメントの出来上がり!
そしてセメントに砂と水を混ぜればモルタルの完成だ。
いやぁ、思い出すのに時間がかかったぜ。最初は石油がないと作れないと思ったけど、それはアスファルトだったよ。セメントは鉱山で採れる材料で作れたよ。
まずは石材ブロックで風呂の形を整えるように積んでいく。
もうこの時には、着替えと食事を済ませた他の村人たちも手伝うと言ってきたので、積むようお願いし、隙間が出ないようモルタルを塗っていく指示を出した。
塗り終わったらアスカの精霊術で乾燥を早める。ほぼ完成しているだろうけど念のため、今日はこのままにして明日から使っていいということにしたら、女性陣から歓声が沸いた。
水は中央の水池を利用するようにし、風呂後の水はスライムに吸収させて、ある程度汚れが落ちたら畑以外の土の水やりに使うことにする。
スライムが汚れなどの不純物を吸収するなら単なる水が超純水になるのか?と思ったけど、何を基準としているのかはわからないが、そういうわけではないらしい。
水自体も吸収してしまうからリサイクルして風呂に溜めとくというのはできないようだ。物事そんなうまくはいかないよね。それに一匹じゃ吸収スピードはかなり遅い。
風呂以外にもゴミは出るから、スライムは見つけたら即捕獲だな。
というかスライムって分裂とかしないのかな?レクサスたちに聞いてみたけど希少種すぎてわからないと言われてしまった。
とりあえず【飼育士】の子にはスライムのことで何かあったらきちんと報告するように伝えておく。
明日から作業開始と言いつつ、みんながオレの作業を手伝ってくれてしまった。まぁ本人たちが良ければいいんだけど。
とりあえず、みんなには休憩させよう。
オレはついでなので、明日からの作業に必要な物を準備しておく。鍬などの農具、ビニールハウスというかプラスチックハウスの材料を作っておいておく。
カーボン製盾を作ったさいのプラスチックを薄く延ばすして板状にしていく。それと鉄製のパイプ。最後に風で飛ばされないように地面と固定するためのロープを。
屋根の形は丸くしづらいから三角で設計図を書いておく。設計図さえあれば【建築士】が作れるだろう。あと事前に書いておいた、家の設計図と工房の設計図も渡しておく。
プラスチックハウスが完成したら、家の建設をお願いする。いくらまだ春だからといって、ゆっくりしていたら冬が来てしまう。それまでには家の完成をさせないといけないからな。
家にはガラスも鏡も設置したいし、暖炉も用意しないとな。まぁここらへんはすでに世の中に存在するから用意するのは問題ない。それに材料さえあれば錬金術で作れちゃうから安上がりなんだよな。
レクサスたちがいた帝国の文化とか文明についても聞いてみたけど、王国とあまり大差ない感じだ。優秀な人材は帝都や貴族のお膝元に集まっていき、帝都と有力貴族直下の街は栄えていく。
逆に帝都から離れれば離れるほど、文明格差や人材不足が起こり、発展が遅れているらしい。
事件のあった村の税に関しても、帝都から近い場所の村であれば高いけど払えるレベルだったのだ。辺境だったからこそ起こってしまった事件ということでもあるらしい。
それを聞いて、少し納得する部分があった。この世界の文明の進みが、よくわからない部分があったんだ。鏡やガラスはあるのに、それを見るのは貴族の邸や王城だったりなのだ。
一般の家などは主に窓といえば木材の開閉式の窓だ。もちろん見ないわけではないが、辺境の街や村で見ることは稀だ。貴族は見栄の生き物だ。見栄えするような者には金を投じて研究するのかもしれないな。
単にお金が高いというのもあるのかもしれないけど。
農業に関しても、帝都や王都の近くは有力貴族のお膝元だ。人数がいるからマンパワーでなんとかなってしまい工夫しようなど考えないしする必要がないと考えてるのだろう。
逆に田舎はマンパワーが不足してる。不足しているがゆえに何かを試すという工夫をする余力がないのだろう。試して失敗したら大惨事だからだ、
どちらも考えるのを放棄し、今あるやり方を貫く。不遇職と言われていた錬金術師と一緒だ。失敗を恐れてチャレンジしない。だから発展しないということなのだろう。
でもこれは我が王国にも当てはまることだ。本来であれば、王国が知りえた情報は、王国を中心に広げていくのが当たり前だ。しかしそれが滞っているのだ。一方向からの情報伝達はどこかで止まってしまうことが多くある。
こういう時は王都と辺境の2方向から情報を広げることで、情報伝達は倍以上の速さで広がっていく。どちらか一方が止まってしまっても問題ないのだ。
だからこそ、オレが開発したレシピや情報は、国内に速く広まっているのだ。
そんなことを話しているとき、ミリアリアから相談を受けた。もちろん精霊の事だ。ミリアリアは精霊と契約は出来ているが親和性は高くなく精霊の姿までは見えていないようだ。
なので、精霊に名前をつけるといいということを教えた。もちろん精霊が名前を気に入らなければダメということも。オレはミリアリアの契約精霊が見えていたから、その風貌を教えることにした。
「赤髪のショートカットでヤンチャそうな顔をしている男の子ですね......それなら...レド!でどうかな」
パァァァァンッ!!
《おっしゃぁ!オレの名前はレドだ!どうだミリアリア!オレが見えてるか?聞えてるか?》
「わっ!?ビックリした!この子がレドなんですね。何か言ってるようだけど聞えないですね」
どうやら親和性が低いから見えはするけど聞こえないようだな。でも姿が見えるから顔の表現や仕草で喜怒哀楽とかはわかるようになったから、これはこれで前進だ。レドはちょっと残念そうだけど、姿が見えたことでOKとしたようだ。
とりあえずミリアリアには精霊術を生活に役立てる為に使うよう言っておく。それとレドの性格上、多少の荒事は問題なさぞうだ。
ミリアリアには風呂担当として他の人と協力しながら水池から風呂まで水路を作ること。それと風呂を沸かすときは精霊に協力してもらうことを伝えておく。
いずれは精霊の力を借りないで沸かせるようにしようとは思うが、これが今のオレたちには一番手っ取り早いので当分はこれでいく。
さてと、休憩は終わりだ。レオとサラには商会のことをここにいる人たちに教えといてもらうことにして、オレは二人を連れて邸へと帰るとする。
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