1-3:やってきました異世界
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3話:やってきました異世界
「ぅ...ん...」
あれん!あれん!おきてー!あさだよー!
「ぅ...ん...あと5分」
だめー!おきるのー!
「...わかった、起きるよ。...あぁーよく寝た」
オレはベッドから身体を起こした。
あれん!おきたー!えれんにいってくるー!
あれ、ここ何処だ?...辺りを見るが、オレの部屋じゃない?...あぁ、そっかオレは転生したんだった。
転生ってことは...
オレは自分の身体を見る。手、足、うん、小っちゃい。
「ア、アー」...オレの声じゃない
ベッドの上から横を見ると鏡があったので、それを見ると...自分らしき子供の姿を映った。
これがオレ?緑の髪に緑の瞳、まぁ緑というよりエメラルドグリーンかな。元のオレの姿とは全く似ていない。
本当に転生したんだ。
ミネルバ様が最後の最後に転生って言ってたもんな。
オレはてっきり転移系かと思ってたよ・・・
で、ここは何処だ?所々に置いてある家具が豪華そうな物だったり、逆にそうでもなさそうな物だったりで、よくわからない。
そういえば、さっき子供のような声で誰かが起こしてくれた気がしたけど。誰もいない。
とりあえず、ベッドから出るか。
オレがベッドから出ようとした時、ノックの音がして扉が開いた。
コンコン...ガチャ
「アレン?起きたの?熱は?身体は大丈夫なの?」
綺麗な女性が入ってきて、オレの顔を見たと思ったら、駆け寄ってきてオレのオデコに自分のオデコを当ててきた。
オレは一瞬驚いたが、オレは熱を出して寝込んでいたようだ。そしてこの女性は恐らく母なのだろう。
「アレン?」
おっと、オレの名前は【アレン】というのか・・・
「だ、大丈夫です、かあさま」
咄嗟に出た言葉が、かあさまだった。なるほど、アレンは母のことを、かあさまと呼んでいたようだ。それなら父は、とうさまか。
「そうね、熱も下がったようだし...精霊も元気に飛び回ってるから平気そうね」
ん?精霊?辺りを見ると何やら小さい子がオレの周りを飛んでいた。
そしてその小さい子がオレの前に来て。
《あれん!げんきー!えれん!うれしー!》
と言っている。よく見ると羽が生えた手のひらサイズの小人?が元気いっぱいに喋っていた。
「えっと、かあさま…この小人みたいなのが精霊なんですか?」
オレが母親に、この精霊のことを聞くと驚いた顔をした。
「アレン?見えるのですか?」
「えっと、はい」
《あれん!みえてるー?》コテンッ
精霊が首を傾げてる...可愛いな。オレは精霊に話しかけてみた
「見えてるよ!さっき起こしてくれたよね。ありがとう」
オレは精霊の頭を軽く指で撫でる。すると・・・
《あれん!みえてるー!あれん!おはなしできるー!あれん!さわれるー!》
精霊はそういって、部屋中を飛び回る。
「アレン、本当に見えているのですね。それも精霊と話もできるなんて。それに今、精霊に触ったのですか?」
母がまた驚いた顔で質問してきた。
「えっと、はい。すぐそこにいて、朝もこの精霊の声で起きたので、お礼もかねて。子供のようなので頭を撫でました。もしかして触っちゃいけなかったですか?」
精霊には触ってはいけないルールだったか?オレは少しビクッとしたが、母は驚きを通り越したのか、今度は逆に笑顔で話しかけてきた。
「いえ、今までの長い歴史の中で精霊に触れたなんて話は聞かなかったから驚いただけよ。ちょっと待っててね」
母はそう言って、扉をあけ、部屋の外にいたのであろうメイド服を着た人に話かけた。
「ニーナ、アルを呼んできてもらえる?」
「はい、かしこまりました」パタパタ
あのメイド服を着た女性はニーナと言う名前か。
メイドがいて、大きめの部屋。ここはお金持ちの家か?
そんなことを考えていると、母がオレの前に戻ってきた。
すると飛んでいた精霊が母の近くに寄った。
なんか精霊が母に言ってる・・・でも母には聞こえていないようだ・・・
でも母も精霊が近くに寄ったことがわかるようなので姿は見えているようだ。
それを察したのか、母がオレに質問をしてきた。
「アレン、精霊と話はできますか?もし出来るなら今、精霊はなんと言っているかわかりますか?」
「えっと、精霊さん。ここに来てくれる?」
オレがそう精霊に向かって言うと、精霊はすぐにオレの前に降りてきて喋りだした。
《あれん!なーに?》
「えっと、かあさまに何か言ってたと思うんだけど、何を言ってたの?」
《おみずー!ほしー!ここ!ないー!》
「アレン?精霊はなんと言っていますか?」
「えっと、お水が欲しいって言ってます。ここにはお水がないからと」
「そうなのですね。ちょっと待ってて」
母はそういうと、今度は部屋を出て言った。
すると今度は父親のような男性が部屋に入ってきた。
「アレン、もう身体は大丈夫なのか?」
「はい、とうさま。もう大丈夫です」
「そうか、よかった。それでエレン、母様は何処にいった?」
母親の名前はエレンというのか。
「かあさまは、お水をとりにいきました」
「そうか。アレン、お前も今日で3歳だ。身体が大丈夫なようなら、あとで洗礼を受けるため教会に行くぞ」
「教会…ですか?」
「そうだ。3歳になる子供は全員教会へ行き、神官より洗礼を受けるんだ。そこで自らの適性に合った【職業】を得ることができる」
「【職業】ですか?」
「そうだ、【職業】を得たら、今後はその職業に合う勉強をする予定だ。もちろんそれ以外にも貴族としての勉強もする予定だ」
貴族?!いま、この人、貴族って言ったか?
もしやここは貴族の家?そしてオレは、その息子?
「えっと、貴族って?」
「そういえば、まだ言っていなかったな。アレンも3歳だ。少しは理解できる歳だろうから言っておこう」
父からの説明をまとめると。
ここはハーレンブルグ王が治める王権国家、ハーレンブルグ王国である。
王国建国期に活躍した【精霊術師】が、その功績を持って男爵の位を賜ったのが、この家であるハイデルブルグ家だ。
そのハイデルブルグ家の現当主が母で、対外的には父が男爵として王家に仕えているらしい。
そしてそのハイデルブルグ家の一人息子がオレこと『アレン』である。
で、ここはハイデルブルグ家の邸で、この部屋はオレの部屋ってことか。
これ以上は覚えきれないだろうということで、話は終わった。すると…ガチャ
「あら?アル来ていたのですね」
「来ていたって、呼んだのはエレンのほうだろ」
父が少し呆れたように笑いながら答えていた。
「フフッ、そうでしたね。アレン、水を持ってきましたよ」
母が、水が入った桶を持ってきた。すると、さっきまで大人しくしていた精霊が水に入っていった。うん、気持ちよさそうだ。見ていて和む。
「アレン、精霊はどうですか?」
「水の中でプカプカ浮いてて、見ていて和みます//」
母はそれを聞いて笑顔になっている。
「フフッ、そうですか」
「エレン、どういうことだ?その水は飲むためではなかったのか?それにアレンは何を見てる?」
父が少し今の状況に困惑をしているようだ。すると母が父に話しかける。
「アル、アレンは精霊の姿が見え、話ができ、触れるようなんです」
「なんだって?!それは本当かアレン!」
すると父がかなり驚いた様子でオレに問いかけてきた。顔が近いぞ父よ。
「は、はい。そうです」
「やはり、アレンは【精霊術師】の適性が高い?」
「その可能性は大いにあるでしょうね。私は精霊と契約をしていますが、気配が分かるだけですから」
やはりってどういうことだろう?【精霊術師】の家系だからってことかな。
それと母は精霊の姿は見えていなかったようだ。
気配で精霊の位置を把握していたということか。
オレが水で寛いでいる精霊を見ていると母が。
「アレン、この精霊は私と契約している【水】の精霊なのです。私は気配で何となく簡単な喜怒哀楽がわかる程度で姿や声はわからないですが、あなたにはハッキリと見えたり聞こえたりしているのですよね。精霊はどんな姿をしているの?」
「はい。えっと、大きさは手のひらにちょこんと乗るぐらいの青髪ショートカットで眼がまん丸としている可愛らしい活発な女の子で背中に羽があります。まぁ今は、水の中で寛いでますけど」
「フフッ、私が契約している精霊はそんな姿なのね。少しイメージができたわ。そうだ、この子の名前は何て言うのか聞いてくれる?その方がより仲良くできるかもしれないし」
「わかりました。精霊さん、名前は何て言うんですか?」
《う~ん?なまえ!な~い!えれん!つけて!なまえ!》
「かあさま、名前は無いそうです。それで、かあさまに名前を付けてほしいって言ってます」
「名前がない?そうだったのね。そうね、アレンのおかげで契約精霊の姿もイメージできたから『マリン』でどうかしら?」
《ま...り...ん...マリン!マリンはマリン!エレン!ありがとー!》パァーッ!
なんだ?!一瞬だったけどマリンが光った?!
「あなたが…マリン?」
母がマリンの方を見て驚いてる。どうして驚いてるんだ?あなたが?もしかして母はマリンが見えてる?
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