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2-5:事情

ブックマーク登録&評価してくれたユーザー様ありがとうございます。

本当にありがとうございます!


非常に励みになります。


もちろん登録はしていないけど、読んでるよって方もありがとうございます!

今話もぜひお読みください。

28話:事情



物音が聞こえて、奥から数人の男たちが出てきた。その手には剣や槍、弓を携えて。



「子供?」



そのうちの一人がオレを見て、何で子供がこんな場所に?という顔をしている。



まぁ普通はそうだよな。そういう反応するよね。森のこんな場所に子供が一人でいるなんて普通ない。




「坊主!どうした?迷子か?それとも口減らしで捨てられたか?」



「いや、良く見てみろ!この子供の服、普通の村の子供が着るような服じゃない。貴族もしくは商会の子供が着るような服だ!」



やっぱりどこぞの貴族に仕えていた連中なのかな。オレの来ている服は貴族然とした服ではないが、貴族が着てもおかしくないぐらいの服装だからな。



オレを取り囲むように3人の男たちが様子をうかがっている状態だ。さて、どうしたものか。




「どうした?何があった!?」



すると奥から女性を一人引き連れた男がやってきた。どうやら隊長さんのお出ましのようだ。うちのフォードと体格が似ていて傷跡だらけな偉丈夫だ。



「たい......お頭!子供が一人でここにいるんですが」



隊長と呼ばれた男がこちらを見る。一瞬怪訝な顔をしたが、少しするとオレに話しかけてきた。



「恐れ入る。そこの子供、もしかしたらハイデルブルグの神童、アレン殿ではなかろうか?」





なんでオレの名前が出た?今度は逆にオレが怪訝な顔をすることになった。



ザワザワ...



周りの男たちもざわつく



それを見た隊長と呼ばれている男が、やはりそうかという顔をした。なぜオレがアレンだと気づいたのか理由を聞きたい。



「なぜそうだと?」



「いくつかあります。一つは服装、どうみてもそこらの村出身の服装ではない。貴族か商会の息子と考えるのが必然です。2つめは、そう考えるとこの付近ではハイデルブルグ領が一番近い。あそこには子爵家とエボルブ商会が有名ですが、どちらも10才ほどの少年がいると聞いております。3つめは、その少年は【精霊術師】であり、領内でも強く、さらには数々の開発をされ、巷では神童と言われているとか。最後に隣のハウゼン領を下賜され、そこを子息であるアレン殿が開発をしているという噂があり、その通り道でここにいる。というのが私の推測です」



オレって街では神童と言われているのか、初めて知ったわ。というかよく調べてるなこの男も。オレは姿勢を正した。



「仰る通り、オレはハイデルブルグ子爵の息子でアレンと言う。で、あなたたちは最近街でも話題になっている荷の一部だけを奪う盗賊で間違いないな?」



そう言うと、盗賊たちに緊張が走る。その言葉に反応したのは隊長だ。



「......そうだと言ったら」



男たちから殺気のような威圧が放たれ辺りを漂う。



するとオレを守ろうとムギたちが現れる。それに反応したのは隊長と呼ばれる男の隣にいた女性だった。



「精霊?しかも4匹!?」



「どうしたミリアリア?あの急に現れた動物たちがどうかしたか?」



「レクサス?あなたにも見えるの!?」



「あぁ、見えているが」



「なんで見えるのかは知らないけど、あの動物たちは精霊よ。しかも私の契約精霊よりも格が高いわ。それが4匹。レクサス、敵対は良くないわ」



ミリアリアという女性は【精霊術師】のようだ。確かに、あの女性の肩には赤髪の男の子が乗っている。下級精霊のようだな。



敵対は良くないという言葉に周りにいる連中が少し反応している。



「だが、ここで大人しくやられるわけにも行かないぞ!それはわかっているだろうミリアリア!?」



「...まぁそうね」



なんか盗賊たちが意を決してるけど、オレの話を聞いてからでも遅くないと思う。



でもとりあえずこちらの実力を示しておくのもありだな。



「コハク、囲むように土流壁」



ククッ♪



「ソラ、そこに水流陣」



にゃ~!



敵を土の壁で囲み、そこに水を満たす。盗賊たちはなすすべなく動きを封じられた。



この攻撃を避けれたのはレクサスと言う隊長とミリアリアという精霊術師だ。



「クッ、火の精霊よ!私に力を貸して。立ちはだかる敵を討て火槍!」



森で火の技を使うのは感心しないな。火事になったらどうするのか。



「ソラ、水流壁」



にゃん!



ジュッ!



敵の火槍は水流壁に当たり消えた。



すると、レクサスがオレの間合いに入ってこようとしていた。動きが速い!



「アスカ!風圧弾!」



ぴぃーっ!



敵であるレクサスを風を圧縮した塊で弾き飛ばす!



ズドンッ!



「グッっ!?」



「レクサス!?火の精霊よ!我が敵を「ムギ、狐焔」...なっ!?」



威嚇が目的なのでさすがに撃つことはしない。さすがにこれを撃ったらここら一帯が跡形もなく燃えるからな。



それは相手方もわかったようだ。



「降参する!」



レクサスが降参を宣言した。オレは動きを封じていた連中を解放し、一か所に纏めた。



「申し訳ありません隊長。何も出来ませんでした」



「オレも」



「私もです」



「ミリアリアの言う通り、私たちが相手にできる者ではなかったということだ。さすがは神童と呼ばれているわけだ。アレン殿、都合のいい話なのだが、私の首一つで許してはくれないだろうか。そしてこの者たちを保護していただきたい」



「「「隊長!?」」」



「それなら私の身を差し上げますので、奥にいる者たちも保護していただきたい。これでも精霊と契約している【精霊術師】です。使い道はあるかと」



「「「副隊長まで!?」」」



この精霊術師は副隊長なのか。ということはどこかの軍人ということか。



「ミリアリア!?それでは軍を抜けた意味が...」



「良いんです。村人たちを優先するのが当たり前なのですから」



軍人で正解だったようだ。そしてオレの話を聞かないまま進めないでほしい。



「とりあえず、あなたたちは何者なのか?話を聞きましょう」






彼らは、シルフィード帝国の軍人だったようだ。任務を終え、帝都へ戻っている途中で、村を発見し泊まらせてもらおうと寄った際、過度な税を取り立てられていることを知ったようだ。



それを知ったレクサスたちは、帰り道の予定を少し変更し領主が住む街へ向かった。しかし領主は帝都へ行っていて不在ということで、帝都へ戻りその村を管轄している領の責任者を探したそうだ。



ちなみにその領主はボッタ侯爵といい、帝都の中で敵に回すべきでない男であり黒い噂が絶えないとして有名らしい。またこの侯爵は【精霊術師】を戦争の最前線で攻めに使うべきと宣言している一派の筆頭ということだ。



ちなみにレクサスは【精霊術師】は守りにこそ使うべきという考えでミリアリアの異動を悉くはねのけていたようだ。その侯爵にある村の現状を伝え税を下げるべきだと進言をしたところ、事実確認をして対処するという話で決着したそうだ。



数か月後、レクサスたちの隊が再度任務でその村の近くを通ったこともあり、様子を見に行ったそうだ。だが、過度な税の取り立ては変わっていなかった。むしろ厳しくなっていると言ってもいいぐらいだったようだ。



その時ちょうどよく税務官が税の取り立てに来た。レクサスたちは税務官に対し異議を唱えたようだが、聞き入れてもらえず逆に越権行為だと言われたそうだ。



そしてそのまま税の取り立てを続ける税務官たちが、その村にいる子供たちが持っていた食べ物なども取り上げようとしていたのだ。食べ物を取られまいと抵抗した子供たちに税務官たちは容赦なく手を上げ反抗罪だと斬りつけたのだ。



幸いにも斬られた子供の傷は致命傷ではなかったようだが、それを見たレクサスが、その税務官を斬ってしまったそうだ。幸いにも致命傷には至らずだったが、税務官に手を出したことで反逆罪が適用されてしまった。



税務官は国を代表して税を取りまとめる役職だ。その税務官に手を出すということは国に手を出すのと同義なのだ。



この事実はすぐさま帝都にも話がいき、レクサスは軍資格を剥奪のうえ牢獄へ。そして【精霊術師】であるミリアリアは侯爵の手によって、ここぞとばかりに軍最前線への異動を命じられたそうだ。



この判決に異を唱えた部下たちだが、相手が相手なだけに相手にされなかったため、裏で動き、レクサスとミリアリアを帝都から脱出させ、件の村に行ったそうだ。


だがそこで見たのは信じられない光景だった......村は焼かれ、村の者たちは殺されていた。


若い女性と子供たちは村の隠れ場所で隠れていたため、助かったようだった。


事情を聴くと1時間前ぐらいに盗賊たちが村にやってきて、問答無用で襲ってきたということだ。村の男たちは抵抗したようだが。



残ったのは隠れていた女性5人と成人手前の男達2人、それと子供が5人。



全員身寄りはなく行き倒れるのがわかっていた。どうするか聞くと一緒についていくということで、放るわけにもいかないため連れていくことにしたそうだ。



また途中で盗賊に襲われている行商人の家族がいて、助けに入ったが助けられたのは子供だけで親たちは盗賊に殺されてしまい、子供だけでも守ろうと一緒につれていくことになり総18人になったということだ。



軍を抜けた者たちであり国から追われる身でもあるから国にいることができず、しかしその身だからこそ他国に行っても寄る術がなく、ここにいる状態ということだ。



ただ生き続けるためには物資が必要で、最初は手持ちの金や食糧でやりくりしていたが、それも無くなり仕方なく商人から一部の荷をいただいていたということだ。



犯罪者と脱走者を匿ってくれる国も領もないからな。村もこの人数を一気に養えるわけもないのが自分たちでもわかっているし自分たちを慕ってついてきているからこそ、別れるという選択肢を取るか悩んでいたんだろう。



ふむ。ならオレが取るべき行動は一つだな。



「なら、あなた達全員を雇うといったらどうしますか?」


本話を最後まで読んでいただきありがとうございます。


「面白い」「次話も楽しみ」など思っていただけたら、とても励みになるので、

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