2-3:果樹園
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26話:果樹園
翌日、ハウゼン領に4人の上級精霊たちがいた。オレが、元大平原のハウゼン領を開発していることに4属性の上級精霊たちも興味津々のようなので、一度一緒に行くか?と声を掛けたのだ。
すると4人とも「行く!」との一言だった。精霊王から話は聞いていたけど、アレンから声が掛からない限りは、邪魔しないようにと言われていたようだ。
で、精霊召喚の指輪も渡してるから早めに呼ばれるのかな?と思ってたけどなかなか呼ばれないから、王様に内緒で押しかけようかと画策していたときにオレが来たということだ。
召喚の指輪はあくまでも契約させたい人ができたら呼んだ方がいいと思ってたけど、そういう意図でなくても呼んでいいとのことだ。
正式契約ではないが、召喚の指輪は仮契約だ。使える精霊術に制限は掛かるけど、遠慮はしなくていいらしい。
とりあえず、4人にこの地を見てもらった。昔とは打って変わって自然がなくなっている地は精神というか心にくるモノがあるようだ。
自分たちの遊び場が戦争によってなくなった。それもその切っ掛けを作った原因の一つが、自分たちであるというのも輪を掛けているようだ。
だから、ここを開発するという話を精霊王から聞いた時は、あの頃の自然が戻るかもしれないと期待をしているようだ。
期待している精霊たちには申し訳ないが、オレは昔の光景を知らないけど自然豊かな領にするつもりはないと伝えた。
精霊たちはそれでもこの地が今よりも良くなるなら良いと心から言ってくれた。その中で、じゃあこの地をどう開発していくのか?と質問を受けたので、オレは計画の一部を話すことにした。
《《《《果樹園?》》》》
この世界にも果物は存在する。だけど、その流通量は決して多くない。むしろ少ないといっていい。オレはその果物を作る果樹園をこの地で作れないかと画策しているのだ。
ちなみにこの世界の果物だが、前世でオレが知っているモノと名前も形も味も似ている。
リンゴはアプル、オレンジはオレジ、ブドウはグレプ、イチゴはスベリという名だ。他にもメロンやレモンなど同じ名前の果物もある。
ちなみにみかんを英語で言うとオレンジというが詳しくはちょっと違うのだ。オレンジは皮が厚く実が大きい。みかんは皮が薄く実は小さいのが特徴だ。
オレンジもみかんも同じインドが発祥だ。オレンジはそこからヨーロッパへ伝わり、日本へと入ってきた。
なんでオレンジがみかんに比べて皮が厚いのか?それはヨーロッパは日本と違い乾燥した地域のため、実を乾燥から守るため皮が厚くなっていると言われている。
みかんよりも味は濃厚で甘め、そして香りも強い。それがオレンジというわけだ。
話は逸れたが、その果樹園をこのハウゼン領で作ろうと思ってるのだ。
「そう、果樹園。精霊がいれば環境を整えることはできるはずだからね。精霊だけじゃ無理だ、もちろん精霊術師だけでも無理。精霊と契約している精霊術師かつ現代知識を持っているオレだからこそ、下地となる土壌を作ることができる。それ以降は【農業士】を連れてくる必要はあるけどね」
《それはいいね》
《果物か...たまに食べるわ》
《確かあれって木から生る実よね》
《ここら辺で見ることは少ないのじゃ》
精霊が言うように、自然豊かなハイデルブルグでも自生している果物の木は多くない。この森に住む動物たちの分はあってもそれを売るほどはない。あくまでも、うちが把握しているのは...という意味だが。
「そこで4人にお願いがあるんだ」
《《《《お願い?》》》》
「そう。果物の種や苗木・それと海の水や魚介類や肥料になるものが欲しいから、それを集めてもらえないかな?もちろんできる限りで大丈夫なので」
ノームが答えてくれた。
《お安い御用じゃ。その程度の事なら我々の力に制限がかかることもないからの》
補足という感じでシルとディーネも答える。
《それに、制限が掛かったところで難しい内容でもないからね》
《ええ、それで私たちの思い出の地が変わると言うなら是非やらせていただくわ》
最後にサラが質問してきた。
《よっしゃ!いつまでに欲しいんだ?》
「逆にどのぐらいで集まるかな?」
《そうだな...ノーム、どのくらいになりそうだ?》
《4人もいればそんなにかからないじゃろう、そうじゃな...余裕をみて1週間あれば大丈夫じゃろう》
「それじゃあ、1週間の間に果樹園の為の土壌を含めた土台作りをしておけばいいってことだね」
《それでは、わたくしは水の領分である魚などの海や川を担当するわね》
《それじゃあ、儂は土の領分である種や苗木などを担当するのじゃ》
《わたしとサラは果樹園に必要な肥料になる物を探しましょう。乾燥ならわたしとサラが適任でしょうから》
《おうよ!》
4人とも種や苗木やその他、使えそうなものを探すということで、早速行ってしまった。
それじゃあオレはこれから肥料作りだ。既に国に報告した石灰肥料はあくまで国主流の麦の生産性を上げるものだ。
石灰肥料だけじゃ土の栄養は足りない。植物の生長を促すためには肥料が欠かせないのだ。
オレは現代知識を持っているから、その知識を使って土壌を作るつもりだ。形が出来上がれば農業士を雇って果樹園事業をしていきたいと考えてる。
だからまずは耕土に重要な有機肥料を作る。確か植物の生育に最も多く必要とされている肥料の3要素は窒素・リン・カリウムだ。
窒素は植物を大きく生長させる作用があり、葉の大きく生長させることから葉肥とも言われる要素だ。
リンは花肥や実肥とも言われ、花や実をつけるために必要な要素だ。カリウムは根肥と言われ、根や茎を丈夫に育てるために必要な要素。
そしてこの3要素の他に、カルシウムとマグネシウムを加えると肥料の五要素とも言われる。
作り方自体は難しくなかったはずだ。確か、草や木を燃やした後にでる灰が石灰・リン・ケイ酸・カリウムが含まれていて草木灰と呼ばれてる。
あとは魚粉か骨粉が欲しいんだけど、ここに海はないし、精霊たちが持ってくるのを待つしかないな。そうなると動物の骨が必要だ。
王都に行く途中で倒した魔物の骨でも大丈夫だろう。あの後、王都にある冒険者ギルドで解体してもらって、肉は売って、何かに使えるかと思って素材として骨と皮は貰っておいた。
この骨を燃やして砕けば窒素とリンを含んだ骨粉の出来上がりだ。
細かい部分は覚えていないけど、そこは精霊たちに手伝ってもらうことで、補うことにしよう
この肥料たちをここの土とハイデルブルグから持ってきた土に混ぜていって、土の量を増やしていく。
今ある物資での肥料はここまでが限界だ。あとは精霊たちが持ってくるのを混ぜればいいだろう。
とりあえずあとは、土を馴染ませるために、水をこまめに撒いていこう。
ちなみに水井戸の水質はソラに確認してもらったが問題なく飲めるものだということだ。
動物や魔物が現れた際に荒らされないよう、1キロ四方に深さ2mほどの穴を掘っていき、その穴に水を入れておく。イメージは城のお堀だ。
そしてその周りの石ブロックを積んで石垣とする。この作業がかなり疲れる。さすがにオレとセナ・レオの3人じゃ終わらないと思ったが、父たちも気になっていたようで、急な案件もないということから2日間、家族総出&護衛たちも手伝ってくれることになった。
父には錬金術で石ブロックを作ってもらい、魔力が尽きたら積む作業に従事してもらった。母には精霊術でお堀に水を誘導して溜めてもらう。セナは穴掘り。レオたち護衛には石ブロックを積んでもらう作業だ。
妹のリーンはムギとソラの2匹と遊ばせている。精霊が付いていればなんの問題もないから安心だ。
オレはと言うと、宿泊用の簡易型ロッジの作成だ。いつもは日が暮れる前に邸へ帰っていたが、父と母も一緒ということで宿泊が許されたのだ。まぁまだ10才だから仕方ない。
でも、寝泊り用の家なんてないし、まだ建築士もいないから、きちんとした家は作れない。でも1泊分の素泊まり用の小さい倉庫みたいな感じならオレでも作れる。
そこで錬金術で粗方材料を作って、錬金術で作っていく。あまり大きいサイズの家は無理だから2人が寝れるぐらいの大きさを5軒つくった。
父と母で1軒。オレとリーンで1軒。レオとセナで1軒。メイドのニーナと新人メイド1人で1軒。トーマスとフォードの護衛用で1軒。
さすがに小さいとはいえ5軒分の錬成は魔力消費が激しかった。この調子だと、さすがに邸レベルは作れないな。
ちなみにそれ以外の護衛たちは持ち込んだテントで交代交代で見張り役となっている。
父たちが手伝いにきた2日間で作業は加速的に進み、1キロ四方の囲いが完成した。そして夜は火を囲み食事をしながら今後の展望と計画を話していく。
「上級精霊たちに協力してもらっているですって!?」
「それで果樹園を作るというのか。まったく、もう驚かないと言って、何度驚かされるているのか。まぁアレンだから仕方ないと思ってはいるんだがな」
「おにいさま、すごーい!」
うちの家族たちがそれぞれ思い思いの反応をしてくる。リーンは何が凄いのかわかっていなさそうだけど。
ニーナともう一人のメイドがオレたちに飲み物を運んできた。オレはそれを受け取り、喉を潤す。
話は変わるが、我が家の使用人は増えている。今までは執事長のジョルズとメイド長のジーナ、そして二人の娘のニーナだけだったが、新たにメイドが1人、執事補佐を1人雇っている。
貴族の位が男爵から子爵へと陞爵した際、支度金も渡されていたのだ。子爵に恥じない程度の使用人たちを雇えという王家からの命令だ。
うちは男爵のころから使用人は少なかったのだが、他に比べても少なかったのだ。お金がないということで。
だけど子爵は下級貴族の中では最上位だ。使用人たちが少ないというのは外聞が悪いということで急遽人数を増やしたのだ。
しかし誰でもいいという訳にもいかないので、身辺調査をして問題なしと判断した者から雇っている。今後少しづつ増やしていく予定ということだ。
それに、エボルヴ商会で販売しているレシピやオリーブオイルなどの利益の4分の一を税としてハイデルブルグに納めている。今やハイデルブルグは貧乏領から脱却している。
領内も活気があり、その噂を聞きつけた者たちが移民として流入している為、人口が少しづつ増えている。治安悪化を防ぐため、警備・巡回兵として雇うことも始めている。
その後も順調に開発は進んでいき、約束の1週間が経った。
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