1-15:レンガ作り
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15話:レンガ作り
セナがコウと契約してから1年が経った。
最初は精霊術を扱うのに苦労していたようだけど、1年も経てば慣れてきて自由自在とは言えないまでも、ある程度扱えるようになってきたようだ。
そして今は精霊術を使って穴を掘ってもらっている。
以前は石や砂は地面をスコップで掘っていたりしたけど、今はセナがいれば簡単に取れるから、めっちゃ楽なのだ。
「セナ、次はここを頼む」
「はい、アレン様!コウくん、隆起!」
ワォン!
ドゴン!
何度目かの穴掘りで目的のブツを見つけた。
「よっしゃ!やっと見つけた!」
「アレン様、何を見つけたんですか?」
オレが見つけた物に対して、セナが興味津々だという感じで近寄ってきた。
「これだよ!」
「これって何ですか?他の土に比べてなにか色が違うのはわかりますけど」
「これは粘土だ」
「粘土?」
「そうだ。字の通り、粘り気のある土だ」
「へぇ~、これをどうするんですか?」
「レンガを作る!」
「レンガってあの?」
「まぁ結果を御覧じろってね」
泥でも作ることは出来るけど、やっぱり品質の面では粘土質があった方がいい。
「よし!セナ、ここらへんの粘土を取りまくるぞ!!」
「わかりました!コウくん、頑張ろう!」
ワン!
大量に粘土を手に入れたオレは、翌日に早速、錬成部屋でレンガ作りを始めた。
何故レンガ作りなのか?それは貴族の邸や王城であれば石造りやタイルといった家の建物もあるが、この世界の一般家庭の家は木造建てが多いからだ。
もちろん、レンガ造りの建物もあるが、品質はあまり良くない。恐らく材質に問題があったんじゃないだろうか。
あと、貴族の家はともかく、一般の家で火事があった場合、木造の家だと一気に燃えてしまうと考えたオレは、より良い品質のレンガを作ろうと思ったのだ。
きちんとしたレンガなら耐久性は100年以上とも言われているし、土を焼き固めて作る物だから、耐火性にも非常に優れた物だ。
しかしレンガを作る過程で非常に重要なのが燃料だ。その燃料でもある薪を得るために無計画な森林伐採が行われ、砂漠化を招く場合がある。
現に、地球文明の中でもレンガ作りのために衰退した国はあったようだ。それに過剰な森林伐採でレンガは環境破壊建材とも言われていた。
それともう一つ、レンガには耐震性の問題があると言われているが、ただ積むだけなら耐震性は弱くなるが、積み方ひとつで耐震性は変わる。
代表的な積み方は「フランス積み」「イギリス積み」「小口積み」「長手積み」の4種類だ。
この4種類の積み方の共通点は芋目地ができないように工夫していることだ。
芋目地は、地面に向かって垂直方向の目地が一直線に並ぶことを指す。目地が縦に一直線に並んでしまうと、地震などの外からの力に対して弱くなり、崩れやすくなる。
あと、一つのレンガの形で、長細く見える側面を長手、正方形に見える側面を小口と呼ぶ。
フランス積みは、一段の中に長手と小口を交互に並べていく積み方だ。すべての段に長手と小口を交互に置くことだ。現代でいえば、世界遺産の「富岡製糸場」がそれに当たる。
イギリス積みは長手だけの段と小口だけの段を交互に積んでいく積み方で、フランス積みよりも強度が高くて使用するレンガも少なくて済むから経済的だ。世界遺産の「広島原爆ドーム」がそれに当たる。
小口積みは、小口だけを使った積み方で、正面から壁を見た際にジグザグに見えるように積んでいく。東京駅の一部に使われているらしい。小口だけを使っているから曲面とか円柱にも使える。
長手積みは、長手だけを使って、壁を縦に見た際にジグザグに見えるように積む方法だ。同じレンガを縦に積むか横に積むかの違いだけだから、小口積みとは構造的にほぼ同じ積み方だ。
ただ、壁の厚さが薄くなるから、強度の面では小口積みよりも劣る。
もちろんそれだけでなく、家の建て方も2×4工法を使えば耐震性の問題はクリアされる。
2×4工法は、枠と面などで構成された壁・床・屋根・天井の枠組みを組み合わせて、6面体の箱状の構造から家をつくる工法だ。
壁の枠に2インチ×4インチの部材を用いることからツーバイフォー(2×4)工法と呼んでいる。
形状が箱状になることから、変形に対して強くすることができる特徴がある。
ちなみに1インチは約2.54センチメートルで、2×4の角材は、縦5.08センチメートル、横10.16センチメートルのサイズだ。
そして大筋のところに縦横で鉄筋を入れることで一体化をすればデメリットは極端に下がる。これであれば家として問題ないだろう。
レンガは「耐火性」「保温性」「断熱性」「耐水性」「耐摩耗性」「耐久性」「低吸水性」など多くの特性を持っており、他の建材に比べて品質の面からもコストパフォーマンスが良い建材の一つだ。
これがレンガ作りをしようと思った理由だ。確かに品質が悪ければ、意味はないが、品質が良ければそれだけでも機能性は大いに上がる。
オレはこの世界で物を作るなら、安心して使えるものを作りたいと思ったし快適に過ごすのにも、レンガは優秀な建材だ。
さて、錬成陣に【粘土】と【火】と【水】【砂】を置く。
「ムギは火を、ソラは水を頼むね」
コン♪
にゃ♪
さて、あとはイメージだ。
まずは粘土と砂と水を混ぜて練り、乾燥させ、直方体に成型する。
最初は温度を200℃、その後、12時間かけて950℃まで上げ、さらに3時間かけて最高1200℃まで上げる。
それが終われば急激に冷やして割れないように徐々にゆっくり冷ましていく。
ここまでが一連の流れのイメージだ。完成形も見えた!
「錬成!」
バリバリバリバリ・・・・パァンッ!
レンガの出来上がりだ・・・・イメージ通りの形になった。あとは強度だが・・・出来たレンガを叩いてみる。
コンコンコン!
うん問題なさそうだ。イメージさえきちんとできていれば過程をすっ飛ばせる錬金術は、マジで便利だ!
よし!このまま魔力の許す限り大量に錬成するぞ!
数時間後・・・・・
「アレン様、そろそろ邸に...ってなんですかこの量は?!」
「おっ!ニーナか...どうした?」
「どうした?...じゃないですよ!もう夜です。旦那様も奥様もお待ちですし、食事の時間ですよ!」
「もうそんな時間か。ちょっと集中しすぎたな」
「もう、アレン様は集中しだすと時間を忘れて没頭してしまうんですから。それに魔力量が多くてもアレン様はまだ6歳なんですよ。あまり無茶はしないでください」
「わかったよ、ニーナ。さぁ邸に戻ろう」
ニーナのお説教は長くなるからな。始まる前に邸に戻ることにした。
それにしても丸一日やっても思った以上に完成品は少ないな。
一度に作れる量も限られてるから仕方ないけど。まぁ数日あれば家1軒分ぐらいはなんとかなるか。
~邸内で食事中~
「アレンよ、今日は1日錬成をしていたようだが、何を作っているのだ?」
「レンガです」
「なんで今更レンガなのだ?」
「はい、従来のレンガに比べて品質は良くなっています。建物とかに使うのに最適な品質ではないかと思っています」
オレはそう言って、魔法の袋から完成したレンガを出して見せる。父は興味深そうに、そのレンガを見る。
コンコン!
「ふむ、見た目だけでも従来よりも良さそうだとは思う」
「まだ全部を試したわけではありませんが、耐火性、耐久性、耐水性に優れていると思います」
オレはその他に今回作ったレンガの特徴を父に説明した。何処でそんなことを知ったのかという話も出たが、現代知識です!とは言えないので、精霊王様から聞いたということにした。
精霊王の祝福を受けているオレなので、特段怪しまれることはない。
もちろんそれ以外にも試行錯誤して作っているということにもしているから、深くは追及されない。
「そういうことならこれもレシピとして売れるかもしれないな。ただ、実際にこれを使って建物を建ててみないと意味はないか...」
そう、これの弱点はただのレンガを見せただけじゃ良さが伝わりにくいってことだ。
だから実際に建物に使って良さをアピールしなければならない。で、そこはエボルヴ商会の建物をレンガで実際に作ってみようという話になった。
確かに、商会をレンガで作れば、商会自体がアピールになる。父にもレシピを教えてレンガ作りをしてもらうことになった。
オレだけじゃ時間が掛かるからな。
それと、さすがに家ほどの大きさを錬成するのは無理だ。魔力が足りない。
父に頼んで建物づくりをしている建築士を呼んでもらい、イメージ図を見せながら完成形を建築士に教えて作ってもらうことにした。
まぁ当分はレンガ作りだな。
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