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虹が架からない話
「ねえ」
七宮が僕を呼び止めた。
ちょっと険しい目をしている。
いつもよりもきりっとして違った魅力があると僕は的外れなことを思う。
「なに?」
「最近大橋となにを話してるの?」
「ええと」
僕は言いよどんだ。
きみとはやく別れろとせっつかれている。
泣きながら愚痴られている。
どうしてってあいつは七宮のことが好きだから。
僕は大橋さんの事情を知ってるから話しやすいらしい。
「勉強を教えて貰ってるんだ」
「学部の違う大橋に?」
「最近読んだ本の話とか」
「あの子、漫画も読まないわよ」
どうしよう。詰んだ。
「ごめん、言えない」
「どうして」
「すごく個人的なことを相談されているから。でも不実なことじゃない」
「私、あの子とすごく親しいわよ?」
「親しいからこそ君には言えないことがあるんだ」
七宮は表情を消した。
とても怒っていることがわかる。
「これから気をつけるよ。それじゃあダメかな?」
「もういいわ」
七宮が僕の隣をすり抜けていく。
僕と七宮は仲違いした。