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第6話 織田信長、また来た武将ゲーマー中編

 さて、セッション(『トーキョーナイトメア』ではアクトだ)を開始した。

 シナリオは、ヤクザにさらわれたお嬢さんを救出するという単純なものであったが、鬼武蔵のカタナ、カタナ、カタナ◎●の戦闘系キャストが大活躍するバトル展開であった。秀吉は、マネキン◎、カゲ、ニューロ●の女子高生モバイラーで、ロールプレイはおろか支援すら敵から察知されないというキモいキャストである。おまけに〈空蝉〉で回避すると自身のアクションランクを増やして他者を〈サポート〉で行動させるか〈ポルターガイスト〉で行動を潰すという支援キャラで実に秀吉らしい。

 コウ太はカブト◎、ハイランダー、カブトワリ●の防御キャラ、いわゆるディフェンダーである。

 そして注目の板部岡江雪斎は、カブキ、ミストレス◎、カリスマ●の交渉人かつ支援精神攻撃アタッカーという生前(?)を彷彿させるキャストであった。

 やはり、武将の生き様(スタイル)はTRPGのプレイングに現れる。

 で、ゲームが終わればみんなで鍋をつつく。今日は豆乳鍋である。江雪斎が手伝ってくれた。饗応役というのは武将の中でも重要らしく、料理もうまい。

 そういえば、江雪斎もまた利休の弟子である山上宗二やまのうえ そうじと懇意にしていた茶人であり、秘伝書『山上宗二記』を託されている。

 その山上宗二は秀吉の勘気に触れて耳と鼻を削がれて首を晒されたのであるが。


「にしても、武将ゲーマーのプレイングもいろいろですね」

「江雪斎もサルもサポーターよな」

 コウ太と信長は、はふはふ言いながら鶏肉を頬張る。豆乳鍋の出汁はスーパーで買い出ししてきたものだが、そこに切った野菜や肉を入れればいいので便利である。

 アクトが終わった後のテーブルはシート類を片付け、卓上コンロが置かれて鍋が煮えている。セッション砦には、紙コップや器、割り箸も常備されているし、リビングはカウンターキッチンになっていて食事もしやすい。白菜、しめじ、長ネギ、ニラなどもどんどん入れていく。

「サポートにしても好みが分かれますな。殿下は相手の行動を潰しつつ支援、わたしは攻撃兼支援ですし」

「それよ。“でばっふぁー”と“ばっふぁー”というらしいのう」

 MMORPGやソシャゲーの分類だが、データが多いTRPGでもこのカテゴリー分けは使われるようになっている。

「俺ぁ難しいこと考えるよりは殺っちまったほうが楽でいいけどな! ひゃっはっはっはっ! 肉うめえな、おい!」

 まだ生っぽいんじゃないかっていう肉も、鬼武蔵は構わずばくばく食う。蛇も食ったというが、大丈夫なのだろうか?

「そういえば、TRPGのプレイヤーはプレイスタイルによって四つに分類できるというが、コウ太よ、知っておるか?」

「ああ、マンチキンテキストってやつですね、信長さん」

 鬼武蔵が食い荒らした鶏肉を鍋に補充しながらコウ太は答えた。

 マンチキンテキストというのは、『CoC』のデザイナー、サンディ・ピーターセンがあるコンベンションでの会場、ジェフ・オカモトという人物と話した雑談が元になっている。プレイヤーは、以下の四つに分けられるというのだ。


・リアルマン

 戦士、騎士、あるいは攻撃魔法などで、力押しや戦闘を好むタイプ。強キャラをやりたがる。ニュアンスでは、マッチョマンやタフガイといった雰囲気。あるいは勇敢で英雄的、腕っぷしの強いキャラクターのロールプレイを好むタイプ。力押しだが、戦闘に勝つために効率を重視することもある。好きな武器はバスタードソードやポールウェポン。


・リアルロールプレイヤー

 交渉や口上を得意としたり、正面からの突破ではなく策略や機転を好むタイプ。頭のいいキャラや盗賊などをやりたかる。ニュアンスでは、演技派なども含む。英雄でもドラマ性やキャラクターの描写、ロマンスなども求める。戦闘で不利になっても、人質を救出することを優先したり、騎士であれば正々堂々戦うこともある。好きな武器は、レイピアやマンゴーシュ。


・ルーニー

 他のプレイヤーからの笑いやウケを取ったりすることが大好きなタイプ。おかしなキャラや、愉快なロールプレイで場が沸かせることを得意とする。そのウケ狙いから、ギャップのある悲しさも持ってきたりもする。しかし、シリアスな場面やシナリオを破壊するのではとGMから警戒されたりもする。好きな武器は引っ込みナイフ。


・マンチキン

 自分のPCが有利になるようにゴネたり、注目を得ようと悪目立ちしたり、GMを困らせることで目立とうとしたり、他のプレイヤーにマウンティングしたりと、聞き分けのない子供のようなプレイをするタイプ。『オズの魔法使い』に登場する小人の名前が由来。好きな武器はとにかく修正がいっぱいつくやつ。


 元は海外のTRPG雑誌での論考記事であったのもがネットコミュニティで語られていたもので、日本ではマンチキンについては誤用がよくあった。「とにかく修正がいっぱいつくやつ」の部分が混同され、強い武器やデータを揃え、キャラの外見や設定がおかしなことになったり、ルールミスを突いて最強キャラを作るのがチキンと言われたことがある。いわゆる効率厨というやつだ。

 認識があらたまったので上記のスタイルは和製マンチキン、和マンチと言われる。

 さて、戦国武将のプレイスタイルはどう分類されるのであろうか?

 鍋の具材を足しながら、コウ太も興味津々である。

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