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吉田松陰の弟は聾唖者

作者: 山本光矩

 吉田松陰には聾唖の弟がいた。名は杉敏三郎。吉田松陰が16歳の時に生まれた。生まれた時から耳が聞こえなかった。耳が聞こえない為、吉田松陰を始めとする家族の苦痛は言葉にならないモノがあった。それでも家族は杉敏三郎を家族の一員として慈しみ深く育てる事にした。徐々に成長し、家族の発音を見て、口を動かし発音する事はできたが、何を言っているのかは理解できなかった。あらゆる医師に見てもらい、加藤清正廟に願いを出すも効果は無かった。

 

 時は流れ、吉田松陰は長州藩を離れ、全国各地を遊学していた際、大和にて弟である杉敏三郎と同じく耳が聞こえない立場でありながら、私塾を持ち、数多くの門下生を抱える谷三山と出会い、筆談で教えを乞う事になった。教えを乞いながら、吉田松陰は意を決して、自分には聾唖の弟がいる事を告白した。生まれながらの聾唖である弟に発音する事はできるのだろうと聞いてみた。しかし、谷三山からの言葉は弟は生まれた時から聾唖であった為、発音は難しい…。と

 

 それを聞いた吉田松陰は失望したが、谷三山は発音できないのなら、筆談はできるかも知れないと続けて言った。文章のみではどういう状況なのか判らないので文章だけではなく、絵も併せて載せた絵草子を読み続けていけば字が書ける見込みは生まれる。と吉田松陰に言った。それを聞いた吉田松陰の中に新たな希望が芽生えた。大和を離れ、江戸に滞在する際、絵草子を買い、実家へ送った。送られた絵草子を杉敏三郎は興味深く読み続けた。その甲斐もあり、杉敏三郎は字が書ける様になった。それを聞いた吉田松陰は「頗る可なり」と兄としての喜びを爆発したのであった。

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