森の人間
アレックスは獣道を歩く。
獣道に落ちている糞を確認しながら進んでいく。
「よし、また草食獣の糞だ」
コロコロした糞を拾うと腰袋に入れていく。
「しかし、ブレストプレートって歩き辛いなぁ」
アレックスが踏み出すたびにパタパタと胸に当たる。
獣道を行くと前方からパチパチと何かが燃える音がする。
アレックスはブレストプレートを手で押さえ、草むらに隠れる様、中腰で慎重に様子を伺う。
そこには3つのテント。
腰に骨で作ったであろう斧を持ったオスゴブリンが3匹。
赤ちゃんを抱くメスゴブリンが1匹居た。
オスゴブリンとメスゴブリンは頭を叩き合っていた。
(なんか…凄いな)
アレックスは人生で何度かゴブリンを見た事があるが、いずれも奴隷だった。
暗い目をしていたが、このゴブリンは違う目に力がある。
(矢は…3本か、しかしゴブリンって食えるのか?殺すのも、ちょっとやだなぁ)
そんな事を考えているとオスゴブリン達は歩き始めた。
アレックスはオスゴブリン達を尾行する事にした。
(オスゴブリンが充分離れたらメスゴブリンを襲うか、オスゴブリンを襲うか決めれば良い。)
アレックスは迷いを後回しにして、ゴブリン達を意識しながら高地を進む。