森のエルフ
夕暮れの森、リズミカルに鉄をたたく音が響き渡る。
音源の小屋で年老いたエルフが鉄を焙り、エルフがささやきくと赤くなっていた鉄が青白く光る、そして打つ、そしてまた焙るを繰り返している。
「おじいちゃん?ご飯だよいつ終わるの?」
容姿は14歳くらいの若いエルフが声をかける。
「エルサか...まだまだ掛かるから、先に食べてなさい。」
「またそんな事言って、せっかく作ったのに冷めちゃうじゃない」
「すまないが、今大事な所なんだ」
「わかったわ、終わったらすぐ着てね」
エルサは不機嫌そうに竈の隣にある家に入っていく。
しばらくすると年老いたエルフが家に入ってきた。
「すまないな、おそくなったわい」
「で?成功したの?」
「いや、この年になってまで、魔法を載せた成功策はなかなか出来んのう、とても悲しいことじゃが」
「そう、じゃあご飯にしましょう」
エルサはそういうと机に手をかざす。
ポウっと暖かい光に包まれ、上に置かれたスープなどの食事に湯気が立ち始める。
「ふうっ、さっ食べましょ」
「さすがじゃな、もう100振りぐらいしてもよかったじゃろ」
年老いたエルフは微笑むと席に着く。
エルサは何かに気がつき口を開く。
「あら?ぶどう酒を忘れたかしら?ちょっと取りに行ってきます。」
エルサは家から出て少し離れた洞穴へ。
その酒樽の置いてある小さな洞窟の扉に手をかけようとした瞬間、動きが止まる。
右手の森からガサガサっと音がしたからだ。
エルサはとっさに音で情報を収集する。
(微かに聞こえる息はゴブリンか?数は...2いや3人!なら...)
エルサの手が微かに光だし、後ずさりを始める。
エルサに緊張はない、簡単とはいえ魔法が使えるエルサにとって低脳で作戦を練らないゴブリンは敵ではない。
(馬鹿なゴブリン、焼き尽くしてあげる)
その時、後方からも音がする
【ザザザ、ギュギュギュ】
エルサに緊張が走る!音の方向は後ろだ。
発動に時間が掛かる特性上、排撃されると非常に厄介だ。
さらに今の音は弓を引き絞る音!まずい!
正面のゴブリンはまだ姿が見えないが、おそらくゴブリンリーダーが含まれているだろう。
ガサッ
3匹のゴブリンが林から飛び出してくる。
(魔法の準備は出来ているが...前からだ!)
【ファイヤーボルト!!】
「ギャァァァァ」
全方に居た3匹の内、一番後方に居た一匹が炎に包まれ見る見るうちに炭化していく。
ほかの2体が魔法に驚き動きが止まる。
エルサが振り向こうとするより早く、後ろから「ピシュ」っと矢を放つ音がする。
(まずい、ゴブリンリーダーは後ろだ!魔法に驚かず矢を放つなんて...や、やら...)
放たれた矢は正確に心臓目掛けて飛んで行く。