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新たな朝
朝靄が森に立ち込める。
大樹の下でアレックスは茶色のマントに包まっていた。
「朝か...」
アレックスはサイドポシェットから【揚げコオロギ】を鷲掴みにすると口へと運び口を動かす、とても新鮮な気持ちだった。
アイアンソードで辺りをつつき回しながら考える。
「税からの開放...それだけで森がこんなに気持ちが良いなんて」
アレックスは自由を実感し、ゾクゾクしていた。
「こんな気持ちは...いつ振りだろう?」
両親や兄がまだ健在だった頃、銅貨を握り締め、村で唯一の商店に駆けていた時の事を思い出していた。
その商店で出会ったソフィ...アレックスは懸命に切り替える。
「ピピット村から一番近い【ガブレイ町】に向かうか」
突きの練習をそこそこに歩き出す。
目指すは【討伐ギルド】、普段鹿狩りでは入らない森の奥へ