爪先(つまさき)と爪先
「背中まで45分」という、大人の恋愛を歌った曲がある。四十五分前にホテルで出会った男女が、部屋の中で裸で触れ合う。裸の背中に触れるまで、掛かった時間が四十五分だったというタイトルだ。
歌詞には『僕』とあって、主人公の男性は、女性の背中に魅力を感じていたのだろうか。背中が開いたドレスだったのかもしれない。私の場合は相手が同性の女性で、薄いフラットシューズ越しに透けて見えた、爪先のペディキュアに魅力を感じた。
ホテルの部屋で一緒に入浴をする。彼女の足は長くて素敵で、二本もある。私は足をひたすら褒めて、酔った私たちは簡単に幸せな気持ちになれる。
出会ってから、体感では二十分も経っていない。今はスピード時代ということだろう。服も着ずに部屋へと移動して、彼女を押し倒し、両足首をつかんで開く。
間に割って入って、足の甲にキスをするような形となる。爪先と爪先の間で、私たちの歓びが交錯するまで、あと何秒だろうか。