少しだけ
自分が変わったのはいつだろうって街を見ながらふと思ったんだ。
若い頃は世界がキラキラ見えていた。はずだった。もう昔のことだから分からない。
あの頃は目が悪かったことなんて気にしていなかった気がする。目に見えるものが美しく見えていて、きっとタバコの匂いもすごく嫌いで。
目が悪くなって、世の中の汚い場所が喜んでいる自分がいる。
タバコの匂いに紛れて、嗅がなくてもいい雑臭を紛らわせた気がする。一緒に吸ったタバコ、美味しかったよ。
いつからこれが僕の「嬉しい」に変わったんだろう、自分でもびっくりしてるよ。
好きな人がいたはず。素直に好きだと言えていた気がする。
なんだろう、この違和感は。
全部同じ自分なのに、今は自分のこと以外を考えることすら億劫で。
前はヒーローものにだって憧れていたんだっけな。世界を、人を救える人。かっこいい。なりたい。そんな目標が自分の知らない間に消えていってしまった気がする。いつなくなったんだろう?
そういえば若い頃たくさん怒られていた気がする。なんで怒られたんだろう。場を収めるために謝った。先生に沢山誤った。でも僕はなんで謝ったんだろう。あの頃は先生が正しかったのかな。今は違う気がする。なんで嫌ですって僕は言わなかったのかな。
笑ってれば人が集まってくる。楽しい。謝れば場が収まる。みんな納得する。
モチベーションは今やっていることに全力を出すこと。そしたら他事を考えなくていい。他事を考えないために全力を出すんだっけ、まあどっちでもいいか。
よく大人が言ってたな、まだ君は社会を知らないだけだよ、まだ分からないこともあるんでしょうと。
分からなくて当たり前のことを、何をいまさら、知らないからしょうがないよ君は。みたいに言うの?
どっちでもいいよって言葉を使うのをやめてみた。
今日はお肉食べたい?お魚がいい?正直どっちでもいい。どっちでもおいしいし、本当にどっちでもいい。感動できなくなっちゃったんだ。
でも言葉にする。魚が良いな!今日ずっとお魚食べたいって思っていたんだよね!
作った甲斐があったと思ってくれただろうか?だったら嬉しい。
毎日食べてるインスタント麺でさえ、健康に悪いよなんて言われながらも、飽きてないよ、僕は。でも好きではない。
感謝をする。作ってくれてありがとうって。嬉しく思ってくれただろうか?だったら嬉しい。僕は笑顔でお礼を言いたい。
でもきっとね、きっと僕はね。
疲れちゃった気がする。
きっとこれは社会では当たり前のことで、みんなが努力していることで、辛いと思っていることなんだろう。きっとみんなもそう。毎日頑張って、乗り越えて、お疲れ様ですって伝えたい。
でも僕も、それだとしても言いたい。僕は疲れたんだよって。
だから少し、ごめんね、休憩させてほしい。
休憩したらきっと目を覚ますから、そしたら一緒に夢の続きを語り合ってほしい。なんでも僕は語るよ。どんなことだって話したい。
そして、良かったら、僕に道のガイドもしてほしいんだ。
よく迷子になっちゃうからさ。どうか、お願い。
ご飯つくってくれてありがとう