万歳! ドングリ号7
黒煙がドングリ号を呑み込んだ。
それと同時に、隊長から容赦なく次の命令が発せられた。
『三号機、発射!』
三号機の両方の脇腹が火を噴く。
二発のミサイルはドングリ号の熱と光を感知し、広がる黒煙の中心に向かって消えていった。
ドッグゥアーン。
二度目の大爆発がある。
前にもまして、あたり一面が大きな黒煙につつまれた。
黒煙が闇にまじりながら広がり続ける。
三十秒、一分と……。
もうもうと広がる黒煙の中、ドングリ号の姿は消えたまだった。
隊長が本隊に報告する。
『こちらヘリ部隊、作戦成功です。蒸気機関車を破壊しました』
『よくやったぞ。われわれもすぐに到着する。その場で待機せよ』
これは新幹線内の総隊長である。
『了解!』
隊長は爆発付近の上空にヘリを移動させた。
だが、そこで……。
「おっ!」
操縦席から身を乗り出すようにして、大きく両目を見開いたのだった。
黒煙の中に青い光が見え、それは地上から十メートルほどの高さに浮いていた。青い光の内側から、さらなる青い炎を放ちながら……。
青い光がいっそう青い輝きを増す。
やがて……。
それはひとつの形あるもの――巨大な青龍に姿を変えたのだった。
青龍がゆっくり回転しながら、うねるがごとく天空へと舞い昇る。
「くらえ!」
隊長機から追撃ミサイルが発射された。
二発のミサイルは半円を描きながら、青龍めがけ左右から同時に迫った。
「やったぞ!」
隊長がおたけびをあげる。
だが喜びはつかのまで、それはすぐさまおどろきに変わった。ミサイルが命中した瞬間、なぜか目の前から青龍が跡形もなく消えていたのである。
そこには星空だけがあった。




