万歳! ドングリ号6
夜空に響く爆音に気づいたゴンちゃんが、すぐさま窓を押し上げて上空を見上げた。
「ヘリやぞ!」
「こっちにもおるぞー」
元作さんも大声で叫んだ。
右斜め上に一機。
左斜め上に一機。
二機のヘリコプターがドングリ号と併走するようにして飛んでいる。
「元作、ヘリの腹を見てみろ。でっけえ爆弾が二つもついちょるぞ」
「ほんとや! アイツら、あれを使う気なんや」
二機のヘリは左右からドングリ号をはさむようにして、つかず離れずついてくる。
「あんなもんにやられたら、ひとたまりもねえ。徳さん、どうすりゃいいんや?」
元作さんが振り返る。
「今度ばかりは徳さんに頼れんぞ。ほれ、こんとおりやからな」
お夏さんが徳治さんを指さして教えた。
その徳治さん、いまだに気絶していたのである。
「こら! あんた、起きんかい。早よう、目をさますんや」
トキさんが必死に体をゆするが、徳治さんは目をさます気配がまったくない。
頼みの綱、神様が気絶していては万事休すだ。
三機のヘリは攻撃態勢を整えていた。
併走していた二機のヘリが機体を反転させ急上昇を始める。
『二号機、発射用意!』
隊長から攻撃開始の命令が下された。
『了解!』
二号機がスピードを加速し、一気に百メートルほど前方に進み出ると、そこで急旋回して機首をドングリ号に向けた。
『発射!』
二号機の両方の脇腹が火を噴いた。
二発のミサイルは、ドングリ号の前方の線路敷に向かった。まず線路敷を爆破して、ドングリ号の動きを止めようというのだ。
かたやドングリ号。
迫りくるこの危険をいち早く察知していた。
黒い車体は、すでに青い炎を放っている。
ドッグゥアーン。
大きな爆発音と同時に、高架の軌道敷が一気に地上にくずれ落ちていった。
赤い火柱があがり、黒煙があたりにモウモウと広がり始める。
その黒煙の中心。
ドングリ号は急ブレーキをかけながら突っ込んでいった。




