万歳! ドングリ号5
そのころ。
三機のヘリコプターが、山かげに機体を隠すようにして旋回していた。
三機とも真っ黒で、闇に同化し闇にとけ込んでいる。
『本隊から連絡があって、そろそろヤツらが来るそうだ。では作戦を繰り返す。二号機は線路敷を爆破、三号機は列車にミサイルを発射せよ。上空に逃げたときは、わたしが追撃ミサイルで撃墜する』
隊長の一号機から部下の二機に作戦が伝えられた。
『二号機、了解』
『三号機、了解』
三機のヘリは今や遅しと、ドングリ号を待ち伏せしていたのである。
ヘリは軍事用で追撃ミサイルを搭載していた。
このミサイルは目標物の光や熱を感知し、命中するまで狙った標的を追う。して、威力は戦車をも破壊する。
『二号機、偵察を開始せよ』
『了解』
二号機が線路敷に沿って、上り方向に向かって飛んでいく。
あたりは農地が山すそまで続いており、人里から遠く離れこの場所が、蒸気機関車の攻撃地点として選ばれていたのである。
広がる農地のはるか遠く、新幹線の線路敷に点のような明かりが見えた。
『隊長、来ました』
偵察をしていた二号機が、線路敷の上空を大きく旋回する。
『二号機、その位置で待機せよ。わたしと三号機は高度を上げ、列車の上空から接近する』
山かげから一号機と三号機が現れ、二機は田んぼの上空を一直線に飛行した。




