ドングリ号 危機一髪5
ドングリ号の後方。
走る列車の操縦室に数人の男たちがいた。
彼らは全員、なぜか迷彩色の戦闘服姿である。
『こちら先頭車。前方の蒸気機関車までの距離、およそ五百メートル。このまま進行すれば、五分ほどで小倉駅に到着。……了解』
ひとりの男が無線機のマイクを置き、それから横にいる男に向き直った。
「分隊長殿、本隊からです。計画どおりに進めよとの指令でありました」
「すぐさま後方部隊にも伝えろ」
分隊長は前を見すえたまま指示を出した。
その鋭い視線は、前方を走る蒸気機関車から一瞬たりとも離れることはなかった。
『全車に告ぐ、全車に告ぐ。このまま計画どおり進行せよ』
無線係が後方の各部隊に向けて指令を流した。
『第三部隊、了解』
『第七部隊、了解』
次々と応答が返ってくる。
彼らは国家テロ対策の特殊部隊。背後を走る列車に乗り込み、ドングリ号をひそかに追ってきていたのだった。
小倉駅は構内すべての夜光灯が消え、プラットホームには人影ひとつない。
闇につつまれ、静か過ぎるほど静かだった。
ガタッ、ゴトッ、ガタッ……。
ドングリ号は元作さんの指示どおり、日豊本線と鹿児島本線が合流する五番ホームに進入した。ところが構内中央まで来て、どうしたことか突如として急ブレーキをかけたのだった。
ギッ、ギッ、ギィー。
ブレーキ音が構内に響き渡る。
ガクッ、ガッ、ガックン。
ドングリ号は五番ホームの中央で止まった。
前方の闇には、新たな敵――いくつもの列車が行く手をふさぐように現れていたのだった。




