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ドングリ号 危機一髪3

 元作さんとお夏さんの話を聞いていた新吉さんがひとり言のようにつぶやいた。

「あと三時間か……」

 それに元作さんが答える。

「ああ、明け方には着くはずや」

「オレ、イヤな予感がするんや。ヤツら、またなんかしてこんやろうかって」

 新吉さんが先のことを心配する。

「なんも心配いらんて。なにがあってん、ドングリ号にまかせときゃいいんよ」

 元作さんは呑気に答えてから、さっそく窓から顔を出し、機関車に向かって行き先を告げた。

「ドングリ号ー、小倉駅に着いたら鹿児島本線を下るんやー。それから博多を通っち、久留米で久大本線に入るんやぞー。みんなくたびれちょるけん、なるべく飛ばしちくりいなー」

 ブゥオー。

 ドングリ号から返事が返ってくる。

「小倉っち、新幹線が走りよるんやろ?」

「ああ、そうや。だがな、いっしょになるんは駅ん構内のちょこっとだけで、すぐに別々になるんや」

「オレ、新幹線ちゅうもんに、まだ乗ったことがねえでな。すげえ速いっちな」

「ドングリ号の五倍のスピードや」

「そげえにか……」

「オレらもぼちぼち寝ようやないか」

 元作さんは腕組みをして目を閉じた。

 外の景色をながめていた者。

 チビチビ酒を飲んでいた者。

 いつのまにやら……。

 みなが眠りに落ちていた。

 最後まで起きていた新吉さんも、いつしか気持ちよさそうに眠りの中にいざなわれていた。


―栗原村住人たちの紹介―

元作さん……十七歳のとき、栗原村に来て鉄道会社に就職。以来一筋、蒸気機関車ドングリ号に乗る。

お夏さん……亡き夫が村の駐在所の駐在員であったことから、住人たちに頼りにされている。

新吉さん……村では一番若く六十歳。元作さんとともに日ごろから村の世話をする。

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