負けるな! ドングリ号12
ドングリ号が青い炎を放ち始めた。
青い炎は透明のブルーに変わりながら、ドングリ号の黒い車体をつつみ込んでいった。
ブゥオー。
トンネル内にひときわ大きな汽笛が響いた。
ほぼ同時に。
ドッ、グゥアッ。
重くにぶい音がした。ドングリ号の先端が積まれた土砂にぶつかったのだ。
グゥアッ、ガッ、ガッ、ガァー。
ドングリ号は止まらなかった。
前へ前へ、前へ前へと力強く、そしてゆっくりと進み続けた。
土砂を押しやりながら前進を続ける。
車内の住人たちは知らなかった。
ドングリ号が青い炎を放っていることを。ドングリ号が今、半透明のブルーの光でつつまれていることを知らなかった。
「ドングリ号ー、がんばれー」
声を出して叫ぶ者。
心の中で叫ぶ者。
それぞれの心はひとつとなり、ドングリ号にあらんかぎりの声援を送っていた。
グゥアッ、ガッ、ガッ、ガァー。
ドングリ号は止まらない。
山と積まれた土砂を押して進む。
ガッ、ガッ、ガッ。
ドングリ号は止まらない。
ゆっくりとだが着実に前進を続ける。
ガッ、ガッ、ガァー。
ドングリ号は止まらない。
トンネルの外に土砂を押し出してゆく。
グゥアッ、ガッ、ガッ、ガァー。
ついにドングリ号の鼻先がトンネルの外に出た。
そして……。
そこには満天の星空が広がっていた。




