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5.二人目

 そしてまた数日が過ぎた。私は二人目のターゲットに会うために、とあるマンションに来ていた。物陰に隠れてターゲットの帰りを待った。そこへふらふらとした足どりでターゲットの女が帰って来た。女が鍵を開け、ドアを開ける瞬間をじっと待った。そして女がドアを開けた瞬間、私は素早く女の口を塞ぎ、動きを封じて家の中へ押し入った。中に入ってすぐ、暴れる女の腕と足をロープで縛り、ベッドに寝かせ、馬乗りになり押さえつける。

「だ、誰なの!?」

 女は震えた声で言った。

「あんたウィッチだろ?」

 女は何か悟ったように必死に首を横に振った。

「ち、違う! そんなの知らない!」

 私は女の携帯をカバンから取り出し、アプリを開き女に見せつけた。

「これ、何て書いてある?」

 女は唇をガタガタと震わせ小さな声で答えた。

「ウィッチ……」

「葵のこと覚えてる?」

「あ、葵? だ、誰?」

「あんたが執拗に嫌がらせを続けたせいで、自殺に追い込まれた哀れな私の友だよ」

 女の額に汗がにじむ。

「あんたが葵に送ったメール、忘れたってんなら教えてやるよ。偽善者、ボランティアアピールうざいんだけど、そんなにボランティアしたいならやりたい男たちの性処理機になって世の中の女性を守ってよ。性処理機になれ。住所公開しろ。性処理機になれ。住所言え! 住所言え! 住所――」

「やめてー! ごめんなさい! 私が悪かったわ! ほんの出来心だったの……」

 女はぼろぼろと涙を流し懇願した。

「ほんの出来心。みんなそう言うんだよ。自分の憂さ晴らしのためなら相手の気持ちなんて何ひとつ考えない。そんなろくでもない奴がこの世の中には山のようにいる。その中のひとりがあんただ。そして運悪くあんたみたいなクソ女に見つかってしまったのが葵。あんたは誰でもよかったんだろ。気持ちよく暴言吐かせてくれる奴ならさ」

 女は息を荒げ、涙を流しガタガタと震えている。

「さあ、話は終わり。地獄へ堕ちな」

 女の顔にクッションを押し付け、もがく女の胸に何度も包丁を突き刺した。女が動かなくなるまで何度も何度も。それからは前回と同じく、テーブルの上に「ルチフェル」と書いたメモを置き、その横に血だらけの包丁を突き刺した女の携帯を置いた。

 これで二人目、私の心は少しも晴れない。あと一人、次で復讐は終わる。それでもきっと心が晴れることはないだろう。そんなことはわかっている。それでもやらなければならない。心の奥底の方から誰かがそう叫んでいる気がした。

 私は自宅に帰り、深い眠りについた。

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