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本日2話投稿しております。
妹の再勉強が始まってから、妹と夕食の後お茶を毎日しながら勉強の進み具合や、色々なことを話す時間を作った。今まで、妹が私の部屋に来るときや、婚約者を交えてのお茶会などで話すことはあっても、2人っきりでゆっくり話す時間は、なかったことに気づく。
父と妹の仲に線を引いていたのは私の方だったのかもしれない。
「ミシェル、ラヴァル家にお手紙を送ったと聞いたけど…」
「そうなの、お勉強していたらなんとなく知ってる様なことが多くて…よく考えたら全部、お義母様が教えて下さったことばかりだったの」
「そう、夫人が」
「それを思い出して、今まで私の為に沢山のことを教えて下さったのに、なんて馬鹿なことをしてしまったのだろうと思って、お詫びのお手紙を出したのよ」
「そうだったのね、週末ラヴァル家の皆様がいらっしゃるわ。ミシェルが反省して、ジェレミー様ともう一度婚約したいなら、話し合いでお願いしてみましょうか?」
そう、私は1年足らずしか婚約していなかったから、解消になってもそんなにショックではないが、妹は10年、ジェレミー様と一緒に居たのだ、気持ちの整理にも時間がかかるだろう。そう思って聞いてみたのだが…。
「うーん。ジェレミーはね、今思うと婚約者と言うより、お兄様みたいな存在だったの。ジェレミーに見つめられるより、ダニエル様に見つめられた方がドキドキしたもの」
「え?ダニエル様のこと好きだったの?」
「2人でお話してると楽しくて、ダニエル様も優しかったし、ジッと見つめられたらドキドキしたわ」
「そうだったのね…」
「でも今は大っ嫌いよ、あんな人。婚約者のことを、お姉様のことを悪く言う人なんて最低よ」
あっ、そうなのね。本気で恋していたのなら、次の婚約者はどうしようかと思っていたけど、ジェレミー様はお兄様、まさかダニエル様に恋心!?と思ったら大嫌いですか…。まぁどちらにせよ、妹が傷ついていなくて良かった。
「お姉様、今まで本当に我儘を沢山言って、お姉様の婚約を駄目にして申し訳ありませんでした。今更遅いでしょうが、お勉強をしっかりして、私が家を出ていくまで、お姉様のお手伝いさせて下さい。お願いします」
「ミシェル…ありがとう。お手伝いよろしくね」
「はい、お姉様」
2人で笑って、その日のお茶の時間は終わった。このお茶の時間は続けていけたら良いな。
いよいよ今日は、ラヴァル家当主夫妻とジェレミー様がいらっしゃる日です。どんな話し合いの内容になるのか、父は手紙のやり取りである程度まで終わっていると言ってましたが、どうなるのでしょうか。そして私の部屋にミシェルが居て、張り切って私のドレスを選んでいます。
「ミシェル、今日は話し合いだからシックなドレスを着る予定なのよ」
「お姉様、シックと地味は違うのよ。ドレス選びは任せて、他の準備の確認をしていてくださいな」
侍女のサリーも一緒になって張り切っているので、止められそうにない。確かにまだ、最終確認などすることはあるので、妹に任せて他のことをする。
そして準備も完璧、妹の選んだドレスを着て、ラヴァル家当主夫妻、ジェレミー様を出迎える。応接室へ案内して、妹がラヴァル家の3人に謝罪してこれから、契約のお話をというところで。
「ねぇ、今から契約のお話をするのでしょう?そんなお話は殿方に任せて、私達はお茶でもしながらのんびり待ちましょうよ。ね、ミシェル」
「はい、お義母様。では、お庭を見ながらお茶いたしましょう。お姉様、行きましょう」
「え、えぇ。では、ご案内いたします」
驚いたことに私達が庭に着くと、すでにお茶会のセットが出来ていた。家の使用人たちの、仕事ぶりが凄すぎる。そうして始まったお茶会だが、まずは妹の成長を喜んでいただいたり、私の誕生日の立ち回りも褒めてもらえたり、その他のお話も大変楽しく、夫人は私が思い描いていた理想のお母様そのもので、楽しい時間を過ごせた。
「あっジェレミーが来たわ」
「僕も追い出されてしまったよ、ちょっと仲間に入れてもらおうと思って来たんだけど良いかな?」
「もちろんです、ジェレミー様」
一つ空いていた椅子に座りかけたジェレミー様に、夫人が声をかけます。
「あらジェレミー、あなたアネットに渡したハーブの様子が気になるって言ってなかったかしら?お庭に居るのだし見せていただいたら?」
「あぁ、向こうでもお茶をいただいてたからそうしようかな、アネット嬢、案内してもらっても良い?」
「はい、少し歩きますが大丈夫ですか?」
「うん大丈夫だよ。じゃあ行って来るね」
ジェレミー様を、新しく造ったハーブ園へ案内します。本当に沢山の種類をいただけたので、ハーブティーにしたり、サシェを作ったり、たまに料理人が料理やお菓子に入れたり、いただいたハーブは色んな物に使わせていただいてるなど、話をしながら歩いていきます。
「アネット嬢、ハーブも見たかったんだけど、アネット嬢をエスコートして歩きたかったんだ」
「歩きたかった?エスコートしてですか?」
「うん。僕は、アネット嬢が好きです。婚約者候補に僕を入れて下さい」
突然のジェレミー様の言葉に、驚いて何も言えないでいると。
「あっ、僕を選ばなかったからといって、ジファール家が不利になることはないから。今日の契約の話は、僕の気持ちとは関係なく結ばれているから、そこは気にしないで」
「あっ、はい」
「だから、すぐに返事は無理でも、僕のことを候補にしてください。候補も…ダメ…かな?」
「いえ、今まで考えたことが無かったので、すぐに返事は出来ませんが、きちんと考えます」
そう答えるとジェレミー様は私の手を両手でギュっと握って、『良かった』と嬉しそうに笑っています。こんな風に男性に好意を告げられたのは初めてだったので、ドキドキしすぎて自分が、どんな顔をしているのよくわからなくなって、その後ハーブ園に着いたのですが何を話したかあまり覚えていません。
お茶会をしている場所に戻った時に、妹がニコニコしていたので、多分ジェレミー様と2人になることは、初めから仕組まれていたのでしょう。
その日、ラヴァル家の皆様が帰った後も、夕飯の時も、妹とのお茶の時間も今日は断り部屋で1人になっても、ジェレミー様の笑顔が頭から離れず、就寝の時間になっても中々眠れませんでした。
悩んでいる私を見て、朝食の後お父様は、私宛に届いている釣書を『アネット自身でゆっくり考えて選びなさい』と渡して下さいました。その釣書を妹が見ながら、騎士爵をお持ちの方の釣書を見て、言ってきます。
「お姉様!この釣書の方とジェレミー、とりかえっこしましょう」
「あなたの婚約者は、もうジェレミー様ではないでしょう?それはとりかえっこにならないわ」
「この方凄く素敵なのにー。お父様ー」
お父様にお願いしに行く妹の声、お父様の困った声を聞きながら、婚約者選びはもうちょっと、じっくり考えてからにしようと思います。
だって、家族3人の時間をもう少し楽しみたいんですもの。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
新しい連載、『好きなものは、なんですか?』も、よろしくお願いします。




