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ソフィア1

本編終了後のソフィア達。

ソフィア視点。


 ――今、ソフィア達は新天地・ザハル帝国で生活している。


あれからリシャール王国を出国したわたくし達は、到着した港から砂漠に向かって馬車を走らせ、砂漠からは徒歩で一週間かけて進み、ようやくザハル帝国へ辿り着いた。

砂漠の先にあるオアシスといっていいほど、大国だった。


白亜と青で構成された建築物はどれも美しく、下町でも皆、笑顔で活発的だった。

見慣れない風貌のわたくし達の事も歓迎してくれ、帝都に到着して三日間は宿暮らしだったが、四日目には中古だが住居も見つかった。


当面の生活は出来るくらいの金は持っているが、それでも仕事を見つけなければ・・・と思っていると、父は軍人らしく身体を使う仕事が出来るので、早速帝都の警備隊に突撃し、すぐさま入団試験を受けたらしい。

どうやら警備隊も驚く程の力強さで八人抜きしたとか。

その事を夕食の時に笑いながら話すので、わたくしとノエは唖然としてしまった。

なんとも豪快な人だわ。


そんな父に負けていられない、とばかりに翌朝、今度はノエが早々に家を出ていき、昼過ぎに帰宅したかと思えば仕事が決まった、と。

帝都の図書館で司書の仕事が決まったらしい。

司書は文字も読めて、処理能力が高くなければなれない筈だが・・・まあそんな事は王国で宰相をやっていたノエからしてみれば簡単な仕事だった。


二人ともさっさと自分の仕事を見つけてきて、わたくしも何かしなければいけない・・・と思って意気込んでいたのだが、ノエに却下されてしまった。



「あなたはこの家で私と義父上の帰りを待っていてくれないか?それに、ルアンドとジョアンもまだ小さい。この国の生活に慣れるまでは私も心配なんだよ」



そう言われてしまえばどうしようもない。

仕方なく家で待つ事にしたが、使用人もいない今、料理も洗濯も掃除も、自分がしなければいけない事に気付いて、これは仕事どころではないと思った。

元々が公爵家の令嬢なので、家事など一つもやった事がないのだ。


悩みに悩んで、片手にジョアンを抱え、もう片手でルアンドの手を引いてお隣さんのお宅に突撃した。


ソフィアより年の召した女性と、ソフィアと同じくらいの男性がいるお隣さんの事は、この中古の家を借りた時に目撃していたのだ。



「あの、御免ください」

「ん・・・?どうしたんだい?」



丁度訪ねた時、庭で草引きをしていた女性が、振り返った。

市井の女性らしく、金色の髪は肩までしかなく、緑色の瞳はきらきらと輝いていた。



「この度、隣に越してきた者なのですけど・・・その突然で申し訳ないのですがお願いがありまして・・・」

「ああ!お隣さんの!どうしたんだい?何か困った事でも?」



女性は、わたくしが連れている子供達を見て、にっこりと笑った。

その笑顔に安堵して、わたくしはあるお願いをする。



「その・・・わたくしに家事を教えていただけませんか!?」



突拍子もないそのお願いに、女性は一瞬間を置いて、そして豪快に笑い、快諾してくれた。

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