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レリーナ3

レリーナ視点。



「ねえなんとか言ってよ!意味が分からないわ・・・私はあなたと結婚するんじゃなかったの・・・!?」

「・・・それは出来ない」

「どうして!?奥さんと離婚出来たのでしょう?だったら私と結婚出来るじゃない!?それがどうして私が修道院になんか行く話になってるのよ!」



本当に意味が分からないわ!

彼に詰め寄ろうとすると、衛兵が私の前に立ちはだかる。



「あなた達、邪魔よ!私は彼に聞いてるの!」

「レリーナ・・・!陛下の御前だぞ・・・!」

「お父様も黙って!私はこの国の王様と結婚するの!」

「それは出来ん!」

「どうしてよ!?」

「・・・本当に分からんのか・・・」



お父様にも止められ、腹が立つわ!

どうして皆、分かってくれないのよ!


頭を掻き毟りたくなる衝動を必死で抑えながら彼を見つめる。



「レリーナ・バローナム。私はあなたと出会って恋をした、それは確かだ。王妃と離婚してそなたと婚姻を結ぼうと思っていた。だが・・・そなたには私だけではなかっただろう?」

「な、何を・・・」

「グイード・ヘンシー」

「!」



いきなり聞いた事のある名前を口に出され、思わず息を吞んだ。

どうして・・・



「ヴィクトル・ランセル。アルト・ジェラルド。聞き覚えは?」

「・・・・・・っ」



どうしてその名前を知っているの・・・?

その名前は、私と仲良くしていた男達の名前だわ・・・



「そなたは一人の男では満足いかないらしい。初めてそなたと出会った時、国王である私に対して物怖じしないその態度に驚き、そして嬉々としたものだ。その無邪気さに惹かれたのも認めよう。私だけを愛するなら、とも思った。だが・・・そうでないのなら話は変わってくる」

「!!」

「一国の王妃たる者に、数知れぬ男の噂があるのなら婚姻してもそなたを外に出す事は出来ぬ。それは国の恥となる」



国の恥、とまで言われて私はカッとなった。

さっきまで出てきた男の名前だって、少し遊んだだけの男達だわ。



「王妃になるにはお友達と遊ぶ事も許されないって言うの!?」

「・・・身体の関係を持った相手を友と呼ぶのなら尚更だな・・・」

「ひっ・・・!」



なんで。

なんでそこまで知っているの・・・!?


恐ろしいものを見る目で彼を見上げると、その隣のおじさんがまた話し始めた。



「国王が結婚する相手の事について調べるのは当然であろう。前王妃様は、幼少の頃より私生活の全てを管理されて過ごされてきた。学院でも誰と交流を持っているか、お茶会でどのような事をして、どのような事を話していたか、外交に出ても自由はなかっただろう。常に王家の影が見て、全ては亡き国王陛下と王妃陛下に報告されておった。だがそれは、一国の王妃となるなら当然の事で、前王妃様も甘んじて受け入れておられた」



王家の影、ですって・・・?

じゃあ私の今までの行動の全て・・・


怖くなって思わず身震いした。

何なのよ・・・!



「陛下と婚姻したいのであれば、もう少し身持ちを良くした方が良かったであろうな。絶対的に純潔を求めるわけではないが、純潔性の欠片もない程、異性と関係を結び過ぎたそなたを王妃にする事は不可能である・・・その腹に誰の子か分からぬものを孕み、それを王族と認めるわけにもいかぬ」



なんで・・・どうしてこうなったの・・・

私はただ・・・



「私は・・・王妃様になりたかっただけなのに・・・」

「レリーナ・・・」



思わず足の力が抜けて、膝から崩れ落ちる。



「私は子爵家なんかじゃ満足いかなかったわ・・・平民のお母様は子爵家で満足したかもしれないけど、私はもっと上の貴族になりたいのよ・・・!」

「・・・?何を言っているんだ、レリーナ・・・?」

「お母様もなんで子爵のお父様と結婚したのかしら・・・市井での生活で今みたいな生活は出来なかったからどうも言えないけど、それでも綺麗だったわ。あれなら伯爵家の息子くらい掴まえて、伯爵夫人にでもなれたのに」

「・・・レリーナ?」



私がぶつぶつ言っている隣で、お父様は何かに動揺したかのようにうろたえている。



 ――バローナム子爵は、オレリアンとドローシア伯爵を見上げた。



これは一体どういう事なのだろうかと。

レリーナは、何か勘違いしている。

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