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15(終)


 ――それから。


数日の内に、元王妃・ソフィアは子供達と共に王城を後にした。

一旦は公爵家に戻る為、馬車が用意されていたのだが、公爵家までの道のりは厳重な警護を布かれた。

そして、その日の内に宰相・ノエも辞職する。


ソフィアはリシャール王国で過ごす予定の残り数日内で、これまで付き合いのあった貴族達と別れの挨拶に追われていたが、する事のない父は孫達と毎日楽しそうに過ごしていた。

ノエは、辞職を決めた時点である程度の事は済ませていたので、ローレン伯爵家にて、国外へ出る準備をしている。



「――ようやく、ここまで来たね」



リシャール王国で過ごす、最後の日。

ヴォルフレー公爵家のサロンで、ソフィアとノエは久方振りに顔を合わせていた。

ノエは、このまま公爵家で一晩過ごし、明日、皆でリシャール王国を離れる事となっている。



「明日の午前中にはテロム港に向かい、それから出港する予定だったわね。外交でも他国に行った事はあるし、今更だけど・・・初めて海を渡るわけでもないのに緊張するわ」

「子供達の様子はどう?」

「あの子達ったら・・・まるで冒険に行くかのように毎日お父様と野営ごっこをしているのよ。さすがにジョアンは乳母が抱えているけれど。公爵家の庭にテントが立った時は思わず倒れてしまいそうになったわ」



あれから、正式に婚姻宣誓書をシュットフェル教会に提出して認められた二人は夫婦となっている。

王子であったルアンドとジョアンは、ソフィアとノエの息子となり、ロルフはノエの義父となった。

戸籍が変わった事など、詳しい事は分からずとも、賢いルアンドは何となく理解しているようだ。

ノエの事も、さすがに父とは呼ばずとも慕っているようだ。

そしてソフィアとノエも、まずは話し方から変えてみる事にした。



「閣下も孫と過ごされるのが楽しくて仕方がないのだろう」

「"義父上"、ね」

「そうだった」



くすくすと二人で笑い合っていると、サロンの入口が騒がしくなった。



「ああ、ほら。またお父様が二人を振り回しているわ・・・」

「本当だ。まあ楽しそうだからいいんじゃないか?」



ソフィアが片手で頭を押さえた時、ルアンドの元気な声が聞こえた。



「今日の晩餐は普段より豪華にするって料理長が言っていたからね、ルアンドも楽しみなんだろう。さすがに今夜はテントを見る事もないだろう」

「ノエったら。あなたまでお父様に影響されないでよ?」

「どうかな?」

「もう・・・」



「おかあさまー!ノエー!じいさまがきょうはおそとでおにくだって!!」

「やらないわよ!?」



思わず叫んだソフィアに、ノエは声をあげて笑った。

ルアンドが楽しそうなので、小さな子供に弱いこの屋敷の者達の事だ、今日の晩餐は外で食べられるように張り切る事になるのだろう。

屋敷で働く者達とは今日で最後だが、皆の中で良い思い出になる。


オレリアンが離縁を言い出さなければ。

未だ、王妃でいただろう。

それはそれで苦にはならなかっただろうが。

こんな風に、笑って、怒って、泣いて。

そんな感情は表に出せなかっただろう。


ふと、目の前の人を見る。

そして思った。

この人と歩む人生なら、苦楽も苦じゃない、と。





離縁ですか?良くってよ。

ご拝読、有難うございました。


ソフィアとノエは無事、再婚でき、明日からは新天地ザハル帝国へ向かいます。

破天荒な父と、わんぱくな息子達。

平民になってもこのアクの強いメンバーでならなんとでもなりそうです。


明日より番外編という事で、オルレアン編から短編更新いたします。


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