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Cafe Shelly

Cafe Shelly マスター

作者: 日向ひなた

 この喫茶店を開店してから、何人のお客様が訪れてくれただろう。そして、何杯のコーヒーを淹れてきただろう。

 お客様にとっては、単なる時間つぶしで来られたのかもしれない。けれど、私はどのお客様に対しても、その人の幸せを願いながらコーヒーを淹れてきた。もしかしたら、私の淹れたコーヒーで一生が変わるかもしれないから。

 このお店、カフェ・シェリーをやってきて本当によかった。そのことをあらためて感じている。けれど、心の奥で何かがうずいている。この感覚は何なのだろう?

 それを確かめたいのだが、残念なことに私には魔法が効かない。

 魔法、それは私の淹れたコーヒー、シェリー・ブレンドを飲んだ人に起こる不思議な現象。このコーヒーは飲んだ人が今欲しいと思っている味がする。甘い生活を送りたいと思っている人には甘く、もっと自分に厳しくしたいと思っている人には苦味が強く。でもそれだけではない、人によっては欲しいと思っている自分の姿がイメージとして浮かんでくるという。

 そのおかげで、今までたくさんのお客様の人生に関わってきた。恋愛、ビジネス、親子関係などなど。けれど、私自身にはその魔法が効かない。だから、私は今悩んでいる。

「おはよー」

 朝6時、妻が起きてくる。私はそれよりも早い時間に起きて、日課であるジョギングを済ませている。妻は私よりも二十歳も若い。それだけに、眠る時間も長いようだ。四十歳半ばになると、なぜだか睡眠時間はそれほどいらなくなる。むしろ、早起きして活動したほうが一日の流れがスムーズだ。

 なので、私はジョギングともう一つ、とあることを始めた。それが小説である。

「今日も書けた?」

 妻は寝ぼけ眼で私にそう言ってくる。

「あぁ、今日の分はこれ」

 小説と言っても、一気にたくさんは書けない。なので、毎日五百文字ずつ書き溜めるようにした。そして一ヶ月で一話完結という短編小説になる。

「うん、大丈夫かな。今回の主人公って、恋愛に悩んでいたお客さんがモデルでしょ。確か、告白はしたけれどフラレちゃったんだよね。これ、どんなオチにするの?」

 私が書いている小説、それは私がマスターとして体験した、数々のお客様がモデルとなっている。みんなシェリー・ブレンドの魔法で何か行動を起こした人だ。今回は恋愛がテーマで書いているのだが、ハッピーエンドでは終わらない場合だってある。それを物語上どう収拾つけるかが小説家としての腕の見せどころだ。

 小説家、なんてかっこよく振る舞っているが、あくまで趣味で書いているだけのこと。けれど、自分ではおもしろいと思って取り組んでいる。

 書いた小説はブログで毎日アップしている。読者はそれほど多くはないけれど、毎日読んでくれる人がいる。そう思うだけでなんだか楽しくなってくる。

 そして今日も、いつものように妻と一緒に喫茶店へ向かう。モーニングセットをやっているので、7時にはお店に入る。開店準備ができると、常連客がいつものようにやってくる。こうして私の一日は始まる。

「今日もたくさんの人がやってきたな。特に、羽賀さんが連れてきたお客様は顔が晴れ晴れとして帰っていったのが印象的だったな」

「そうね、あのお客さん、事業のことで悩んでいたみたいだから。今まで自分の目的を見失っていたのを、シェリー・ブレンドが気づかせてくれたのがすごかったね」

 午後7時、お店を締めた後に片付けながら妻と簡単に一日を振り返る。特に印象深かったお客様の話になる。

 喫茶店の売上は、二人がほそぼそと暮らしていくには丁度いい程度のもの。別に裕福な暮らしをしようとは思っていない。けれど、将来のことを考えると、もう少し貯金が欲しいところではある。

 そんな毎日を過ごしている私に、突然一通のメールが届いた。

「いつも小説を拝読しています。喫茶店のお話、とてもおもしろくて毎日読ませていただいています」

 うれしいな。こんな反応があったのは初めてだ。こういうファンレターが届くと、さらに書こうという気持ちになれる。だが、問題はここから先である。

「実は、私はとある出版社の編集を行っています。この小説を企画会議にあげさせてもらってもよろしいでしょうか?」

 企画会議?つまり、私の書いたものが本になるということなのか?

「つきましては、一度お電話でお話をさせていただければと思っております。連絡先を教えていただけると幸いです」

 さて、ちょっと困った。これが本当の話であれば、一も二もなく連絡先を伝えるところなのだが。もしかしたら詐欺かもしれない。私の個人情報を盗むだけでなく、悪用される危険性もある。果たしてここに踏み込むべきなのか。

 一応、メールの署名欄には相手の出版社と連絡先は書かれてある。こちらから電話をしてみるべきか。いや、その前にこの連絡先が正しいのかを調べてみよう。もしかしたら架空のものかもしれないし。

 ネットで検索をすると、その出版社は存在した。

「聞いたことがない出版社だな…」

 あとはメールを送った当人が存在するか、だ。一応電話をしてみるとするか。

「わざわざお電話いただきありがとうございます。私がメールを送らせていただいた梶原といいます」

 なんと、驚いたことに電話に出たのが当人であった。

「メールで書かせていただいたとおり、ブログで書いている小説をぜひ本にしてみたいと思いまして。それで我社の企画会議にあげさせていただけないかと思いまして」

「その企画会議が通れば、どのようになるのですか?」

「もちろん、これが本になります。あ、これは自費出版ではありませんので、費用は全部弊社が持つことになります。ただし、私の目線で修正させていただく箇所が出てくるかもしれません。また、場合によっては一部書き直しをしていただくかもしれません」

 修正というのはわかる。誤字脱字などは妻の目線でしかやっていないためだ。けれど書き直し、というのはちょっと抵抗がある。

「どんな場合に書き直しすることがあるのですか?」

「ストーリー自体を書き直すことはないのですが。例えば小説の中に出てくる人物や会社の名前などです。あらぬ誤解を生じないためです」

 その程度なら大丈夫かな。

「わかりました。ではよろしくお願いします」

 電話を切った後、急に胸が高まった。私が書いた小説が本になる。これは私が昔から憧れていた作家の世界に足を踏み入れるということになるのだ。

 喫茶店のマスターになったのは、私の夢の一つだった。私はコーヒーが好きで、ずっとこだわりを持っていた。そのこだわりを皆さんにも味わってもらいたい。そう思って学校の先生を辞めて始めたのだが、魔法のコーヒーと出会い、それを多くの人にふるまうことで人の人生を変えることができた。

 そこで、人の喜びが自分の喜びに変わるということをたくさん体験させてもらった。けれど、胸の奥にちょっとしたモヤモヤが生まれていたのは確かである。そのモヤモヤは嫉妬。シェリー・ブレンドの魔法で多くの人が幸せになってきたのを目にしたが、私にはその魔法は効かない。私にも魔法が効けば、また別の人生が開けるかもしれない。そう思い始めていた。

 けれど、何度自分で淹れたシェリー・ブレンドを飲んでも、ただの美味しいコーヒーでしかない。これが悔しくて仕方なかった。

 その悔しさを私は小説の世界にぶつけていた。いつか自分も、そう願いながら書いていたのが小説「マスター」である。

「私の書いたものが本になるかもしれないのか…」

 今、私のブログはペンネームで書いている。これはそのまま継続していこう。できれば、世間には私が書いているということを知られないほうがいいかな。そうでないと、私は今まで通りの喫茶店のマスターとしての仕事を行うことができなくなる。中には、自分のことを書かれるんじゃないかって警戒されてしまうかもしれない。

 今まで書いた小説は、お客様のエピソードを原案として入るが、そのものズバリを書いてきたわけではない。それとなくぼかして、さらに脚色を加えて書いているので、当の本人が読んでも「似たような人がいるのね」くらいにしか思われないだろう。

 まぁ、私としては今まで通りの生活を続けるだけだ。何も変わることはない。

 だが、この予想は大きく裏切られた。

 それから一週間後、例の編集者から企画が通ったという連絡を受けた。そこで私は一つの条件を出した。これは、作者が私であるということを絶対に知られないようにして欲しい、というものだ。そこは了承してもらった上で、今まで書き溜めた中の中から4作品を抜粋。そして推敲して、あれよあれよという間に本ができあがった。

 そしていよいよ書店に並ぶ。

「まさか、こんな形で自分の本が本屋の本棚に並ぶとはね」

 残念ながら、小さな出版社から出された、しかも無名の新人の本なので、平積みというわけにはいかない。たくさんある小説の中の一冊として、私の本が本屋の本棚に並んだ。けれど、それはとてもうれしいこと。自分が今まで生きてきた証が、こうやって世間の方々に目にとまるようなものになったのだから。

 正直なところ、初版の三千部が完売すればいいという程度だろう。印税も大した額にはならない。けれど、お金では得られない満足感を今味わうことができている。

 とりあえず、私のブログでも小説が出版されたことを宣伝しておこう。ほんのわずかしかいない読者ではあるけれど、少しは売上の足しになるだろう。

 ところが、である。私がブログで宣伝をした三日後に、出版社から電話があった。

「おどろきました。初版すべて売り切れました。重版をかけることになりました。今度は一気に五千部です!」

 えっ、一体何が起きたんだ? あわてて自分の書いた本のタイトル「マスター」で検索をかけてみる。するとその謎が解けた。なんと私の今までのブログの読者に、著名な芸能人がいたのだ。これは今まで知らなかったことだった。

 その芸能人が、自分のブログとツイッターで私の小説「マスター」をべた褒めしてくれていた。これがきっかけで本が爆発的に売れたのだ。

「マスター、あの小説知ってる?」

 お店で常連客の文具屋の加藤さんがお店に入ってくるなりそう言ってくる。

「どの小説ですか?」

「またまたー。本好きのマスターが知らないわけないでしょう。タイトルはズバリ『マスター』ですよ。まさにこのカフェ・シェリーのマスターが主人公のような小説ですよ。いやぁ、あの話は感動したね」

「どの話ですか?」

「バツイチの幼馴染の女性に、クリスマスの日にプロポーズするって話。まさにオレのことを言っているみたいでさ。思わず涙しちゃったよ」

 ははは、あの話はまさに加藤さんのところをモデルにして書いた話だったな。まさか自分のことを書かれているとは、当の本人は気づいていないようだ。大筋は加藤さんのエピソードを原案にしているけれど、細かいシチュエーションが違うから自分のこととは思っていないようだ。

「あの本は読みましたよ。私もあんな感じのマスターになりたいものですね」

「いやいや、マスターはすでにその域を超えているよ。なにしろシェリー・ブレンドの魔法があるからね」

 私の小説の中では、シェリー・ブレンドの代わりに喫茶店のマスターとの会話で自分のやりたいことや本音に気付いていくという話にしている。ここは羽賀さんから教わったコーチングが活かされている。この会話が、推理小説で探偵が犯人をつきとめるかのような流れになっていておもしろい、というのが多くの方の書評として言われているようだ。

「小説『マスター』、とても人気が出て、すぐにでも第二弾を出さないかという話がでているんですよ」

 私の担当になった編集者から、こんな電話を受けた。まぁ、今まで書き溜めていたものから抜粋して本にするのはそれほど苦ではない。が、編集者がこんなことを言ってきた。

「それと、ぜひ一作は書き下ろしでお願いできないかと」

「書き下ろし、ですか?」

 つまり、新作を出せということだ。そうなると話は変わってくる。私は毎朝ブログで書くからこそ、趣味としてゆっくり取り組んでいくことができたのだが。書き下ろしとなると、そこに向かう時間が必要となる。

「それって締切はいつなんですか?」

「遅くとも一ヶ月以内には」

 一ヶ月か。そうすると、いつもと同じように書いていけばいいんだよな。それならできるかもしれない。

 だが、いつも書いているブログ形式の小説と違って意識して作品を書こうとすると、なかなか筆が進まない。

「みんなが読んでくれているんだ。たくさんの人が私の作品に注目するんだ」

 そう思うと、今までなかった緊張感が私を襲ってくる。

 私の小説が発行されてから、出版社の意向で私が日頃書いている小説ブログはストップさせられている。というのも、今後作品として出版する可能性があるかもしれないから。さらに、本になった作品はブログから削除させられた。できれば今後出版する可能性があるため、今までの作品を全てブログから削除して欲しいと言われたのだが。これはなんとか免除させてもらった。

 だが、作品が思わぬ形で世に広がってしまったため、私のブログの訪問件数も桁違いに上がってしまった。そうなると、ファンも増えるが逆に私の揚げ足を取るような人も出てくるようになった。

「まただ…」

 ブログのコメント欄に、私の作品を罵倒するようなことを書いてくる人がいる。こういったものは気にしないようにするべきなのだろう。が、一度目に触れるとどうしても頭に残ってしまう。これが新しい作品を書けない原因の一つであることは間違いない。

「さて、どうしよう…」

 これが作家のスランプというやつか。今までそんなこと感じたこともなかったのに。急に不安が襲ってきた。さらに、書けない日が続いたせいで、そのノルマが徐々に増えてくる。こんなことが半月も続いてしまった。

「マスター、なんか最近元気が無いようだけど。なにかあったの?」

 常連客の加藤さんからそんなことを言われるまでになってしまった。加藤さんだけではない、羽賀さんや他の常連客からも同じような言葉をかけられる。まさか、小説の新作が書けないからとは言えない。いや、もうここで実は私があの小説「マスター」の作者だとばらしてしまおうかとも考えた。

 けれど、今のこの生活を壊すことになりかねない。私はこの喫茶店カフェ・シェリーはお客様がゆっくりと過ごすための空間としておきたいという気持ちがある。もし私が小説「マスター」の作者だとわかると、私を目的として訪れるお客さんが増えてしまうだろう。そうすると、せっかく安らぎを求めてきたお客様の邪魔をしてしまうことになる。

 こんなとき、シェリー・ブレンドの魔法が私にも効果があれば。だれか、私以外の人がこの魔法を使えないものか。

 やはり、一人で解決するしかないのか。さて、どうするかな。

 そうやって悩んでいる時に、一人のお客様がカフェ・シェリーへと足を運んでくれた。

「こんにちは、今日はマスターを尋ねてきました」

「それは光栄ですね。ありがとうございます」

 一瞬ドキッとした。私を尋ねてきた、ということで私が小説「マスター」の作者だとバレてやってきたのかと思ってしまった。しかしそれは杞憂であった。

「実は私、西脇さんのところによく通っていまして。そこでマスターのコーヒーのことを聞いてきたんです。なんでもすごい味を出すとか。でも、具体的にどんな味なのか教えてくれないんですよ。飲んでからのお楽しみということで。それで今日ここにやってきたんです」

 なるほど、私のコーヒーの師匠でもある西脇さんからシェリー・ブレンドのことを聞いてきたのか。

「ははは、西脇さんも意地悪な人だな。でも、たしかに西脇さんの焙煎した豆で淹れるコーヒー、シェリー・ブレンドは一言では言えない味だとは思います」

「じゃぁ、早速そのシェリー・ブレンドをいただけますか?」

「かしこまりました」

 私はいつものようにシェリー・ブレンドを淹れる。

「おまたせしました。シェリー・ブレンドです」

 さて、この人はどんな味を体験するのだろう。

「お味はいかがでしたか?」

「いや、不思議な味ですね。これ、西脇さんの所の豆を使っているのでしょう?何度もこの豆でコーヒーを味わったのに、こんなに味に変化が出るなんて」

「どんな変化だったのですか?」

「最初はいつもの西脇さんのコーヒーと同じ味だったんです。ところが突然、まったく違うコーヒーを飲んでいる感覚に襲われました。その味がまた、私にぴったりの味だったんです。今を上回る味、それが私に心地よさを与えてくれました」

 そこから話がはずんだ。今回のお客様、靖雄さんはフリーのルポライター。しかし、別の生き方を探っていることに気づいたようだ。靖雄さんは私を「神の手を持つ人」と言ってくれた。神の手なんて言われると気恥ずかしいが、シェリー・ブレンドの魔法は私でなければ使えないのは確かである。

 話の流れで、私自身にシェリー・ブレンドの魔法が効かないことを伝えた。ここで一つ、賭けをしてみたいとひらめいた。

「そういえば靖雄さんは西脇さんのところに通っているっておっしゃっていましたよね。ということはかなりのコーヒー通だとお見受けしましたが」

「まぁ、コーヒーについてはかなりこだわりを持っているのは確かです」

「もしよろしければ、一度シェリー・ブレンドを淹れてみませんか?」

 私の賭けとは、この靖雄さんにシェリー・ブレンドの魔法が使えるかどうかを試してみることである。これは単なる直感。私は今まで人に明け渡したことがないこのカウンターの内側を彼に譲る。

 靖雄さん、コーヒー通だけあってなかなか手際の良いしぐさでコーヒーを淹れていく。そうしてシェリー・ブレンドができあがった。

「おまたせしました。シェリー・ブレンドです」

 なかなか様になっているな。どれどれ、早速その香りを楽しむ。ん、いつも私が淹れているものとは少し違う気がする。これは期待できるかも。しっかりと味を確認する。私が自分で淹れたものとは少し風味が違う気がする。おいしい、けれど何かが足りない。残念ながら魔法というものを体験するほどの味ではない。

 これは西脇さんが淹れたものと同じような味だ。やはりあの人のところに通っているだけはあるな。

「うん、おいしい。さすが、西脇さんのところに通っているだけありますね。あの人と同じような味がします」

「やはりダメでしたか。私はマスターのような神の手を持っていないってことか」

 靖雄さん、落胆の表情を浮かべている。

 私と靖雄さんの淹れ方の違い。私はそこに気づいている。けれどそれを言ったところで靖雄さんがシェリー・ブレンドの魔法を使えるわけではないだろう。あれはただの気休めに過ぎない。

 が、意外にも靖雄さんはその違いに気づいたようだ。

「マスターはお湯を注ぐ時に何かつぶやいていましたよね。そこに違いがあるんじゃないかって思ったんですけど」

「あぁ、あれですね」

「あれって、なんて言っているんですか?あれが魔法の呪文のように思えるのですけど」

「私も意識して言っているわけじゃないんです。ただ、飲んだ人が幸せを感じますようにって、そう願っています」

 私と靖雄さんの違いはここだ。靖雄さんはコーヒーとだけ向き合っていた。私はむしろ、シェリー・ブレンドを飲んで頂くお客様の幸せと向き合っている。そうすると、自然と言葉が出てくる。ただし、その言葉は自分でも何と言っているのか意識をしていない。まさに魔法の呪文といってもいいだろう。

 靖雄さん、それから私にどうしてこのような気持ちを持ってシェリー・ブレンドを淹れるようになったのかを質問してきた。それを話すことで、私は初心に戻ることができた。そうだ、今書いている小説も同じじゃないか。

 私は多くの人を幸せに、笑顔にしたくてコーヒーを淹れてきた。小説も同じ、読んだ人がそこから勇気をもらい笑顔の生活になるヒントを与えることができれば、そんな思いで書いてきたはずだ。

 ところが今回取り組もうとしている作品は、作家として初の書き下ろしなだけに、自分を認めてもらいたい、失敗したくないという気持ちが強かった。

 もう一度初心に返ってみよう。私が伝えたかったもの、それは何なのか。みんなが笑顔で生活できる、そのための情報を小説を通じて与えることが私の使命。

 そう思った途端、アイデアが湧き出してきた。そうだ、今の自分の状況をそのまま書けばいいんだ。初心を忘れてしまったマスターが、自分のやるべきことを思い出してそこに邁進していく。そんな姿を描いてみよう。

「私、あなたのような人になりたいと思いました」

「私のような人?」

 靖雄さんが突然そう言ってきた。私のような人ってどういうことだろう。

「そう、喫茶店のマスターとして、いろんな人の幸せを願いつつコーヒーを淹れる。そんな人生です」

 私の今までやってきた生き方に共感してくれた。このとき、ひらめいたことがあった。これを靖雄さんにやらせてみるべきか、悩んでしまう。

 これでもし、靖雄さんが私の思ったような人であれば。私は靖雄さんと同じように作家として今とは別の道を歩んでいきたい。けれど、思ったような人でなければ…いや、それは考えないようにしよう。私の幸せよりも、靖雄さんが今以上の幸せを得ること、その方が大事じゃないか。

 よし、思い切ってやらせてみよう。

「靖雄さん、もう一度シェリー・ブレンドを淹れてみませんか?」

「えっ、もう一度?」

「はい。ぜひお願いします」

 私がひらめいたこと、それはもう一度靖雄さんにシェリー・ブレンドの魔法が使えるか、チャンスを与えることだった。魔法の種明かしはした。あとは運を天に任せるだけだ。

 靖雄さん、先程と同じような、いやそれよりもなめらかな手際でコーヒーを淹れていく。そして、最後のドリップのところでなにやらつぶやいているのがわかる。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

 差し出されたシェリー・ブレンド。まずは香りを楽しむ。うん、いい香りだ。

 そしていよいよコーヒーを口に含む。その瞬間、今までとは違う味がした。なんだ、この味は。今まで何百杯とこのコーヒーを味わってきたが、そのどれでもない。まさに未知の味がする。けれど、その先に光が見える。

 なんだかワクワクしてきた。胸が高まる。その胸の高まりが私の目の前に見えた光をさらに大きくしていく。まるでトンネルを抜け出るような、そんな感覚だ。

 あの光はなんだ?そう思った瞬間、私の目の前には作家として活動をしている自分の姿が見えてきた。さらにその先には、私の作品を読んで喜びを感じている多くの人達の姿が。

 そうか、私は多くの人に喜びや希望を与えていきたいんだ。それが私の喜びであり、私の成功の姿なんだ。これが私が目指す道、なりたい未来、進むべき道なんだ。

「味はどうだったでしょうか?」

 この言葉で我に返った。そうか、これがシェリー・ブレンドの魔法なんだ。私のコーヒーを飲んだ人たちは、こんな体験をしていたんだな。

 目を開けると、思わず笑みがこぼれた。

「これが、これがシェリー・ブレンドの魔法なんですね」

 初めての体験。まだ胸が高まっている。

「ど、どんな味がしたんですか?」

 私は今体験したことを素直に言葉にしてみた。私が今見た光のことを伝えながら、もう一つある想いが湧いてきた。これは靖雄さんに素直に話すべきだろう。

「これはどうしようかな、言うべきかな」

 少しもったいぶりながら、バックヤードへと向かう。

 私がバックヤードに向かったのは、パソコンを取ってくるためである。バックヤードには書きかけの、というか二行しか描いていない書き下ろしの原稿を開いたパソコンがある。それをそのまま靖雄さんに見せてみることにしたのだ。

「私、今こんなことをやっているんです」

 靖雄さんに向けてパソコンの画面を見せる。すると靖雄さん、さすがライターだけあってすぐに私の正体を理解してくれたようだ。

「そうだったんですか。いやいや、恐れ入りました。それは確かに、この道に進んでも誰も文句は言わないでしょう。いや、それどころかマスターがその道に進んでくれることを望んでいる人の方が多いと思います」

「ははは、そんなに期待されているものですかね。自分ではよくわからないのですが」

 私ってそんなに期待されているのか。まぁ、おかげさまでこうやって書き下ろしの作品をつくるまでになったのだから。物書きでお金をいただける身分というのは、私が憧れていたものだったし。

「どうして私にマスターの正体を明かしてくれたのですか?」」

 問題はそこだ。このことを靖雄さんに伝えなければいけない。当然、靖雄さんがシェリー・ブレンドの魔法を使えることが一番の要因だ。

 だが、私の頭の中にはもう一つの決断がある。そのことを靖雄さんに伝えることにした。

「そこで私、思ったのですが。靖雄さん…」

 ここからは大きな声では言えない。まだ他の人に聞かれるわけにはいかない内容だ。靖雄さんに小声で耳打ちをする。

「私は作家一本でこれからの人生を過ごしていきたいんです。けれど、このお店をつぶすわけにはいきません。そこで靖雄さん、このお店を継いでもらえないでしょうか」

 思い切って私の決断を伝えてみた。果たして靖雄さんはどんな反応を示してくれるだろうか。

 成功哲学の祖、ナポレオン・ヒルは、鉄鋼王のアンドリュー・カーネギーから成功のノウハウをまとめて欲しいと依頼されたときに、これを無報酬でやってほしいと言われた。そのときに決断した時間は29秒だった。このときに、成功者には決断力が必要であることを悟ったという。それが名著「思考は現実化する」をつくりあげたのだ。

 靖雄さん、すぐに決断するだろうか。それとも一晩考えさせてくれと言うだろうか。いや、一週間ほど考えると言い出すかもしれない。

「いかがですか?」

 ドキドキしながら靖雄さんの言葉を待つ。さすがに複雑な表情を浮かべる。私も複雑な時を待つ。

「ぜひやらせてください」

 靖雄さんがこの答えを出すのにかかった時間は、おそらく30秒くらいではないだろうか。あのナポレオン・ヒルと同じである。このとき、私の心の中にある固まりが溶けていくような感じを受けた。と同時に、笑顔が溢れてきた。

 私の笑顔につられてか、靖雄さんも笑顔になっている。その笑顔がとてもいい表情をしている。お互いに未来を掴んだ、それを感じ取れた瞬間であった。

「靖雄さん、とてもいい笑顔をされていますよ。私がずっとそこに立って心がけていたこと、それがこの笑顔です。靖雄さんなら間違いなくできます。自信を持って下さい」

 そうだった。私は笑顔を絶やさずにカウンターに立っていた。しかし、ここ数日小説と向き合っているときには笑顔が出ていなかった。だからいいアイデアも出なかったのだ。

 よし、これで一歩前進。私の人生の転機が訪れた。こういった転機は何度目だろう。大学を出て先生になったとき、学校をやめてこの喫茶店を始めたとき、そして今。その都度、私は希望に満ち溢れていた。どれも一筋縄ではいかないことばかりではあったが、後悔はしていない。

 その後、妻に靖雄さんを紹介し、今起きたことを伝えてみた。

「すごい、すごい!」

 妻は私の決断を喜んでくれた。どうやら妻にはわかっていたようだ、私が作家の道に進みたがっていることが。それを素直に喜んでくれるところはさすがだな。

 さらに妻はこんな事を言いだした。

「ぜひ私にもシェリー・ブレンドを淹れてもらってもいいですか?」

 それはそうだろう。今まで私が淹れたシェリー・ブレンドと同じように、魔法が使えるかどうかをその舌で確認したがっているのだ。

「えっ、い、いいんですか?」

 靖雄さんはとまどっていたが、私はこくりとうなずいた。ぜひ淹れて欲しいという合図だ。

「では、お言葉に甘えて…」

 靖雄さんは先程と同じような仕草でコーヒーを淹れていく。その姿はすでにこのお店のマスターと言ってもいいほどの落ち着き方だ。

「おまたせしました。シェリー・ブレンドです」

 そのセリフ、その仕草、完全にマスターになりきっている。いや、すでにこのお店のマスターは靖雄さんなのだ。

「いただきまーす」

 妻は私が淹れたときと同じような感じでコーヒーを味わう。そして目をつぶる。これは間違いなく、魔法が効いているな。

「うん、やっぱりそうだ。この道で行くのが私の願いなんだ」

 どうやら何かを感じたようだ。

 私は妻の思いを知っている。今はこうやって喫茶店の店員として私の手伝いをしてくれているが、実は心理学をさらに勉強したいと思っている。セラピストとしても活動を行っているが、そういったスピリチュアル的なものではなくきちんとした理論に基づいたものを身につけ、多くの人の心を癒やしていきたいというのが彼女の思いだ。

 そのためには専門の勉強もしたい。けれど、私がこの喫茶店をやっている以上、自分だけここを辞めるわけにはいかないということで悩んでいたようだ。

 私が作家として一本立ちすれば、妻の思いも叶えることができる。靖雄さんがシェリー・ブレンドの魔法を使え、このお店を引き継いでくれるのであれば、私と妻の思いが両方叶う。

 その後、靖雄さんに妻を紹介したところとても驚かれた。まぁ当然だろう、これだけ歳の差があるのだから。

「マスター、今まで本当にお疲れさまでした。これからはご自分が進むべき新しい道を、思ったように進んでみて下さい」

「はい、ぜひそうさせていただきます」

 早速、新しいマスターに背中を押された感じを受けた。これなんだよ、私が目指していた世界は。私はこのカウンターに立って、多くの人の背中を押してきた。

 これで私の進む道は決まった。問題はこのお店を靖雄さんに譲ることをどこでどのようにお客様にお伝えするのか。今まで私を慕ってこの店に来てくれていた常連さんもいる。こういった方々を納得させるためにどうすればよいのか。そこが悩みどころだ。

 翌日、靖雄さんにお店の中のことを教えるために朝早くから来てもらった。まずは私がやっていることを見て覚えてもらおうと思ったのだ。なにごともお手本を示し、イメージしてもらうことから始めないといけない。

 お店ではモーニングをやっているので、その準備が大変である。モーニングといっても凝ったものは作れない。サンドイッチとサラダ程度である。

「なるほど、こんな感じなんですね。私も今までずっと独り身でしたから、その程度の調理ならできそうです。でも、他にも開店準備が必要だから、一人でできるかなぁ」

 その不安は当然のことだろう。そして準備もできたところで開店。すると、すぐに一人目の常連客のゆうちゃんがやってきた。

「おはようございまーす。あれっ、この方は?」

 すぐに靖雄さんに気づく。さて、どう紹介したらいいものか。

「おはようございます。今、マスターのもとで修行中の柏本靖雄っていいます」

「へぇ、マスター、弟子をとったんだ。ってことは、この人もシェリー・ブレンドの魔法が使えるの?」

 ゆうちゃん、興味津々に聞いてくる。そうか、今日から靖雄さんにシェリー・ブレンドを淹れてもらうようにして徐々に私自身をフェードアウトしていけばいいんだ。

「じゃぁさ、モーニングのコーヒーをシェリー・ブレンドに変えてよ。もちろん、差額は払うから」

 モーニングのコーヒーはシェリー・ブレンドではなくもう少し安いコーヒーで提供をしている。これはコストの関係もあるが、シェリー・ブレンドはゆっくりと味わってほしいので、慌ただしいモーニングの時間ではあまり出したくないというのが本音であったからだ。

「じゃぁそうしてみよう。靖雄さん、シェリー・ブレンドをお願いします」

「かしこまりました」

 靖雄さん、早速コーヒーの準備にとりかかる。私は妻を手伝うことにしてその様子をうかがうことにした。コーヒーを淹れている間も、靖雄さんはゆうちゃんと笑顔で会話をしている。なかなかいい光景じゃないか。

「お待たせしました。シェリー・ブレンドです」

 同じタイミングでモーニングセットのサンドイッチとサラダを出す。果たしてゆうちゃんの感想は如何に。

「じゃぁ、早速」

 そう言ってゆうちゃんは靖雄さんが淹れたシェリー・ブレンドを口に含む。そして目を閉じる。すると、表情が変わっていくのがわかる。なんともいえない笑顔になっている。そして目を開けて興奮して言った言葉がこれだった。

「すごいすごい、私、今これをやりたかったの。そうそう、これよ、これ」

「どんなことなのですか?」

 靖雄さんが質問をする。するとゆうちゃん、興奮したままこんなことを話してくれた。

「私、今みんなを喜ばせるために路上パフォーマンスとかやっているんだけど。でもね、一人じゃなかなか心細くて。今見えたのは仲間と一緒になって、大きな舞台に立つことだったの。そうか、仲間か。うん、仲間なのよ、今の私に必要なのは」

 ゆうちゃんは今まで一人で頑張ってきた。それは私もよく知っている。気の合う友達はいるだろうけれど、ゆうちゃんと一緒になって活動をするという人はなかなか現れない。だから、一人でやるのが当たり前になっていたようだ。そのゆうちゃんに「仲間」について気づかせたシェリー・ブレンド。やはり靖雄さんは間違いなく魔法を使えるようだ。

「では、どうやって仲間をみつけてみますか?」

「それなのよね、問題は」

 ここで私なら「その答えをシェリー・ブレンドに聞いてみては?」と問いかけるところだろう。だが靖雄さんは少し違った。

「まぁ、まずはサンドイッチでも食べてお腹を満たしてみてください。そうすると脳に血流が流れて、いいアイデアが湧いてきますよ」

 なるほど、私とはまた違うアプローチのやり方だ。ゆうちゃんはその言葉に従って、サンドイッチを口にする。すると、自然にコーヒーに手が伸びる。

「あ、そうか。なぁんだ、悩むほどのことじゃないじゃない」

 シェリー・ブレンドを飲んだとき、ゆうちゃんは明るい声でそう言った。

「何かひらめきましたか?」

「はい、めぼしい人を見つけたら、いっしょにやらないって声をかければいいんだ。あはは、簡単なことじゃない。ありがとうございます!」

 ゆうちゃんが口にしたこと、それはなんてことはないことだ。けれど悩んでいる本人にとっては大きな衝撃だったようだ。

「それはよかった。ぜひ自分がこの人と一緒にやってみたいと思ったら、そうやって声をかけてみてください。私もマスターから声をかけられたからこそ、今こうやってここに立っているんですから」

 ゆうちゃんも靖雄さんの言葉に納得したようだ。笑顔になっている。

 うん、大丈夫だ。靖雄さんに任せてみよう。私はそう決心した。

 この後もできるだけ靖雄さんにシェリー・ブレンドを淹れてもらい、私はお客さんの様子をうかがうことに専念した。常連客の中には

「あれっ、マスター交代したの?」

なんて言う人もいる。このときには冗談交じりに

「そうなんですよ。私もそろそろ引退しようかと思って」

と答えていたが、まさかそれが本当のことだとは誰も信じていないようだった。

 こうやって靖雄さんの初日が終わり、お店を閉める手順を説明しながら今日の感想を聞いてみた。

「いやぁ、とても楽しかったです。こうやってお客さんとふれあいながらも、悩みや目標を聞いたりして、それをシェリー・ブレンドが手助けをしてくれる。このやりとりが私にはとても新鮮だったし、最後にお客さんが笑顔になってくれることが一番の私の喜びだってことにも気づきました」

「私と同じですね。最後は笑顔でこのお店を出ていって、そこから一歩を踏み出してもらうことが私の生きがいでしたから。ぜひ靖雄さんにこれを受け継いでもらいたいんです」

「はい、喜んでやらせていただきます」

 うん、この様子ならこのお店を任せても大丈夫のようだ。安心して引退できる。

 翌日から、カウンターでのコーヒーを淹れる作業はすべて靖雄さんに任せるようにした。私はお客様の相手をしつつ、少しずつバックヤードにいる時間を長くするようにした。そこで書き下ろしの小説を書いたり、次回作のプロットを考えたりすることにした。

 ときおりお店から笑い声も聞こえてくる。いい感じでお店が回っているようだ。たまに常連客から「マスターは?」と聞かれることがある。最初のうちはその都度顔を出すようにしていたが、それも控えるようにし始めた。このお店のマスターは靖雄さんなのだから。

 おかげさまで書き下ろしの小説も締め切りに間に合い、いよいよ本格的にこのお店を靖雄さんに引き継ぐときがやってきた。

 そのことをごく親しい常連さんだけにお伝えしようと思い、最後の日に私が久しぶりにカウンターに立つことにした。

「あれ、マスターなんか久しぶりに顔を見るね」

「はい、今日はお伝えしたいことがあって」

 大々的なことはしない。一人ひとりに、丁寧に事情を話す。そのとき、信頼できる相手にだけ私が小説家になることをお伝えした。

「そうだったんですか。それは驚いたなぁ」

 お伝えしたのはわずか五名程度。みんなそんな反応を示してくれた。

 このお店、カフェ・シェリーをやってきて本当によかった。多くの人の幸せを手伝うことができ、それが私の力となり、私自身も大きく成長することができた。

 こうなるまで簡単なことではなかった。いろいろな葛藤もあり、困難もあった。けれど私には大きな夢があった。それが私の手で、目の前の一人ひとりの幸せをお手伝いすること。今度はそれを私の小説で一気に多くの方々を導くことができる。

 この先もまだまだ葛藤や困難が待ち受けているだろう。けれどそれは私にとって必要だから起きていること。それを乗り越えれば、さらに多くの人たちを幸せに導くことができる。うん、やってみよう。

 こうして私の、カフェ・シェリーのマスターとしての人生は終わった。しかしその魂は引き継ぐことができた。いつか、私の思いそのものを多くの人に引き継いでもらい、世の中が幸せに包まれる日が来ることを目指して、私は小説家として新しい道を歩んでいく。

 私のマスターとしての最後の一日が終わり、お店を出ていく。

カラン・コロン・カラン

 扉のカウベルが私の門出を祝福してくれる。そうして私は人生の新しい一歩を踏み出した。

「さよなら、カフェ・シェリー。今までありがとう」


<マスター 完>

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